大塚国際美術館に行く前に知っておきたい3つのこと【アラフィフ女のソロ活・美術館ガイド】
ずっと行ってみたかった、
大塚国際美術館を訪れた。
あまり耳にしたこともない方もいるかと思うが、
徳島県鳴門市にある、かなり変わった趣向の美術館だ。
1000点以上の
「世界中の名画」を
「原寸サイズ」で
「陶板に焼き付けて」
「すべてレプリカとして」
展示してある。
陶器は絵画と違って劣化がほとんどない。
なので世界の名画を陶板に焼き付ければ
今の状態のままずっと未来まで保存ができるだろうという意図のようだ。
すべてレプリカだが、決して盗作ではなく、
すべて著作者のお墨付きの許諾をもらっている。
この美術館を創設する情熱たるや、これまた語りだすと止まらないので
また別の記事でお伝えしようとと思うが
ピカソのご子息やらゴーギャンの親戚やらにきちんと許諾をとっていて、全体的にちゃんとしている。ざっくりだが、そうまとめるしかないくらい、しっかりした美術館だ。
西洋名画好きなら外せない、この大塚国際美術館の個人的レポはまた別途書こうと思うが、初めて行ったわたしの感想として、これから行かれる方に心づもりをして行っていただきたいこと書いていこうと思う。
しかし、それより先に伝えたいのは
とにかく、時間に余裕をもって行っていただきたい。
ということだ。
美術に興味がなく、誰かの付き合いで仕方なくいく方以外は
まる1日、大塚国際美術館に費やす覚悟で行ったほうがいい。
わたしはこのために徳島に行ったようなものなのだが
実際10時に到着し、なんとか見終えたのが閉館間際の4時半過ぎだった。
途中、急いでもこの状態だったので、じっくり見たら時間が足りないかもしれない。
そんなに時間が足りないって?たかが美術館でしょ?
と思っている方に、その理由を3つほど挙げておく。
1.想像以上に広い
とにかく広いというのは聞いていたので、覚悟して行ったつもりだったが、それでも想像以上に広かった。
さすが徳島県鳴門市、土地だけは豊富にある。とにかくデカイのである。
ガイドブックには、美術館のルートは直線距離で4kmと書いてあったので、けっこうガチなウォーキングである。
しかし、美術館はまっすぐ歩く性質のものではなく、好きな絵画があれば足を止め、順路どおりに進んでも見逃していた絵画があることに気づき戻る。さらに途中でトイレに行こうとなると、そのぶん戻ることになる。
なので実質4kmでは効かないだろうというくらいの距離感だ。
あとに詳しく話すが、すべて原寸大で再現されており、絵画のみならず礼拝堂の内部をまるっと再現しているため、入り口に入って一発目はヴァチカン市国にあるシスティーナ礼拝堂の再現だ。ミケランジェロの「最後の審判」でいきなり圧倒される。広いというか、天井が高い。とんでもねえところに来てしまった、という印象である。
絵画については後から触れるが、絵画だけでなく、途中には広々とした休憩スペースもある。
モネの「睡蓮」の連作が飾られている中庭だが、睡蓮風の池があり、そこがカフェテラスになっていて昼食やコーヒーを楽しめる。よい時期はそとでぼーーっとできてしまう。
ここから鳴門の海も臨めるので、ただここに来るだけでも最高の憩いの場だ。
展示は別館地下3階から始まり、本館2階で終わるのだが、別館から本館に移る途中に、とんでもなくきれいな芝生の庭がある。
このころにはすでに美術に圧倒されヘトヘトなので、うっかり芝生に寝ころびたくなるが、私の場合はここにたどり着いた時点で、3時近く。まだピカソやシャガールなどの現代美術をみられてないので、慌てて通り過ぎる(涙)
もちろん海が見えて絶景である。
ということで、数字で見るよりもかなり広さを感じることになると思う。
だからこそ、時間に余裕を持って行ってほしい。
2.絵が原寸大
写真と実物を見て驚くのが「大きさ」
レプリカとはいえ、全て「原寸大」で作られている。
要は「デカイ」のだ。
歴史の教科書で「ナポレオン」のことを習うときに出てきた「ナポレオン一世の戴冠式」などは、思った以上の大きさで座り込んでじっと眺めてしまった。
写真だと大きさが伝わらないが、うちのマンションの天井よりも高く、リビングめいっぱいよりも大きい絵だ。
ちなみに名画のみならず、
天井画、壁画などは「まるっと移動」な感じで、
システィーナ礼拝堂のミケランジェロ「最後の審判」などは、礼拝堂の内部がそのまま同スケールで再現されているので、デカイ。
