狂言のお稽古をはじめたことによる體(からだ)の変化とフルートの演奏との関係性
皆様、こんにちは😊
フルート奏者・作家の向(むこう)由佳でございます。
本日もご覧くださいまして、ありがとうございます。
感謝申し上げます✨
さて。本日は「狂言のお稽古をはじめたことによる體(からだ)の変化とフルートの演奏との関係性」についてお話しします。
元々、狂言を拝見するのは好きなのですけれど、今までは、地元で開催されていたワークショップに参加する程度で、本格的にお稽古をしたことはなく、ほぼ初心者という状態でお稽古をスタートさせています。実は、今年(2024年)の7月にお教室を見学させていただき、9月に正式に弟子入りしました。講師はプロの狂言方の先生です(近年では「狂言師」という職業名が一般的になっておりますが、正式には「能楽師 狂言方(きょうげんかた)」と言います)。
狂言を学んでいると申し上げますと「どうしちゃったの?」と驚く方もいらっしゃるかもしれないのですが、これには私なりの理由があるんですね。元々は、フルートの演奏に必要な筋力をつけるために筋トレをやっていたのですが、どうも自分の中で腑に落ちない感じで、色々なことを学んでいくうちに「外側の筋肉より内側の筋肉が重要」というところまでは理解できていたのですが、どうも何かが違うような気がしていたのです。
そして、今年に入ってから、日本人の古来の體(からだ)の使い方について情報を集めていたのですが、それがすごく合理的で理にかなっているということがわかりましたので「なんらかの形で、日本人の古来の體の使い方を学びたい」と思っておりましたところ、「能楽(能と狂言の総称)の動作は古来の日本人の動きだ!」と全身に電流が走りまして、私は狂言を選んで学ぶことになったという経緯がございます。
なぜ、能楽なのかといいますと、野村萬斎さんのお話を何かで見聞きした際に「一切、筋トレを行っていない」ということを仰っておられまして、(萬斎さんのお舞台を拝見するとわかるのですが)ものすごくお声が大きくて響くんですよ。科学的な分析でも「足の裏から声が出ている」という結果もでているそうなのですね。
声をホールで響かせるために必要になってくる筋肉は「体幹」なのですが、筋トレをやっていない萬斎さんの声が響くということは「能や狂言の動作によって体幹やその他のインナーマッスルが鍛えられているのではないか?」という仮説が私の中で立ちまして、そのような理由から狂言の體の使い方と発声を学ぶことは理にかなっているのではないか?と思ったわけです。ちなみに、萬斎さんは激しい舞台を終えた後に、体脂肪率が一桁台になるそうです。筋トレを全くなさらないのに。そこにヒントがあると私は考えています。
筋トレをやっている演奏家の方は非常に多くいらっしゃいますが、間違えた筋トレによってパフォーマンスが下がっている方もいらっしゃると伺っております。どこの筋肉をどう鍛えるかということも考える必要があるでしょうし、特に管楽器の演奏は全身運動ですから、部分的な筋肉を鍛えるよりも筋肉の連動を考える必要があるのではないかと私は考えています。
そこで、実際のところですが、まだ體の部分については、小舞(こまい。狂言の舞)を習い始めたばかりなので、これといって目立った結果は見えていないのですが、普段使わない筋肉を使っている感じがあるのと、手足胴を連携させて動かすので、関節が良く動く感覚があります。それがどこまでフルートの演奏に関連してくるかは現時点ではまだわかりませんが、謡(うたい。能や狂言のコーラスのようなもの)を7月に狂言教室を見学した後から可能な時に自主稽古していたからか、横隔膜の動きがスムーズになってきて、従来より呼吸が深くなり、今まで息がもたなかったフレーズが楽に吹くことができるようになってきました。このまま狂言のお稽古を続けていくと、舞台に立つための體が出来上がっていくのではないかと、これからが楽しみです。
アイデンティティの確立という意味でも、日本人なら日本人の體の使い方で西洋の音楽を奏でていくというのもアリではないのかなと、個人的に思っていたりしています。
実は身体能力の高いアスリートの中には日本人の古来の動きを導入している方もいらっしゃるようです。古武術などでも、そのような動きを学ぶことは可能かもしれませんね。
能や狂言のお稽古は若干の違いがあるものの、ほぼ同種のお稽古ができるかと思います。能では謡と仕舞(しまい。能の舞)、狂言では謡と小舞(こまい。狂言の舞)をプロから習うことができます。直接、先生のお教室で習うこともできますし、全国のカルチャーセンターでも習うことができますので、気になるかたは見学に行かれると良いのではないかと思います。
必要な方に届きますように。
※写真は「写真AC」よりダウンロードしました
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