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父を歩かせたいのか、歩かせたくないのか、もう分からない。

83歳の父は、大腿骨を骨折して手術をし、3か月入院生活を送っている間に排泄感覚がなくなってしまい、おむつをする老人になってしまった。
もちろん、骨折後なので歩けない。退院からしばらくは車いす移動だった。

手術をした先生が「大腿骨を骨折したお年寄りは「だいたい」反対側の「大腿」骨も骨折するよ」とシャレみたいなことを言っていたけれど、本当に約半数の人が反対側も骨折するそうだ。
そんなことになってしまったら、それこそ寝たきりになってしまうと、私たちは父を一人で立たせないような工夫をしてきた。
父は認知症なので、すぐに注意を忘れて立ってしまう。視覚情報は優位なので「立たないでね」という看板を椅子の前に置いて、父を座ったままにしている。もちろんそれでは体に悪いので、週に6日はデイサービスに通って、そこで歩行訓練もしてもらっている。だんだん足の筋肉もついてきて、体重も元に戻ってきた。車椅子で連れられて行ってた父が、もちろんヘルパーさんの支えありだけれども、自力でデイサービスの車まで歩けるようになってきた。デイサービスの中では「トイレに行きたいんだけど」と伝えればヘルパーさんが付き添って、トイレまで連れて行ってくれるし、転倒しないように介助もしてくれる。つまり、退院時になかった排泄感覚も戻ってきたのだ。もちろんオムツにしてしまうことも多いので、オムツは外していない。

入院直後はトイレには行けなかったので、おむつの交換はとても大変だったが、だんだんと介助者がいればトイレまでなんとか歩けるようになった。そうするとオムツの交換も少なくて済むようになる。特に大便をオムツにしなければ、ヘルパーさんも助かるし、父も気持ち悪くないだろう。

我が家では、週に1回、デイサービスを休み、家にいる日を作った。それは母がそうしたいと言ったことで、1日中施設に預けること、それを毎日にすることは、昭和の母には耐えられなかったのかもしれない。自分も要介護2だけど、なんとか世話をしたいと思ったのだろうか。

週に1日、父が家にいる日は、デイサービスのようにヘルパーさんがそばにいるわけではないので、トイレに行きたいと思っても行けない。とにかく立たないように立たないようにしている。3、4時間おきにヘルパーさんが訪問介護に訪れて、そのタイミングでトイレに行ったり、少し横になって足腰を伸ばしたりする。でもヘルパーさんがいない時間に、トイレに行きたくなった場合、とてもつらそうだ。いつもならトイレに行って排泄してるのに、オムツに排泄しなければいけない。もちろん母は、父のトイレ介助はできない。

本来、歩くことは、認知症の進行を遅らせれる良いことだ。ヘルパーさんの負担を考えても、オムツ代のことを考えても、父はトイレで排泄した方がいい。

でもやっぱりヘルパーさんがいない時に、父が一人でトイレに行くのは、特に排泄をしたいと思って焦ってトイレに行く時は、非常に転倒リスクが高い。

娘として、ずっとじっとしていて欲しいのか、歩けるようになってきているから、失敗しても転倒してもいいからトイレに行って欲しいのか。

もうわからない。

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