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伊勢日記 2巻

4時半起床。

旅行初日の夜は緊張して眠りにつきづらいのだけど、今回も例のごとく浅く寝て夢を見て起きてを繰り返す。何かよい夢を見た気がするのだけど、忘れてしまった。でも、浅い眠りが功を奏したのか朝はすっきり起きることができた。

昨日、伊勢市役所の方に伊勢神宮の朔日まいりの話を聞いていたので、夜が明ける前に詣でることにしたのだ。朝弱いわたしが4時半に起きるなんて…!「いや、すごいわ」と思わず声に出して自分を讃えてしまう。

音を立てないように旅館の扉を開けて出かける。眠る前見たのと同じ夜である。まんまるの満月がぽっかりと浮かんでいてまぶしく、北斗七星がちょうど真上のあたりにかかっている。夜明け前から出かけている、そんな状況がうれしくて、ちょっとにやついてしまう。

そしてバスに乗り、内宮へ。

内宮はまだほとんど夜のなかにあった。灯篭やひかえめにつけられたランプのあかりにほんのり照らされ、鳥居をくぐって歩く。道の様子も暗くてはっきりとは見えないが、参拝客の流れについていく。歩くたびにだんだん夜が明けてきて、お参りを済ませたころには灯篭のあかりがすっと消え、気持ちのよい早朝の風景になっていた。空間そのものがぴんと張り詰めてうつくしく、写真もほとんど撮らなかった。五十鈴川のほとりですこしぼんやりして、御厩へ立ち寄ったのだけど、神馬には出会えなかった(後で調べたら朔日の8時頃に神馬がお参りする姿が見られるようだ)。

内宮の入り口にはたくさんのひとが集まっていた。鳥居からのぼる太陽を写真に収めようと、山の向こうにうっすら見える光が動くのをじっと待っている。次第に満ちてくる陽を見つめ、同じようにカメラに収めるひとたちの姿に心を打たれてしまった。一千年以上のあいだ、人間や人間の服装は変わっても、同じように陽がのぼるのを繰り返し見つめている。そんな営みのなかにこそ、神さまがいるような気がしてならない。

そのあとはひともまばらなおはらい町を通り、猿田彦神社と佐瑠女神社へ。とても気持ちのいい場所だった。

昨日から伊勢は冷え込んでいて、寒くて仕方がない。できるかぎり着込んで、熱いお茶を飲み、あたたかいものを食べ、なんとかしのいでいる。

いつもと違う環境だと、書いている文章もやっぱりいつもと違って変な感じがする。あまり集中して書けないから読みづらいかもしれない。でも、それも日記っぽくてよいかもしれない。どう読まれるかはあんまり気にせず書いておこうと思う。

いつもお読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、これからの作品作りに使いたいと思います。