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掃除機をかけながら思う、夫婦で満たし合うことのしあわせ

冬の朝。あたたかい陽光が窓から差し込む気持ちのいい午前10時。
わたしはいま掃除機をかけている。


私は掃除が苦手。
先日そろそろ荒んでいるであろう私の様子を予見し、連絡をくれふらりと家に寄ってくれた産後ケアの師匠であるM子さんに、
スラダンのみっちーさながらに「先生……そ、掃除がしたいです……ッ!」と縋りついたくらいには、
苦手+いつも頭にはある厄介ごと。


だから、掃除機をかけた日は、必ずと言っていいほど夫に伝える。
私が三人息子を抱えてワンオペにならないように、大量の持ち帰り仕事と共に電車に飛び乗り、
たまに寝過ごして終点まで行って折り返し(終点が隣駅で本当に良かった)
三男坊の産前と比べて3時間は早く帰ってきた夫に。
帰宅早々息子たちに囲まれ、てんやわんやしながらお風呂上がりの身支度と歯磨きをする夫に。


三男の授乳にかこつけてのんびりソファーに座る(合法的な上2人への育児休業)、
ふたりきりの時間を待てない我慢の効かない甘えたなわたしは、
「きょうね、掃除機かけたんだよ。えらい?」
と、さながらとなりのトトロのメイちゃんのように、小首を傾げて夫に問う。


私は掃除が苦手なのだ。
でもやらなきゃいけないことは理解している。
だから褒めてほしい。
ちゃんとできたら最愛の夫に褒めてほしいのだ。
夫はもちろん、「すごいじゃん、ありがとう」などと最大級の正解を返してくれる。
そりゃそうだ。わたしのそれはもはや誘導尋問だから。それしかない。その言葉しか返せないのだから。


でも、捻くれずにちゃんと求めた言葉を返してくれて、
わたしはそんなルーティンのようなやりとりにただ満足してゆうきくん大好き、と口元を緩められるのだから、
それでいいのだ。
それしかないのだ。


愛されたい、褒められたい。
してほしいことはちゃんと伝える。
そうして自分を満たしていく。夫という対象物を利用して。
こうやって、自分の気持ちの良いように夫婦の関係を演出していくのも大切よね。
なんて、さもそれっぽく思いながら、
夫に褒められるために今日も掃除機をがんばる。
あぁあ。
早く帰ってこい。

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