よく眠るための雨

多くのひとが言っていることではあるけれど、雨の日はよく眠れる。うっすら目が覚めても、また眠りに吸い込まれていくように何度も眠ってしまう。今朝は何度目かの寝落ちのおかげで、ゴミ捨てに行きそびれた。

昨晩から夫が体調を崩している。具合のわるいひとがいるとき特有の静けさと、空気の変調。なんとなく気詰まりである。

とはいえ、自分にできることをやってしまったら特にやることもないので、喫茶店へ行くことにした。一年ぶりのセーターを引っ張り出して出かける。

カウンターに座ってハヤシライスとコーヒーを頼み、背中に雨の音を聞きながらぼんやりする。ハヤシライスはあまり好きではないけれど、ここのピクルスが添えられたハヤシライスは頻繁に頼んでしまう。今日は特においしくて、休まず一度に食べてしまった。ひんやりする店内で食べるあたたかい食事がしみる。

帰りがけに「明日とあさっては、台風が来るから店を閉めるかもしれません」と、ふだん無口なマスターが声をかけてきた。今日初めての他人との会話。その内容とは裏腹にすこしうれしくなった。

帰宅してから作業を再開する。絵付けしたタイルを額装し、壁掛けを一つ一つ梱包する。壁掛けは30点ほどあるので時間がかかる。ラジオからニュースが聞こえて一瞬手が止まる。すべて梱包したころには、大きな段ボールがいっぱいになっていた。少しずつ。