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段落を制すれば文章はグッと良くなる~紙芝居に例える~

私は、小学生、中学生、高校生、そして大人まで文章の指導をしているけど、段落に関しては、全ての年齢において、ものすごくテキトーに扱われている。

  • どこで分けたらいいか分からない

  • 10行ごとぐらいに分けるくらいが適切ですか?

  • はじめ、なか、おわり、の考え方だと「なか」がものすごく長くなるけど?

生徒からは、そんな質問や疑問が寄せられる。

でもこのような疑問が発生すること自体が間違っている。なぜかというと、段落というものは、書き出す前に決めることだから。いくつの段落で書くのかは、最初に決めるべきことなのだ。

そこで、生徒には、分かりやすい例えでその方法を伝えている。それは、この話を紙芝居で書こうと思った時、どこでページをめくるかということ。

わかりやすいように桃太郎の例で考えてみるね。

  1. 桃が流れてくるシーン

  2. 桃を切ると、中から桃太郎が出てくるシーン

  3. すくすくと大きく育って、お殿様から鬼退治を頼まれるシーン

  4. きび団子を携え、犬、猿、キジをお供にするシーン

  5. 鬼が島に着いて、鬼を退治するシーン

  6. 盗まれた宝を村に持ち帰って、めでたしめでたしのシーン

もちろん、演出によって、この枚数は変わると思う。でも、例えば「私はこの6枚で紙芝居を作る」と決めたなら、段落は全部で6つです。この6つのシーンで書こうと思って書き出すので、段落は必ず6つです。

ところが、桃太郎を書いてみてと言われて、初めの川での洗濯のシーンからつらつら書くと、どこで分けたらいいかわからない!というような状態になってしまうというわけです。そんな状態の文章って、読みにくいし、変なとこで区切ってあって、そこで思考が止まってしまう。つまり、ベストの状態ではないということです。

まず、いくつの段落で書くのか決めてから書き出すといいでしょう。
これは、メールの文も同じ。Webライターの文章も同じ。もちろん読書感想文もそうです。レポート類も、そうみんなそうです。

そもそも文章を書くときには、ある結論があって、それを伝えるために書くわけだけれども、その結論を伝えるために必要な材料をまず揃えますよね。料理と同じです。材料をそろえるわけです。
例えば理由だとか、具体例だとか、予想される反論だとか、裏付けの資料だとか。そういったものを書く時に、最適な順番というものがある。その順番を考える時に「まずこれを書くでしょう?それから理由を書くでしょう?それから具体例をあげるでしょう?」というように計画を立てる。その時の結論、理由、具体例……というひとかたまりが「段落」になる。

だから、書いた後にどこで分けたらいいかわからないという状態には、絶対にならない。分類したものを順番に並べるのであって、後で分けるものではないから。

何行か適切か?ということについては、ある程度の目安はある。けれど、段落の内容によって1行で済む時もあれば、十行以上に渡って書かなければならない時もある。「はじめ」「なか」「おわり」という作文の書き方を習った子供たちの文章は「なか」の部分がめちゃくちゃ長いことになるのは当然。
けれども、それでも「なか」に何をどの順で書くかということを考えて、それを立てた計画通りに書いていくわけだから、段落というのはそこで分かれているはずだ。

また、紙芝居で思いついて「パワーポイントで考えるのもあり?」と思った人もいるかもしれないが、パワーポイントはちょっと違う。
パワーポイントは1枚に入る適切な言葉の量がだいたい決まっているから、結局、量、上の例でいうと「行」で分けることになってしまう。適宜スライドを変えなくてはいけないからね。
例えば、資料1、資料2、資料3のように、量によってページを分ける場合がある。これは段落の考え方とは違う。

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