家族の幸せな団らんの時間を手放したくないだけなのに
認知症が進行進したせいで、むしろ、訳が分からないことを言わなくなった父。
介護生活がスタートした壮絶な格闘時期とは違い、今は、父が不安になるようなことをヘルパーさんがしなければ、我が家はおおむね穏やかに過ごしている。
特に、私が介護で帰省した時の夕食は最高の時間だ。
人生でこんなに尊い食事時間があるのかと思うほど。
認知症は本性に戻ると良く言われるけど、
父は根が優しいので、
食材を作ってくれた農家に
準備をしてくれた母に
自分の体の栄養になってくれる食べ物に
それらすべてに感謝しながら食べる
そして、私の小さかった頃の話やら
自分が幼かった頃の思い出やら
ゆっくりと、楽しそうに話す。
母の方は、相槌を打ったり、話に参加したり。
毎日届く介護用の宅食は、手のひらに乗るくらいの少量。
年老いた二人は、それを1時間ほどかけて食べる。
笑いながら。
人生でこんなに尊い食事時間があるのか。
父は筋力もなく、去年骨折したこともあり、介助なしでは歩けない。
要介護3だ。
日中は、デイサービスでヘルパーさんにお世話になっている。
トイレにもベッドにも一人では行けないので、通所ヘルパーさんには毎晩お世話になっている。
要介護2の母も、買い物や家事の支援を受けながら、
先ほどの宅食も含め、社会資源を組み合わせ、二人でなんとか生活できている。
もちろん、社会資源は日本全国で不足している。ヘルパーさんが確保できない土日は、私と妹で、交代で実家に寄り、トイレ介助と就寝介助をする。
そして、最近、毎週末の私たち娘二人の支援が難しいので、ケアマネに相談したところ、毎週ショートにしたらどうかと提案を受けた。最初は、ありがたい提案だと喜んだ。家族会議を開き、母とも話し、承諾を得た。
ところが、ヘルパー不足で、さらに、平日2日、夜の支援ができないという。その平日2日のうち1日をショートを長くして組み込んだら?とも提案を受けた。具体的には土日に加え、火曜と金曜も人がいないので、金曜日から火曜日まで施設に預けたらと言うのだ。
つまり、一週7日のうち、5日間をショートという提案だ。
しかも、そんな提案をしておきながら、それほど多い回数は、毎回確実に確保できるわけではないと聞かされた。
ちょっと待って。え? 実質、家族の負担増えてない? 実費分も増えてない?
ショート提案&期間延長&毎回は約束できない。で、家族の負担増。家族の時間減。なんなのこれ?
特老(老人ホーム)に入った方が安い?
なんなのこれ?
知人からは、特老にするのもアリだよと助言されることがある。確かに、精神的には楽だ。私も隔週で東京から静岡まで行かないで済む。
でも、あの尊い食事時間を含む、これから何回もない、家族の愛を味わう機会をすべて失うことになるんだよ。
家族が安心して家で暮らせること
家族、ケアマネ、すべての関係事業所関係者総勢8人で書いた最初のケアプランには、目標として、そう書いたはず。
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