4 読書の習慣を付けておく
私は、読書に関する質問をたびたび受けます。一番多いのは、読書の習慣を付けるにはどうしたらいいか? という質問ですね。みなさん、読書習慣が良いということは知っていて、自分の子どもにも当然付けさせたいと思っているようです。そこで、この章では、まず、読書は本当に良いのか、何に良いのかというところを示し、次に読書の習慣をつける方法をお伝えしていきます。そして中学年での「アフターゾロリ問題」(命名松嶋)を踏まえた上で、では未就学の時期にどんなことをすればいいかという、逆向きの流れでお話します。読書感想文についても。
どーもー。ゆか先生です。
インターネットで文章を指導しています。
今週は7回シリーズで、Kindle出版した著書『ほんとうのにゅうがくじゅんび』のダイジェスト版をお届けしています。小学校の入学準備にドリル等を買うより前に、保護者の方に是非知っていてほしい話をピックアップしてお届けします。今日は第4章「読書の習慣を付けておく」です。
読書好きに頭の悪い子はいない
教職員の友人、教育業界の友人、読書に関して、全員で共通の見解があります。それは、読書好きに頭の悪い子はいないということです。逆はいるんです。本を読まないけれど、天才的に冴えた頭脳の持ち主はいます。計算がめちゃくちゃ早くて正確だとか、発想が豊かだとか、暗記力がすこぶる良いとか、また芸術に長けているとか。そういう子の中で本を全く読まないという子はいます。でも、その逆はないんですね。本を読むのだけど、頭が悪いという子は見たことがありません。どうやら、読書というものは、何か脳に良いことを授けるらしいという仮説は、長年肌間隔で持っていました。
近年、様々な研究結果により、読書が脳に与える影響が分かってきました。特に書籍になっているものの中で、私が衝撃波を受けたようにガーン!とショックだった本を紹介しますね。
人間のDNAには、読書というものが組み込まれていないので、読書は誰かが教えない限りできるようにはならないとあります。人間は放っておいては本を読むようにはならないということです。読み方を教えることは、赤ちゃん時代の読み聞かせから始まります。その頃、赤ちゃんは親が字を読んでいるとは思わないのでしょうね。そのうち、だんだんと、親が何を言っているのか分かるようになり、それが絵のそばに書いてある記号のようなものと同じものだと知る。また、なぞりながら読むことで、発音と文字が対になっていることを知るわけです。そうして、文字を覚える時期に、一気に絵本のしくみをやっと理解します。
この本では、本をデジタルの物に代替することで、今までの世代で育っていた脳の回路が変わってしまうという警鐘を鳴らしています。もともと人間は、読書により、脳の配線が変わり、思考も変容します。もともと読む時に、分からない言葉を推測したり、「ん? どういうことだ?」と立ち止まって考えたりしますよね。そういう行為そのものが、また私たちの脳を発達させるのだそうです。
文字に慣れ親しむことのできた子どもたちは、「戦略的な読み手」「行間が読める読者」へと進化を遂げるのだと、ウルフ氏は言います。読解力の向上だけでなく、推論し・問いかけ・仮説を生成する、といった主体的な読書ができるようになることは、上記に述べたように脳の発達とも関連したものなのです。(あとがきより)
活字というのは動画などに比べて、情報量が少なく、かつ、遅いです。遅いというのは、目で読んで、内容を把握するまで時間があるということ。だからこそ、文字から状況を理解する、想像するのなどの為に脳が使われるのです。情報収集する機会に脳を鍛えるプロセスを経る「読書」は、いわば、読書の行為自体が脳トレになっているということです。
読書の習慣を付けるには、時間、場所、しくみの3つを整える
読書の習慣は、①時間、②場所、③しくみ、この3つを整えていくとつきやすいです。
習慣化でていない場合は、意識して「読書時間」について考えてみましょう。読み聞かせでも同じです。朝起きた時、お昼ご飯の後、夜寝る前など、時間を決めて、まずは1週間続けてみましょう。その際、読書の邪魔になるもの、特にスマホやテレビなどのデジタル機器は電源を切ってください。
次に「場所」についてです。基本的に好きな場所で良いのですが、習慣化ができていない場合は、読書をする場所を決めてしまうというのもテです。時間を決めるよう書きましたが、その時間にどこにいるかが鍵ですね。朝起きた時ならベッドの中、お昼ご飯のあとはリビングのソファ、夜もベッドの中でしょうか。
