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「THE やんごとなき雑談」読書メモ

俳優の中村倫也さんのエッセイ「THE やんごとなき雑談」を読んだ。

私の妹が中村さんのファンで「倫也(呼び捨て)の本が出たから買った!」というので、借りたのである。妹は普段私より本を読まないのに、この本については「姉ちゃん、貸すから早く読んで!!」と食い気味に言ってくる。借りてからも「ねえ、どこまで読んだ?」とLINEでしつこく聞いてくる。読書量と反比例して圧すごくない???とじんわり苛立ちながらページをめくった(中村さん、ごめんなさい)。

ダ・ヴィンチの連載エッセイをまとめたというこの本は、本人のキャラクターさながらゆるっと文章が始まる。でも時に鋭い内省と自虐が織り込まれている。自虐、というのは少し言い過ぎかもしれない。彼は自分を責めているわけではないからだ。

遅咲きや苦労人とも時に評されることもある俳優という彼の仕事、学生時代の思い出、それを今の自分が振り返った時の冷静な見解、独特なテンポとチャーミングさにクスッとさせられながら、ゆるゆる、するすると読み進められる。「ああ〜この人は頭がいいんだな」と時々、でも確実に気づかされる。文章を書くのがうまいって素敵だな。この人の演技を観たいなと思わせてくれる本。仕事への葛藤や考え方なども実直に綴られているので、琴線に触れている感があり、ファンの方はますます好きになってしまいそう。

そんな私は今度、妹が見事に当てた彼の舞台を観にいく予定だ。その前にこの本に出会えてよかった。幕が開けるのを、焦がれて待っている、そんな私はもうすっかりファンなのかもしれない。


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