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私の帰る場所
先週5日間の連休をいただいて、そのうち3日ほど実家へと帰省した。
私の実家は山と川しかない田舎町だ。
とはいえ観光地なので生活に必要なものは近場である程度揃う住みやすい町。
私は実家に帰ると必ずやる事がある。
それは自分の車であてもなくドライブをする事。
今回はよく行く山の頂上にある公園へと向かった。
家を出て10分ほど走ると山道へと向かう狭い入口があって、そこからひたすら右へ左へくねくねとした道を進んでいく。
公園に向かう道だからか、ある程度道は舗装されているので走りやすいが、時より狭い道にぶつかり対向車が来るとヒヤッとする場面もシバシバ。坂道だし、クーラーをガンガンに効かせた軽自動車は速いスピードで走れないので問題はないのだけれど。
さながらアトラクションの様な山道は大きな木々に囲まれているのだが、私はその道を走るのがとても好きだ。
ギラギラと照らす太陽の光が木々の隙間から木漏れ日となってキラキラと地面を照らし、車の窓を開けて深呼吸をすると草木の爽やかな匂いがする。
『帰ってきたな』
その瞬間泣きそうなほど嬉しい気持ちになる。
小さく狭くなってしまっていた心が一気に解放されたような気分だ。
そのまま山道を上がっていくと、時より木々が開けて景色を一望できる場所が現れる。
ここは私の大切な場所だ。
なんにもないけど、なんでも受け止めてくれる景色。
ここ最近、仕事で疲れて家に帰って、好きな音楽や動画を見て癒されて、また次の日に仕事へ向かう日々。悩みはあれど忙しさにかまけてどんどん後回しになって積み重なっていた。
そんな重苦しい気持ちを真っさらにしてくれるような広い青空がすごく眩しくて、風が吹くと木々が揺れてザーッと優しい音を立てる。
『帰ってこられてよかったな』
こんなに空を見上げたのはいつぶりだろうか・・・
なんだかさっぱりした気持ちになって実家に帰ると父が仕事から帰ってきていた。「おかえり」と手を振りながら家の庭でせっせと何かを準備している。今日はバーベキューをしてくれるそうだ。久しぶりの家族での食事はとても楽しくてあっという間に時間が過ぎていく。
こんなに長い期間、実家に帰るのは年末年始以来で、私にとって充実した休日となった。
「私の帰る場所」はずっとここにある。
いつでも帰っておいでと言ってくれる人がいる。
そこさえあれば私はきっと迷わず進んでいけるだろう。そしてそれを守るために私はこれからも進んでいく。
由佳
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