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”いつも良い人”を卒業します。

わたしは怒ることができない。

というか怒り方がわからない。

感情が昂っても
相手がどれだけ憎たらしく見えても

相手を傷つけない言葉を探して
言葉が出てこなくなる。

しかも言葉が見つからなくて涙が出そうになる。

きっとそれは裏を返せば自己防衛なのだと思う。

相手を傷つけないことで自分を傷つけない。

平和的解決のように見えて、そうではない。



そして、わたしは断ることができない。

「ご飯行こうよ!」

誘っていただけることは、とっても嬉しい。

お友達ならば自分の予定が空いているなら
100%でお誘いを受けるのだけれど

でも職場の仲間からのお誘いは別だ。

女性の多い職場での
「ご飯行こうよ」は
だいたい愚痴大会になることが多い。

何より心を許していない人たちと
お酒を飲むと酔えないし
自分のペースで飲めないことが嫌だ。

世間一般的に”飲み会”と呼ばれるものに
苦手意識を持っている。


そんな苦手意識を植え付けられたのは
新卒入社3か月で退社した会社が原因だったりする。

わたしが入社したのは
ブライダルの映像制作会社で
映像業界はブラック企業が多いと
言われているけれど
そこはブラックの中でもまだマシなほうだった。


うん・・・マシだったはず。


イメージを崩すようで大変申し訳ないのだけれど

土日祝日だけは煌びやかな挙式会場で
スーツをビシッと着込んで
カメラを構えていたけれど
平日の業務を熟す社屋は全く別世界だった。

社屋は雨漏りするようなボロさだったし
部屋中に機材が溢れる狭いスペースしかなくて
撮影のない平日は編集作業や事務作業を熟す。

わたしはお局さんがわんさかいる事務担当で
新人の頃はシュレッダー係を任されることが多く
その側が喫煙所になっていて
よく上司たちにちょっかいを掛けられた。

言葉を選ばずに言わせていただくと
煙を吐き出しながら話しかけてくるのが
死ぬほど嫌だったし
上から目線で声をかけてくる上司に対して
本気で滅びれば良いと思っていた。

”とりあえず”上司なので
愛想笑いを貼り付けて乗り切ったけど。


すみません・・・
今日の記事はとても治安が悪いです。


続けますね?


そんな感じで
よくわからない年功序列や上下関係が多く
体育会系の職場だったわけですが

一番嫌だったのは
新人歓迎会での上司への挨拶回り。

歓迎会の前に
一年上の先輩たちから注意事項として
こんなことを言われた。

「ビール瓶を持ってまずは上司に注ぐ
上司に注がれたお酒は絶対に飲み干せ。」


・・・えっ?そんなの無限ループじゃん。


本当に意味がわからなかった。


一頻り上司と話が終わるまで
上司のグラスが空けば注ぎ
注がれては飲み
立ち上がるのもやっとなくらい飲まされ

一番最後に
いつも気にかけてくださる課長のもとで

「僕のところでは無理しなくて良いから
ここで休んで行きなさい。」

と言っていただけて、やっと肩の力が抜けた。

今になって思うけれど
部下がそんなふうになるのがわかってんなら
あんた(課長)が止めなさいよ!
優しい振りしてるけど、そうじゃねんだわ!

って思うけど。

その時は酔っ払っていたので
そんなこと考えることもできなくて。

案の定、次の日は起きられなくて
入社3ヶ月で会社に遅刻して怒られるという。

そのとき私の決意は固まった。


”この会社もう無理だ・・・”


そして私の新卒の会社での3ヶ月が幕を閉じた。

おかげさまで私の履歴書には
”新卒の会社を3ヶ月で退社”
というレッテルが貼られたけれど

いまの写真スタジオに拾っていただけた恩義と
素敵な職場に恵まれたことは
本当に今でも感謝している。


ということで現在に話は戻る。

今の職場のメンバーとの関係性は良好で
長いあいだ苦楽を共にしたメンバーが多いので
飲み会を断ることはあんまりないんだけれど

「飲みに行こうよ」

このテンション感で
今日はただの楽しい飲み会なのか
愚痴大会になるのかがわかる。

これまでの私ならば
関係性を築くためにも必要だろうと
全て断ることはなかった。

飲みニケーションとはよく言ったもので
これは親睦を深めるために大切なことだ
と思うから。

でもわたしの中には
それ以上に仲間外れになりたくないから
という理由もあったと思う。



わたしは怒ることもできないし
断ることもできない。

だって良い人に思われたいから。


もちろんそうすることは
人間関係を良好にするために
必要なことではあるけれど

どちらかと言うと
自分の心をおざなりにする方を選びがちで
自分を押し殺してまで
良い人でいる道を選んできた。

そのほうが生きやすい。


でも私にだって嫌なことはある。

例えば

ステータスでしか人を評価できない人

自分を過大評価する人

不利益でしかない飲み会

強い香水のにおい

煙草のにおいをつけたまま
お客様の前に出る人

見せかけの優しさで自分に酔いしれる人


最後の言葉は、わたしも人の事は言えない。

過去の自分はまさしくそれに近い。

今はそうではないかと言われれば
なんともいえないけれど。


でもこの前、ちゃんと断れたんだ。

誘っていただけたことは
とっても嬉しかったけれど。

出勤先が自宅から遠い店舗で
早く帰りたいと思っていたから。

自分の意思を尊重した。

そしてちゃんと相手にそれを伝えた。

嫌な顔をされるかもしれないって
嫌な気持ちにさせるかもしれないって思ったけど。

でも相手は
「わかった!じゃあまた今度ね」
と言ってくれた。

それで良いんだ。

少なくとも私の周りにいてくれる人は
そんなことで腹を立てたりしない。

それがわかった。

私の中でちょっとだけ勇気を出して
断ってよかった。


良い人で生きることはもう卒業しよう。

私らしく生きるってこういうことなんだ。


noteで文字を綴るときだってそう。

いつも綺麗で心地いい文章を書こう
って思っていたけれど

たまにはこんなふうに
ありのままを曝け出すのも悪くない。

皆さんが受け入れてくれるのならば
たまにはこんな皮肉を
言ってみてもいいでしょうか?

お伺いをする必要もないでしょう。

noteを読んでくださっている方は
とても寛大で思慮深い方ばかりなのを
わたしは知っている。

いつもご覧いただきありがとうございます。


花崎 由佳

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