おばあがうちに来た。(国際結婚・ブラジル移住)
おじいが亡くなって、おばあは大きな家に一人になった。長男の義父家族がおばあを引き取ることになった。しばらくして日本から義父が戻ってきた。
いつもおばあは、にこにこしていた。日本語で話をしたり、一緒にTVを見たりした。でもたまに、厳しい顔を見せた。その昔、嫁にひどく当たったので、義母はおばあが嫌いだった。
「おじいはどこ?」「うちに帰るよ。」次第に、おばあはおじいを探すようになった。最初は皆、困った顔をして諭していた。次第に症状が酷くなっていき、おばあにキツく当たるようになった。
トイレの便器が汚れている。汚れたズボンでソファに座る。朝早く起きて、キッチンをあちこち触る。お酢で食器を洗ったり、ポットをコンロの火にかけたりしていた。
そのうち、義父と義母は早朝ウォーキングに出かけるようになった。私が起きると、すでに義父母はいなくて、旦那も義姉も仕事に出かけていた。家にはおばあと私と1歳の息子。私は毎朝キッチンからするガチャガチャという音で目を覚ました。
おばあはおじいを探すのを止めた。でも、症状はどんどん酷くなり、話は通じてないようだった。でも、話せば可愛い笑顔で笑った。私は昔のおばあを知らない。時々面白いことを言ってはへへへと笑うおばあを私は嫌いじゃなかった。
でも、毎朝キッチンをがちゃがちゃやる音に、私は耐えられなくなった。義父母が出かける前に、おばあの朝食を置いていって欲しいと、旦那経由で頼んだが、朝食が置いてあることはなかった。
誰もおばあのことを気にしていないようだった。でも毎朝、おばあと2人きりで置いていかれることに孤独を覚えた私は、少しずつ義父母に対して怒りを溜め込み、次第にイライラしていった。一日の大半を部屋に引きこもるようになった。
義母もおばあに文句を言ってはイライラしていた。義父は困りながらも、実母より嫁の味方だった。おばあをひどく扱う姿を見て、また嫌な気分になった。
私は一人で外出出来なかったので、週末旦那と息子と3人で出かけるのを楽しみにしていた。とにかく家から出たくて仕方なかった。
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