うわぁぁ、と口が開いてしまう大きさだ。
今やなんでも写真で残せる時代だが、大きさだけは実物で見ないと分からない。想像ではどうにもならない大きさに圧倒される。
レンブラントの「夜警」のデカさもすごかった。
美術や社会の資料集ではなんとも思わなかったこの絵画が
圧倒的にすごかったのは、やはり大きさもあると思う。
映り込んでいる人の大きさと比べてみてほしい。
なので、訪れる際には「想像以上の大きさ」が待っていることも頭に入れておいてほしい。
3.世界一周分。ガチの名画揃い
西洋美術に絞ってコレクションした1000点余りの原寸大陶板レプリカだが、とにかく美術を知らない人でも「あ、これ見たことある」というレベルの名画が一堂に会している。
美術が好きな人でも、マニアックな僻地まで足を運んで1枚の名画を観るというのはかなりの負担だろう。
名画は世界さまざまな場所に散っていて展示されており、そのほか、高値で落札されて個人所有だったりと、見たいものをすべて見るには人生の長さが足りなさすぎる。
しかしこの大塚国際美術館では、すべてが揃っている。
西洋美術日置けるほとんどの名画は、ここで見ることができる。
限りなく精巧なフェイクで、油彩などは立体感が見られないが、
それでも色や質感などは著作者のお墨付きである。
ルーブル美術館所蔵のモナ・リザもガラスケースに入らないまま至近距離で見られる。
こちらも見たことがある方が多いと思うが、ゴーギャンの作品。
原寸大でゆっくりと見られる。
ゴッホの「ひまわり」に至っては、全7作ある中、2作目は日本の武者小路実篤が買い付けたにも関わらず、第二次世界大戦で焼失したものを、残された写真をもとに復元し、無理やり7作揃えた徹底ぶりだ。
ほかのひまわりも世界中に散らばっているため、ゴッホのひまわり7作をすべて見られるのは、この大塚国際美術館しかない。
かの有名なピカソの「ゲルニカ」も原寸大の展示がある。
ナチスドイツがスペインの街「ゲルニカ」を無差別攻撃したことに対する抗議の意を示すためにピカソが描いた作品だ。
おそらく現地ではゆっくり見ることができないが、この大塚国際美術館では、ここがロビーのようになっており、椅子に座ってゆっくり眺めることができる。
ご存じムンクの「叫び」もある。
おまけ:意匠のコーナーが面白い
広い、デカイ、名画だらけと三拍子そろった大塚国際美術館だが、名画が多いだけでなく、展示の面白さも楽しいポイントだ。
こちらもよく知られた「最後の晩餐」の絵画だが、もともと使用した画材が傷みやすく、何度も修復されていくうちに絵自体が変わってしまったらしい。
修復前の絵がこちら
修復後の絵
美術館オープン当初は修復前の絵画を展示していたのだが、その間に修復された絵画自体が、もとの絵からかけ離れた修正がされているのではないかという考察が持ち上がり、元の絵に戻してみようということで描かれた当時の絵を復元してみたら、全然別物じゃん!となったという話。
実際の現場では、修復後しか見られないのだが、この大塚国際美術館ではなんと、修復前と修復後が同じ部屋の左右に飾られ、間違い探しのようにじっくりと見ることができる。
情報量が多すぎてよくわからなかったが、解説を読むと、キリストの口が本来は半開きだったのが修復では閉じていた、とか、最後の晩餐の食事が、実はメインディッシュが魚だった、とかそういうことらしい。
それについての重要性は分からないのだが、歴史的にはきっと重要なことなのだろう。
とにかくこんな感じで、大塚国際美術館は想像以上にスゴイ。
宿泊した宿でも、「ちょっと寄るつもりだったけど、時間が足りなかった」
なんて話も耳にした。
なのでもし、この美術館を観光ルートに入れることがあるのなら、
ぜひ最低でも「まる一日」入れておいてほしい。
もし早めに終わったら、ほかの場所に移動して観光も楽しめるけど、
この美術館の滞在時間を低く見積もって、後ろ髪惹かれながら立ち去るのは寂しすぎる。
それくらいこの美術館はとんでもないスケールで作られている。
くれぐれも
・かなり余裕をもったスケジュールで
・歩きやすい靴で
訪れていただきたい。
私的感想はまた別途記事にするが、取り急ぎこの点はお伝えしたく、記事にまとめてみた。
皆さんが楽しい美術館観光をできるよう。
今日もお読みいただきありがとうございました!
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