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日本初! 女性の循環器疾患の予防・啓発をテーマにした「Go Red for Women Japan」健康セミナーが、東京大学鉄門記念講堂にて開催

東京大学鉄門記念講堂への入り口

一般社団法人 日本循環器協会(以下JCA)が主催し、オムロン ヘルスケア株式会社と株式会社ツムラが協力する、日本で初めての女性の循環器疾患の予防・啓発をテーマにした「Go Red for Women Japan」健康セミナー「女性のココロと心臓のはなし -赤をまとい女性の心臓病を考える-」が、2024年2月2日に東京大学鉄門記念講堂にて開催されました。

Go Red for Womenは、米国心臓協会(American Heart Association 以下AHA)が、2004年から実施している女性のための循環器病の予防・啓発活動です。女性の循環器病に関する知識を高めるとともに、予防と早期発見の重要性を社会に広く伝えることを目的としています。

その活動は50以上の国や地域に広がっており、心臓病月間である2月の第一金曜日を「National Wear Red Day」と定め、赤いドレスの着用や赤い装飾を身につける疾病啓発イベントが毎年開催されています。日本では、JCAが2023年3月にAHAと「Go Red for Women」運動に関する協約を締結し、日本でも女性の循環器疾患の予防・啓発を積極的に進めています。

本セミナーでは、女性と心臓病、特に更年期と不整脈にフォーカスをあて、専門医による講演やパネルディスカッションが開かれました。また、セミナー参加者が赤い服や小物を身につけることで、National Wear Red Dayの認知度貢献にも役立ちました。

高尾美穂 イーク表参道 副院長(医師)

高尾美穂 イーク表参道 副院長(医師)は、「女性のココロとからだの話」として、「私は大学院、大学病院での勤務時代というのは、婦人科癌を専門としておりまして、なぜ今女性のヘルスケア領域にいるのかを考えてみると、何で(病院に)もっと早く来てくれなかったんだろうと思うことが本当に多かったからなんです。

あらかじめできることがあると知る。この予防医学的な考え方って、大学病院で診察室に座ってるだけではきっと無理なんだって思うようになって、今の私に至っていたりします。

私は産婦人科になると決めたとき、日本の人口1億2000万人の中の6000万人の幸せを考えようと、残りの6000万人は他の方におまかせをしようと、そんなことを思った記憶があります。

女性の卵巣という臓器は、大体10歳ぐらいから大体50歳ぐらいまでの40年間しか働けない期間限定の臓器です。女性にとっての卵巣は生殖機能を司っているからこそ、女性における生殖能力にはタイムリミットがあるのだということをできれば、社会に出るぐらいのタイミングに知っておきたいものです。自分がこれから先どんな人生を望んでいるのか、子供を持つのか持たないのか、持つのであればどれぐらいの間隔を空けて持つことを望んでいるのか。これは体の自己決定権という言葉でずいぶん知られるようになってきています。

あらかじめ自分の生殖機能にタイムリミットがあるということを知って、この先の人生をどうやって組んでいくのか、これが女性にできることの一つだと知っていただきたいのです。卵巣が分泌する代表的なホルモンのエストロゲン。まさに女性の人生はホルモンに揺さぶられ続けるものなんだということです。エストロゲンがたくさん分泌された後だけに排卵が起こります。エストロゲンがたくさん分泌されないと排卵、妊娠できるチャンスってやってこないよという意味です。

排卵、妊娠できるチャンスを迎えた私達の体は、その後の時期に妊娠しているかもしれない時期に差し掛かります。その時期に2番目のホルモン、プロゲステロンが分泌されます。このプロゲステロンは排卵しない限り分泌されない。そして妊娠しているかもしれない体を維持する、そんな役割を担っています。

生理を一番シンプルに説明すると、妊娠できるチャンスで排卵を迎えたけれども、妊娠しなかったときにやってくるのが生理だよっていうこと。つまり生理がちゃんと来るということは、ちゃんとホルモンが分泌されてるよね、ちゃんと排卵起こったよねっていうことを教えてくれるものすごくありがたいサインとも言えるわけです。

女性の調子の良さって確かにホルモンに揺さぶられるんですが、自力で調子が良い状態を手に入れることができる時代に私達は生きているということをまずは知っていただきたい。ただ多くの女性の悩みの種でもある生理が来なきゃ来ないで悩んだりするし、それこそ妊娠を希望している人がなかなか妊娠できないって悩んだりする時代でもあります。

この妊娠・出産・子育てって、確かに女性のライフイベントにおいてはめでたい出来事ですが、さらに働くという立場に立ったときには、子育てを含む家事と働くということの両立に悩む女性もたくさんいらっしゃいます。そしてそんな時代に、まさに女性はキャリアを積んでいる。会社で受けてねと言われて受けてみた健康診断で子宮頸がんの検査に引っかかったよとか、周りで乳癌の方がいらっしゃると思いますが、癌という命を脅かすような病気にこんなに早い年代に遭遇するっていう点も男性とは大きく異なる点だったりするわけです。このあたりも正直知っておいていただけると嬉しいです。

そして生理がばらついてくると更年期、体の変化だけじゃなく、心の不調も経験します。この更年期、まさにエストロゲンの分泌が多く落ちていく時期に経験する不調であり、だからこそ、生理周期にエストロゲンがちゃんとされていればちゃんと生理が来るはずだけど、エストロゲンがちゃんと分泌されないから生理がちゃんと来ないよね。これが今は更年期の一番わかりやすいサインなわけです。

このエストロゲンは骨、筋肉量、関節の滑らかな滑り、それから認知機能、そして自律神経を介してメンタルにも本当に大事な役割をたくさん担っています。更年期に見られる不調を更年期症状と呼んでいて、その種類は200種類もあるとされています。そしてたった一つの不調を経験するというよりはいくつもの不調を同時に経験することの方が多いとされている。

だからこそご自身のキャリアを諦める女性が、日本の社会ではまだまだ少なくない。この更年期、確かに生理がばらついてきて最終的に生理が来なくなるというサインがわかりやすいわけですが、この更年期の不調を経験する方は全体の6割、そして更年期の不調で生活に支障が出る状態、この状態は更年期障害と言われていて全体の3割です。

今日皆さんに知っていただきたかったのは、女性・男性それぞれ健康課題って異なるんだよね。それぞれが経験しやすい、経験しうる病気についてあらかじめ知っておいて、それに対してできることを考えていこう。これがこれから私達ができることじゃないかなと思っています。

女性が良い状態で過ごすということはその人のためだけなんじゃないんです。周りにおられる大切な方のためでもあるということ。お母さんがご機嫌って、お子さんにとったらめちゃめちゃハッピーです。パートナーにとっても安心なことで、一緒に働く誰かにとってもありがたい。私はやっと気がつきました。最初に手放した6000万人男性の皆さんも、女性の健康を通して男性の皆さんを幸せにすることができるんだなって、本当に最近思えるようになりました。そう考えると産婦人科医になって本当によかったなって思っています」と語りました。

坂東泰子 三重大学 教授(医師)

また、「女性に知って欲しい心臓のハナシ」として、 坂東泰子 三重大学 教授(医師)は、心臓は血流を保つポンプ、女性のAEDを躊躇しない、心臓というポンプは自律神経にもコントロールされており、ウェルネスは心臓にも良いとの見解を示しました。

以上、「Go Red for Women Japan」健康セミナー「女性のココロと心臓のはなし -赤をまとい女性の心臓病を考える-」についてご紹介しました。ぜひご自身の健康に留意して、幸せな人生を送ってくださいね。

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