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今回の災害をどう受け止めるか(102/1000)

「熱海の森林保全を通して地域復興と持続可能な林業に取り組むNPO法人キコリーズが、今回の災害をどう受け止めますか?」
とある記者さんから投げかけらました。

熱海伊豆山の土石流災害から1ヶ月。少しずつ日常を取り戻しながらも、まだまだ非日常的な光景や情報が飛び交う熱海です。

わたし自身もがむしゃらに、リアルな目の前の怒涛の如く流れ込む情報にしがみつきながらすごしてましたが。この機会にこの記者さんのご質問の回答を冷静に考えてみようかと。
まず災害をどう受け止めるかという本題の前に、熱海の背景をお伝えします。

熱海の森林が抱える課題とは?

熱海に限らず、近年の日本では、戦後に植栽された樹齢50〜70年の木が放置されたままの放置林と呼ばれる森林が数多く存在しています。適切な間伐の実施されていない放置林は、土砂災害や環境汚染の原因です。

海のイメージの強い熱海市でも、森林率は約63%と高く、その多くが放置林という課題を抱えています。

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間伐が環境にもたらす良いこと

間伐をすることで様々なよいことがあります。

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●光や風が入り新しい生態系も育まれる
●土砂崩れを防ぎ、海洋生物を守る
●肥えた強い土壌をつくり保水力も期待できる
●人が入りやすい憩い・学びの場所が生まれる
●3密を防げる森と人が共存できる場所になる

我々、熱海キコリーズは、このような放置林の間伐を行うことで山の再生を目指してきました。

さらに間伐材を伐りっ放しにせず、製材加工することで付加価値をつけ我々の愛すべき地元に還元してゆく、という『地産地消』な取り組みを実施してきました。

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間伐は必要な理由は過去にもまとめております。


今回の災害をどう受け止めるか

自然との共存することの難しさを実感しました。と同時に、山での目がソーラーパネル開発など人間の都合による、森を守らない「皆伐」は山に負担がかかってしまいます。自然に対して負担のかかる不自然すぎることを行ったことも少なからず土砂災害にも影響があったのではないかなとも思います。

いままでも、災害現場で木材を有効に活用いただきました。

『熱海市産の間伐材を熱海市に還元する地産地消の取り組み』この熱海キコリーズの掲げる、活動骨子は変わらないと思ってます。

唯一、非日常的でいつもと違うのは使用用途が「"災害における"復旧活動のための、家屋改修のための間伐材活用」を無理なく蓄えつくりながら熱海のためにやっていくべきでは?ということを我々も考えるべき時がきました。自助力を高めていくためにです。

これからのビジョン

「ビジョン」なんていう、おおきなことは言えませんが。

熱海市で森林保全活動をしている立場として。

今までと変わらず熱海市にどう還元してゆくか、後世に残る森づくりをどうしてゆくか。を考えてます。

熱海の森を守るための「間伐材」を熱海の街を・人を助けるために行政や民間団体とも連携しながら活用してゆくのは必然的な活動になってくるとおもいます。

引き続き災害支援サポートがサステイナブルに無理なくスムーズにできるような仕組みづくり体制づくりを考えていきたい。

そして、森林保全の大切さを教育・体験を通して伝えていきたいとおもってます。

ちょうど8月〜12月に、静岡県が主催する「森林教育指導者養成講座」を熱海キコリーズのメンバー3名が受講します。受講完了することで静岡県下での講師としての活動できるようになるそうです。正しい知識を身につけて未来を守る森づくりを、後世に引き継いでいけるようにしたいです。

その体験・教育の拠点となるのが、この森林浴フィールドになるかなとおもいます。※災害の影響もあり完成予定はやや後ろ倒しになる可能性あり

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当事者として災害を経験してないわたし自身、そして熱海市に与えられた試練の時間になるとおもいます。みんなで今後考えていきたい。
山も海も身近な熱海でどう自然と共存するか?
どう防災知識を身につけるか?
どうこの災害を乗り越え復興してゆくか?


この災害を忘れないために、風化させないために。今後もしっかりと自分の身の丈に合うできることを、じっくりしっかり考えていきたいと思います。

日常の中で、非日常を精いっぱい生きながら。

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