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高次元の仲間と繋がる旅 4 (サボテンの儀式)


続き

すっかり暗くなった頃、
ティピの中に戻ると、
ハビエルとヒカルドの歌が始まっていた。

アヤワスカとは違って、
じわ~っと効いて来ているのが分かった。
2時間くらい経ったのだろうか?

しばらく席に座っていたけど、
わたしはまた、
ふらっと外に出ていった。

見上げた空には、
いくつか星が見え始めていた。

その星を眺めていたら、
じわじわと…
心に突き刺さるような痛みと共に、
どうしようもない悲しみを胸に感じて、
わたしは悲痛な泣き声を上げていた。

どうしてわたしはここに来たのか❓
どうしてわたしを一人で、
こんなところに置き去りにしたのか❓
どうしてわたしを一人ぼっちにするのか❓

そう空に問うてはまた泣いた。
泣いて泣いて泣いて…
たまに浄化してはまた泣いて。

どのくらい時間が経ったのか…
外がすっかり暗くなってからもわたしは、
かなりの時間をそんな風に過ごしていた。

少し落ち着いて中に入ろうとしたら、
ティピの入り口でヒカルドと鉢合わせした。
彼はわたしの泣き声を聞いていた。

わたしを見て彼は、
「君の泣き声はホントに哀しい。」
と言った。

そしてその悲しみを分かち合うように、
わたしを優しく抱き締めてくれた。

ヒカルドはいつも優しくて、
その声も歌も言葉も仕草も態度も、
全てが愛そのものだった。

わたしは何度かティピの中に入ったけど、
しばらくするとすぐに外に出たくなって、
結局ほとんどの時間を外で過ごした。

空を見上げる度に星が増え、
ついに満天の星空になった。
それを見上げながら、
わたしは両手を空に広げて踊っては、
切なさに胸が締め付けられて泣いた。

わたしはずっと、
ティピの外側近くにいたので、
そのすぐ内側にいた人には、
泣き声が聞こえていたのだろう…

わたしの泣き声に堪えられなくなったのか❓
突然横から誰かが現れて、
わたしの手にティッシュを握らせてくれた。

わたしはそれをありがたく受け取って、
また自分の世界に戻って行ったのだけど、
彼はすぐにまた戻って来た。

何だろう❓と思ったら…

真剣な顔で彼は、

「" raiz lindo '' ただそれだけ言いたくて。
なぜか分からないけど、今どうしてもこの言葉を伝えなきゃと思ったんだ。」

それだけ言って、
彼は暗闇の中に消えていった。

ちなみにLindo は美しい、
Raiz は根っこという意味なのだけど、
その瞬間わたしはそれを、
「美しい種(族)」と受け取った。

そして夜空を見上げたその瞬間、
わたしには全てが分かった。

そうだった。
私はこの美しい種を絶やしてはいけない、
この美しい種を護りたいと思って、
自ら志願してここにやって来たのだった。

空に光る全ての星は私の仲間で、
彼らはいつでも私と共にいてくれた。
わたしは一人なんかじゃなかった。

そう思い出して、
わたしはまたさめざめと泣いた。
でも今度は悲しみの涙ではなく、
それは喜びの涙だった。

この胸の痛みと、
どうしようもない悲しみは、

わたしの悲しみでもあり、
地球全体の悲しみでもあり、
それを見守る宇宙の仲間の悲しみでもある。

わたしはずっと一人ぼっちだと思っていたし、
ずっと一人で頑張ろうとして来た。

今わたしは、
自分がどこから来たのか、
何のために来たのかを思い出した。

そして、
みんなと感覚的に繋がったことで、
胸が震え、嬉しくてまた泣いた。

わたしはヒカルドのことを思い出していた。
アヤワスカの時に感じた、
「彼と同じ愛をわたしも持っている」
という感覚…

持ってることには気付いてたけど、
それをどう表現したらいいのか、
今までずっと分からなかったんだ。

わたしは彼の言葉と態度を見ながら、

「こうやって相手に接すればいいんだ、
こうすれば愛が伝わるんだ。」と、

自分が彼の姿から学んでいたことに、
気が付いた。

沢山泣いて少し落ち着いてからも、
ワシュマの効果はまだ続いていた。

ティピの中に戻ってからは、
炎の前に座って音楽に合わせて歌ったり、
時にはみんなと一緒に炎の回りを踊り歩いたりした。

誰もがそこで、
個人的な体験をしていたはずだけど、
その空間の中ではみんなが一体化していて、
なんとも心地好かった。

ハビエルの歌はペルー特有の歌い方で、
時には笛や鐘(鈴❓)や植物の種や葉っぱで出来た楽器を使い、言葉では言い表せないエネルギーを生み出していた。

その音は何とも懐かしく、
わたしはその心地好さに浸っていた。

そして時々歌う、
ヒカルドの声を聞いては愛を感じ、
美しく踊る女性の姿を見ては感動した。

彼女が太鼓を叩きながら歌う声はとても素敵で、私もそんな風に歌えたらいいなと思っていた。

そうして夜が更けていった。

気が付けばすでに23時半を回っていた。
サンパウロまで乗せてってくれると言った男性がわたしの所にやって来た。
そして「僕はどうしても今日帰りたいのだけど…」と言った。

私はまだ覚めていなかったので、
他に乗せてってくれる人を探すことにした。

そしてその夜は、
ティピの中で寝ることにして、
儀式が終わりみんなが解散する頃、
ヒカルドの所へ行った。

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続く

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