子どもが一人で読む場合は、リーディングヌックと言って、読書専用の秘密基地のような場所を作ってみても良いですよ。これは、結構効果があります。少し狭い方が良いようです。日本の家だったら、押し入れが格好のスペース。段ボールで作っても良いですね。試しに「リーディングヌック」で検索してみてください。特に海外のものはとても素敵です。
次に「しくみ」です。習慣になっていない何かを続けるために必要なのは「根気」「根性」ではありません。日本人は「根気」や「根性」という言葉が大好きなので、長く誤解していたところがあります。計画したことが続けられないと、よく「根気がない」と言われませんでしたか? 例えば、何かが続かなかった時に、自分のことを「ああ、私は本当に根気がない」と責めていませんでしたか? ここには2つの過ちがあります。1つは必要なのは「続けられるしくみ」であって「根気」ではないということ。そして、根気がないと自分を責めることは、何の特にもならないどころか、自分の自己肯定感を下げてしまう行為だということです。子どもは絵本を読んでもらうことを楽しみにしているので、読んであげる方の時間作りにこそしくみが必要です。他にすることがたくさんある中で、5分でもいいので、時間を作ってあげることが親の任務です。私のお勧めは、子どもと一緒に寝てしまうこと。本が一人で読めるようになったら、もっと意識して習慣を付けましょう。もちろん、そのころすでに勝手に読むようになっていたら、もう放置でOKです。そうでない場合や、小学校3、4年生くらいになって習慣が付いていないと思ったら、少し意識をしないと習慣にはなりにくいです。でもまだ大丈夫です。がんばって。
アフターゾロリ問題をあらかじめ知っておく
未就学のママにはちょっとピンとこないかもしれませんが、私が「アフターゾロリ問題」と命名した問題があります。子どもが『かいけつゾロリ』などのシリーズ物にはまり、読破し、読書の習慣も付いたあと、学年が上がった時に何を読んだらいいか分からなくなり、読書習慣が止まってしまうという問題です。このことは、ブログに書いて大きな反響がありました。
ゾロリシリーズは、小さな子でも読めるように、漢字を少なくしてあります。だからこそ読みやすいのですが、せいぜい低学年レベルの漢字しか使用していませんので、ゾロリシリーズ以外で本を読み慣れていないと、漢字が多い他の本が難しく見えるのです。
アフターゾロリを見つける方法を紹介します。この方法は、『かいけつゾロリ』に限らず、シリーズ本を読み切ったあと、どんな本につなげていくかのヒントになるでしょう。
まず、自分のお子さんがゾロリのどの部分に魅力を感じているのかを見極めます。ゾロリは様々な工夫がされていますが、付録やカバーなどの「売る工夫」ではなく、ゾロリの内容について何が好きなのかを観察するのです。
怪盗だから好き
狐だから好き
お姫様を助けるのが好き
だじゃれが好き
みんなで冒険をするから好き
推理が好き
子どもそれぞれに、ゾロリにはまる要素が様々なのです。そう。そのポイントを押さえ、次の世界につなげてあげるのです。例えば「推理」っぽいものが好きだということが分かった場合は、そこから、名探偵コナンのノベライズ本、シャーロック・ホームズシリーズ、そしてイギリスつながりでハリー・ポッターシリーズへ流れる子もいます。冒険要素もアフターが考えられますね。
いかがだったでしょうか。この章では「読書の習慣を付けておく」について語りました。第4章、あと6つ項目がありますが、ここから先は有料記事。次の6つの内容です。特にアフターゾロリ問題に直面している人はぜひ。
「アフターゾロリ本13冊の紹介」
「就学前~小学校低学年の読書とは」
「読書は投資!」
「ちょっと気になる赤ちゃんのデジタル中毒」
「まずは親が本を読んで」
「読書感想文というもの」
上記と同じようにダイジェスト版です。全文をしっかり読みたい人は、是非、本を読んでくださいね。この章を含め、全7章あります。
取り上げたkindle本はこちら
私の小学生コースでは、実は年長さんから教えています。オンライン保護者会もあります。どんなことをしているか、覗いてみてくださいね。
ではでは!
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?