【ADHD服薬日記#5】見えている世界が違う。クローズ就労の苦悩
東京の一般企業でコンテンツディレクターとして働く30代女性が、ADHDの治療としてアトモキセチン(商品名:ストラテラ)を服用した経過観察の記録です。誰かの参考になれば幸いです。
【5日目】2024年2月24日(土) 25mg
服薬開始5日目の記録です。副作用に慣れるため、1日25mgで処方されています。以下は、当日に記録した内容に加筆修正を加えたものです。
<服用時間・服用量>
09:44、朝食後にアトモキセチン25mgを服用。
11:57
薬が効いてきたサインとして、視界にある「やりっぱなしのもの」が目に付き、部屋を片付けたくなることがある。
それを彼に話すと、
「でも見えてるものはおなじでしょ?」
と言う。
見えてるもの、違うんだよ。
視覚情報としては同じはずだけど、それに注意を払えるかが違う。あと、気づいて「やらなきゃ」と思ってからやるまでのハードルの高さが違う。違うというか、薬が効いているときはハードルゼロ。気づいたときには動いている。世界の捉え方が変わる。
12:21
Twitterで「ストラテラを飲むと20分後のことを考えられることが増えた」というのを見た。ほんとそれ。目先のことしか考えていなかったし、なんなら空想ばかりで目先のことすら疎かだった。そういう状態にあったこと自体、薬を飲んで初めて知った。
15:33
昼食後、抗えない急激な眠気があり2時間熟睡。仕事したかったのに⋯⋯
17:54
仕事した。
重たいと思ってしまうタスクがたくさんあって嫌だ。
自分がどんな状態であろうとやらなきゃいけないことは変わらないのだから、やるしかない。行き詰まるなら他の人に整理を手伝ってもらうとかの工夫をするしかない。
今まで自力で出来てたんだから、薬の有無に関わらずできるはず。診断を受けたからってそこは変わらない。甘えんな、自分!
一緒に仕事する人たちに発達障害のことを伝えようかな、と一瞬考えたけれど、伝えたところで変わらないというか、配慮してほしいわけじゃない。クローズ就労である以上やることは変わらないんだから伝える必要ない。伝えたら「理解してほしい」の感情までセットになってしまうんだからダメ。
やろうと思えばできる人にはわからないんだから、自分のやり方で上手くやるしかない。
だけどね、自覚してしまうとやっぱりかなしいし
事あるごとに「やっぱりできないなあ」って思ってしまうよ
いままでよくできてたね、できてなかったかもしれないけどね、えらいね、よくやってるよ、大丈夫だよ
18:11
なんでも障害のせいだと思い込むのは良くない、と思っていた。だけど、それは別にどちらでもいいかもしれない。障害のせいであろうとそうでなかろうと、乗り越えなくてはいけないことも、その対処法も、薬の有無のほかは大して変わらないのだから。アウトプットはいっしょ。じゃないかなあ?
23:10
中野に飲みに行った。2杯で満足。足るを知った。あと、薬とお酒の影響も少し心配。
約5ヶ月後の追記:
Q.土曜日の日記なのにどうして仕事をしているの???
A.平日に仕事を片付けられなかったからだよ!!!
このときは診断を受けたばかりで「自分は発達障害なんだ、だからこんな簡単な仕事も部屋の片付けも終えられないんだ」とネガティブに陥っていました。
最近は、その思考からは抜け出せたように思います。
仕事も家事も、得意不得意は人それぞれ。乗り越え方も人それぞれ。だから、自分のルートを手探りで見つけて、歩みを進めたり少し休んだり、違うと思えば方向転換したりする。そうして見える景色の変化を楽しみながら、できるだけ機嫌よく生きていきたいです。
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