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せっかく書いたものをどう削る?添削の「削」は難しい。

私は作文指導を20年以上していますが、文章が書けない人の悩みで一番多いのが文字数不足。そのことについては、先日「文章は膨らませたら薄くなるよ」という記事を書いたのでそちらをご覧ください。
そして、書けるようになった人の一番の悩みは、今度は削ること。これは相当難しいのです。
必要なものは書き足していき、不要なものを削っていくのが添削なのですが、不要かどうかの判断は、書いた労力の分、鈍ります。でも、作品として仕上げるために、削ることはとても大切です。

結論に関係ないことを削ればいい

これが鉄則です。と言っても、どれが関係ないのか分からない。そもそも関係ないことは書いていないはずですからね。そこで削減ポイントを3つほどと、その時の注意点を。

結論に関係ない段落は丸ごとカット

結論に関係ないこと、結論から遠いことが書いてある段落は、丸ごと消しましょう。その見定めのために、まず、この段落を消しても、相手に結論は伝わるかどうか、考えてみましょう。結構ごっそり削れるはずです。
せっかく考えたことなのに……もったいない……いう気持ちも分かります。書いていくと、結論にはあまり関係ないけれど、私の中では重要なんだよ……という言葉を発掘することがあります。その場合は、その文章たちのためにも、その話だけでトピックを作って、文章をもう1つ書けばいいのです。文章も、気持ちも、救われます。ただ「今じゃない」ってだけですからね。

長文を分解して不要要素を検討する

一文が長くなってしまっている部分は、特に注意。分解して不要な要素を削りましょう。そもそも一文が長いことは、主語と述語がねじれたりして、誤解を生むもとになるので、短くします。用言(動詞、形容詞、形容動詞)を境目に、文を分けていきます。分解したそれぞれの文には、それぞれに結論があります。この一文ってつまりどういうこと?と問いかけ、答えが3秒で言えるように。その際、削ぎ落とした言葉について、そこに居ることを許可すべきか検討します。「この表現はこれでいいかな」というよりは「この言葉は要るかな」レベルで削ります。ずいぶんスッキリします。スッキリしてめちゃくちゃ短くなった文だったら、組み合わせても、長くならないはずですし、長くても誤解の少ない文に仕上がります。

余談ですが……と書き出したことはカットしてOK

こぼれ話や、豆知識なども入れたくなりますが、余談という文字が示す通り、余計な話なのでカットして大丈夫です。どうしても入れたいエピソードだったら、むしろ「余談ですが」などと言わず、ちゃんと書きましょう。

注意前から順番に削らない

添削の「削」というと、減らす文字数のことを頭に入れつつ、前から順番に削る人がいますが、その方法やめた方がいいです。
前から順に添削作業をすると、前半だけしっかり整理整頓された文章になり、既定の文字数になった!と安心して作業を中断すると、後半は無秩序に膨らんだまま、手入れナシのままということになりがちです。そうではなく全体を見渡して、いらない材料が混ざっていないか、いらない題材が混ざっていないかという視点から判断していきましょう。

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