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伊勢日記

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伊勢での旅を書き留めておくためのマガジンです。
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帰宅、それからのこと

帰宅、それからのこと

占星術の世界では大きな節目を迎えているなか、わたし自身は伊勢から帰った自分の体をこちらの暮らしに調整し直しているところだ。今日は実家に預けていた文鳥を引き取ってきた。

伊勢での滞在を通じて変化した自分の心と体をぼんやり見つめながら、なんとなく、いままで通りの生活に戻るという感じではなさそうだなあと思う。2週間のあいだにゆるやかにシフトチェンジしたような感覚がある。それが具体的にどういうことなのか

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伊勢日記 13巻(完結)

伊勢日記 13巻(完結)

心のなかに聖域を作る必要がある。それは宗教という枠組みよりももっと根源的でごく個人的なサンクチュアリ。仏教で言うなら、自灯明のように自らをよりどころにしつつ、わたしの場合は法の代わりにさまざまな聖域ー神社、寺、植物、風景、ものに助けてもらうような。アニミズム的な感覚が、自分のなかにつよく根づいているのを感じる。

今回の滞在中も、たくさんのものに心洗われ、救われた。そのたびに共鳴する自分の聖域のあ

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伊勢日記 12巻

伊勢日記 12巻

7時起床。

伊勢市のワーケーションだが、近鉄に乗って鳥羽へ行く。伊勢で親切にしてくださった方々から鳥羽の離島をすすめられ、隣接の市も見ておきたいけれど、市外へ行っていいものだろうか…と、担当の立花さんに確認したところ、「もちろん。伊勢と鳥羽は兄弟みたいなもんです」と返事が返ってきたので、思いきって行くことにしたのだ。船をどう乗り継げばいいのかも、離島行きを勧めてくれた伊勢和紙の中北さんがメモして

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伊勢日記 11巻

伊勢日記 11巻

7時半起床。

今日は滞在中最後の内宮へ。ちょうど木の剪定をしているところでにぎやかだった。

こちらは木のメンテナンスと柵を取り付けているところ。作業着やコーンが白くまぶしかった。

境内の両端に植えられているさざんかは、陽の光が集まって咲いたみたいに透明感があってきれい。

参拝後、振り返って一枚。名残惜しいけれどまた訪れる楽しみがある。

内宮から歩いて猿田彦神社と佐瑠女神社にも行く。写真は

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伊勢日記 10巻

伊勢日記 10巻

7時半起床。

作業の予定を変更して二見へ。鳥羽行きのバスに乗り、二見浦表参道で下車する。二見の町は海が近く、歴史を感じさせる宿が多く残っていて、伊勢神宮周辺とはだいぶ雰囲気が違う。海岸沿いには松が植えられ見晴らしがよく、町全体がとても静かだ。

夫婦岩表参道を歩く。小腹が空いたので、塩ようかんと抹茶をいただく。

本当に静かだ。お土産屋さんも店番のひとが見当たらない。試しに入ったお店で見つけた、

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伊勢日記 9巻

伊勢日記 9巻

7時半起床。

紙版画に使える伊勢和紙を探しに、ふたたび伊勢和紙館へ。いくつか見繕ったところで、伊勢和紙の中北さんとしばらく話す。気がついたら2時間ほどたっていたので驚いた。

写真は、伊勢和紙館の近くにある伊勢和紙ギャラリー。とてもよい建物。

体が重かったので整体へ行き、すこしほぐしてもらう。お昼に海老天そばを食べていると、思いがけない電話がかかってきた。伊勢から帰ったら、新しい仕事が始まりそ

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伊勢日記 8巻

伊勢日記 8巻

12月7日

部屋の清掃のあいだ外にいようと宿を出る。カフェに入ろうとしたらまだ開店前だったので、外宮へ行くことにする。用事で外宮の近くを通ると、なんとなく吸い込まれるようにお参りしてしまうなあと思う。ほとんど毎日行っているような気がする。

お参りを済ませたあと、せんぐう館の横にあるベンチに座ってぼんやりする。奉納舞台をたたえた池は静かでうつくしい。空気は冷えていても、陽の光が注がれている足元は

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伊勢日記 7巻

伊勢日記 7巻

7時半起床。

今日は朝熊山にある金剛證寺へ。近鉄で五十鈴川駅まで出て、そこからバスはを通って山頂へ向かう。車内は空いていて、乗客は5、6人ほど。しばらく景色に見とれていたのだけど、蛇行する道のりに酔ってきたので目をつぶってしのぐ。30分ほどで金剛證寺に到着する。

伊勢神宮の鬼門を守るという金剛證寺は、山のなかにあることもあってひとも少なく、清浄な空気で満たされている。全体に力強さがあり、そこら

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伊勢日記 6巻

伊勢日記 6巻

12月5日

7時半起床。

朝ごはんのあと自転車で出かける。コメダ珈琲に寄ったあと、神宮徴古館へ。伊勢神宮で用いられる衣服や調度品、またその歴史を描いた絵などが展示されている。どんなものが収められ、どんなことが行われているのか、その一部を垣間見ることができる、おもしろい展示だった。神宮美術館と農業館にも行く。

そのあと内宮まで行く。土曜日の昼だからかひとが多い。6時くらいに行ったときは静寂に包

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伊勢日記 4巻・5巻

伊勢日記 4巻・5巻

12月3日

今日は休みにする。昼過ぎに宿へ戻り、ごろごろしながらNetflixで炎炎ノ消防隊を一気見する。おもしろい。



12月4日。

7時半起床。

今日は伊勢和紙館の見学へ。

自然光で紙のチェックをするそうで、工場は陽の光で明るく、清々しい。いたるところに紙垂(しで)が飾られている。

伊勢和紙の原料となる木の皮。

手漉きだけでなく機械透きも行われている。機械は50年もの。

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伊勢日記 3巻

伊勢日記 3巻

7時半起床。

宿で朝食をとってから出かける。外宮に立ち寄ってからカフェへ行き、しばらく仕事する。バッテリーが切れそうになったのでカフェを出て、河崎へ行く。電動機つき自転車を借りたおかげで、機動力がぐんとあがっている。

昼過ぎから伊勢市役所の会議室を貸していただくことになっていたので、自転車で向かう。たくさんの職員の方のなかに、担当の立花さんを見つけてほっとする。落ち着いた方のように見えるけど、

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伊勢日記 2巻

伊勢日記 2巻

4時半起床。

旅行初日の夜は緊張して眠りにつきづらいのだけど、今回も例のごとく浅く寝て夢を見て起きてを繰り返す。何かよい夢を見た気がするのだけど、忘れてしまった。でも、浅い眠りが功を奏したのか朝はすっきり起きることができた。

昨日、伊勢市役所の方に伊勢神宮の朔日まいりの話を聞いていたので、夜が明ける前に詣でることにしたのだ。朝弱いわたしが4時半に起きるなんて…!「いや、すごいわ」と思わず声に出

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伊勢日記 1巻

伊勢日記 1巻

6時半起床。

今日から伊勢に行く。洗濯をし、買っておいたロールケーキを、夫と半分ずつ食べる。段ボールをまとめてゴミに出そうと玄関を出たところで、重いドアに左の薬指を挟んだ。遠くに行くときは気がそぞろになって、思いがけないことが起きる(起こす)ので要注意である。このくらい大丈夫大丈夫と言って出かけたけど、名古屋を過ぎたいまもなお痛んでいて、すこし不安な気持ちになっている。湿布を貼った方がよかっただ

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