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不本意な異動も、キャリアの可能性を広げるきっかけになる。

『私はスーパーサラリーマン』 会社員時代、不本意な異動で苦しんだ経験から出てきた自分の特性、強みを自己認識した時に出てきた言葉です。

新卒で入社以来8年、企業の人材採用をお手伝いする事業部で、企業の社長や人事担当者、働く方たちを取材させていただき、求人ツールを作る、そして、その広告で入社された方にまたまたインタビューや取材をさせていただく、といった仕事をしていました。

「いい人が採用できたよ。ありがとう」「この会社に出会えてよかったです」そんな言葉をいただいた時、本当にやりがいを感じることができ、「人が働く」ことに携わる仕事は、学生から社会人へ、私を大きく成長させてくれる、そんな仕事でした。

入社8年目。29歳の時。大きな転機が訪れました。グループ会社への出向です。求人広告制作から、雑誌や書籍、映像商品などの宣伝物制作へ、同じ「作る」でも、その目的、ターゲットは全く違うものとなりました。

テレビ局に出入りしたり、芸能人にも会えるチャンスもある華やかな世界、私の担当商材は、格闘技ビデオ(時代を感じます…)、月刊の漫画、ゲーム雑誌、音楽雑誌、そしてサブカルチャーの書籍と決まりました。

しかし、私は格闘技は怖い、音とか血とか、本当にダメ、漫画は小学生時代の「りぼん」以来、読んだことがない、音楽…クラシックは好きだけど、流行には興味なし。

自分が興味のないものを宣伝するって、どうすればいいの?!

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さらにその会社は、売上げが急激に伸びていた時期で、連日深夜までみんな必死に働いている環境。これって、私にやめろってこと?左遷?

当時29歳。自分の未来が漠然と不安で、このままこの会社でがんばった方がいいのか、でも、つらい。この年齢なら、きっと転職だってできる。もっといい会社があるかも。

転職をしたらどうなるのかな?このまま残ってがんばったらどうなるのかな?自分の未来を想像する。そして、上司は、同僚は、私に何を期待しているのかな?人事は何を期待して、私を出向させたのかな?想像する。

想像したことを、自分の、「Will(何がしたいのか)、Can(何ができるのか)、Must(何を求められているのか)」に落としていくことで、おのずと自分の進む道が見えてきました。それから、私だからできることは何か? 新しい自分の価値を創造しながら、日々を過ごすことになったのです。

ある日、2年の出向期間終了をまたず、次の辞令が… 「グループ会社のネットゲームの会社がまもなくサービスをスタートするので、宣伝担当として、出向してほしい」

「ちょっと待ってください!ゲームですか? 私はゲームには全く興味がない、むしろ嫌いだと言ってきたではないですか! 事例に従わなかったら、どうなりますか?」と本気で上司にくらいつきました。

しかしそこはサラリーマン。会社から行けと言われれば、出向でもなんでもするしかありません。その翌週には、新しい会社へ出向する身となりました。

ゲーム? ネットゲーム?(注:当時はインターネットはダイヤル回線の時代で、ネットゲームがない時代です)。周りはシステム系の方ばかりで、彼らが話していることがまったくわかりらない。

もうこれは完全に左遷だ。辞めるしかない。そうだ、辞めよう。

この時ばかりは、will Can Mustで自分の進む道を考えるというような精神状態ではなく、いつ退職願を出すか、そんなことを考えていました。

そんな矢先、私の歓迎会の帰り道、通りかかったゲームセンターを指さし、60歳近い、いつもは厳しい上司が「ちょっと、腹ごなししていこうよ」と中へ入り、突然「ダンス ダンス レボリューション」を始めたのです。かなり激しいダンスの後、汗びっしょりになった上司が「あ~面白かった! 老化防止にもゲームはいいねぇ」とごきげんさんで帰っていったのです。

ぴんと閃きました!

楽しくて、夢中になれるゲーム。「楽しい」「夢中になれる」。これって、人にすごいエネルギーを与えるのではないか? ゲームの新たな可能性を創造していきたい。そう思った瞬間、一気にこの会社での仕事にがぜんやる気が出てきたのです。

小学校の先生になりたかった私は、小学生がゲームに夢中になることに着目し、社長に交渉し、「ゲームの教育への可能性」についての研究会を立ち上げました。今でこそ、ゲームを使った学習が当たり前の世の中ですが、当時はゲーム=遊びだったので、大学の教授を筆頭に、10名以上の学校の先生が賛同してくださり、なかなか面白い研究ができたかなと思っています。

この2つの経験から、私は、どんな仕事でも、自分の中で『私がやることの価値』が見つけられれば、仕事へのエネルギーが沸くという自分の気づき、『私はスーパーサラリーマン』という自分の強みを認識したのでした。

不本意な異動に対して、左遷だ!もうやめる!と思った時、自分の未来や周りの人の思いを想像してみる。今まで興味がなかったこと、むしろ嫌だ、苦手だと思っていたことも、どうすればごきげんに取り組むことができるのかを考え、やってみることで、新たな自分のキャリアを創造することができる。

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『想像』『創造』 この2つを実践する親の背中を見て育つ子も、この2つの力を持つことができるようになる、私はそう、考えます。




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