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高齢者にも優しいプロダクトデザイン

父の認知症に気づくきっかけの1つになったのが、テレビのリモコンだ。どうやったらテレビが見られるのか分からないと言い出したことで「なるほど、父にはこれが難しくなったんだ」と分かった。
言われてみれば、確かにリモコンって難しい。電源はともかく「入力切り替え」(ちなみに我が家のこのテレビは切り替える入力機器が存在しない)その下の「地上」「BS/CS」「4K」は意味は分かるが、父のテレビは「地上波」しか映らないから不要。最大公約数的発送ではなく、最小公倍数的発送でデザインされているのが分かる。いやむしろ、単純に加算?
「画面」というボタンがあるが、何だろう……。その下の「チャンネル」は分かるがその右下にある「選局」は、上の数字ボタンがある限り、地上波だけを見ている父には無意味。おそらくBSモードにした時に、1~12に割り当てていないチャンネルを選局するためのもの。中央にある「音声」は押すと「主音声」と「副音声」が変わるものだが、「主音声+副音声」という場合もあり、間違って押した日にゃ、英語が流れたりして、認知症の人にはパニックの元になる。その下の「決定」は何かメニューを選んだ時の決定だと思われるが、やはり父には関係ない。「戻る」と「番組表」と「Dボタン」が同じ列に並んでいる意味もわからない。その下の4色ボタンも使う人には必要なボタンだが、使わない人にとってはいらない情報=ノイズだ。

かなりシンプルな方だとは思うが

もともとテレビのリモコンは、有線だった。信号を送るために、本体とケーブルでつながっていた。また、電源の「オン」「オフ」チャンネルの「アップ」「ダウン」音量の「アップ」「ダウン」くらいしかついていなかったと思う。
noteに該当する良記事があったので、是非ゆっくり読むといいかも。

わざわざ、昔懐かしいリモコンを再現したものもあるみたい。

チャンネルはガチャガチャ回す。電源は下の音量スイッチを引くことでON押すことでOFFになる。昔はテレビ本体についているコントローラー部分自体がこれだった。
この写真を見れば分かるけど……

これでよくないか?(笑)


新機能が追加されるたびに、ごちゃごちゃになってきたリモコン。ちなみに、我が家のリモコンは下にスライドさせるともっと色々なボタンがある。CATVのリモコンもかなりカオス!

ちなみに、旦那は使いこなせない

そんな時、ちきりんさんのTwitterXが目に留まった。

確かに追加情報にある通り、Samson社のテレビにもごちゃごちゃしたリモコンはあるみたい。それでも、ちきりんさんの言いたいことは分かる。

シンプルにデザインするということは、どうしたら行動をシンプルにできるかということ。パッと見ただけで何をどうしたらいいか分かるように変えていくこと。私たちも使いやすい。何しろ美しい。

高齢者にも優しいプロダクトデザイン

プロダクトデザイナーが手掛けたシンプルなデザインは、目に入る情報量が多いだけでパニックになる認知症の人にも優しい。認知症じゃなくても優しい。私は支援の経験があるけれど、こういうシンプルなものは、一部の脳損傷者にも優しい。ということはすべてのお年寄りや要支援者にも逆に優しいのだ。
親切でボタンをずらりと並べるよりも。

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