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他者の言葉で自分を知る

京都での個展が無事終わりました。送られてきた段ボールを一つずつ開けながら、あらためて「おわったんだな」と感じています。

「どこかへ行く」ということがあたりまえでなくなり、個人個人の行動の指針が多様になったなかで個展を開催するということは、とてもむずかしい体験でした。できるかぎりのことをして開催しても、足を運んでもらえないかもしれないという思いはつねにありました。

準備期間中はずっと心が定まらず、でも、いまの自分にできることをすればいいやと思いながら、なんとか個展の日にたどりついたという状態でした。そんなふうに環境にもまれて悩む一方で、今回の個展で伝えたいこと、やりたいことは失われずありました。個展という場所を共有できなくても、時間や感情や世界を共有すること。それをどうやって形にしていくかをずっと考えていました。

どこかにこの状況を打破する希望や安らぎや共感が隠れているかもと、SNSやインターネットを覗いては心が暗くなるような日々。不毛だとわかっていてもやめられないことが悲しい。けれどそう感じているひとがたくさんいることもわかっていて、せっかく場を与えられたのだから、そのひとたちに向けてできることをしたいと思いました。

そんなわけで、個展に来たひとにも、来られなかったひとにも、広く手紙を募ることにしたのでした。

そして今日お手紙が届きました。いただいたお手紙はどれもあたたかく、ていねいで、他者への思いやりにあふれていました。誰もが苦しい状況のはずなのに、そのなかでもあたたかい言葉を他人にかけられるひとがいるということに、心から励まされます。

一通一通開けて読むなかで、自分が頭のなかのどこかで「自分は取るに足らないことをしている」と思っていることに気がついて驚きました。わたしが描いたり、書いたりしたものを見たひとが、あたたかい言葉をかけてくれるということはゆるぎない事実です。それなのに、自分に対して「取るに足らないことをしている」と思うということは、現実とは異なっているし、そういう思い込みはもう手放していいのだと思いました。

今日は気持ちが落ち着かずうまく言葉にできていないような気がしているのですが、伝わるでしょうか。

最後に、個展のステートメントをのせておきます。たくさんの出会いをありがとうございました。

完売してしまった『花と言葉』も、オンラインでチェックできるようにしました。たくさんの方からお話を聞かせていただいて作った、大切な本です。

スカーフも受注販売しています(11/14終日まで)。

いつもお読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、これからの作品作りに使いたいと思います。