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900年前の趣を残した村

イタリアでは昔からの姿を保つ素晴らしい村を評価する“I borghi più belli in Italia” (イタリアの美しい村々)という協会があります。ISO9001の認可を得て、フィレンツェやローマの様な有名な場所でなく、小さな村を文化遺産として見直す狙いがあります。
現在イタリア全土で360の集落が、トスカーナにも14の村が登録されており、私が住むフィレンツェのエリアには5つあります。

今回はその内の一つをご紹介します。

サン・ドナート・イン・ポッジョ。ワインで有名なキャンティエリアにある小さな村です。

車でフィレンツェから40分ほど。緑豊かな丘陵に佇む、12世紀の町並みを残す所です。古い村ならではのがっしりとした石の城壁、低めの建物、敵の攻撃を受けないための小さい窓などが今でも日常に溶け込んでいます。



一般家庭の玄関
街角には紫陽花が咲いていました
村の入口

1218年フィレンツェの支配下に入ってから、ローマ、フィレンツェ間の旅人の中継地点として賑わいました。特にフィレンツェの領土に入る前に両替を行う場所として、重要でした。また、フィレンツェと敵対していた南のシエナ共和国との中間地点でもあったため、両国が和平協定を署名した場所でもあります。

ですが14世紀末、近くの町が中継地点として発展し始めたことをきっかけに、サン・ドナートは徐々に廃れていきます。それが功を奏して、町並みが破壊されることなく、かつての趣を強く残しています。今は時が止まったような穏やかな雰囲気です。


村の外
主要道
かつての政庁。今は市役所兼案内所。
井戸
一般家庭のお庭
もう一つの入口

人口は800人程度、主要道から離れているため公共バスもほとんど通りません。
少し名は知られるようになりましたが観光地化しておらず、今でも歴史地区には地元の人達が住んでいます。私が着いた時はお昼時で、村中に各家からおいしそうな香りが漂っていました。

30分もあれば一周でき、村の外に目を向ければブドウ畑、オリーブの木、林などが広がっています。なので、フィレンツェから少し郊外に出かけたい時やトスカーナの小さな村巡り、もしくはキャンティのワイナリーと合わせて訪れると丁度いいです。


都市化していない、足を踏み入れると中世にタイムスリップした様な気分になれる村を訪れる旅もいいと思います。豊かな緑と歴史建造物。行くだけでリラックスできます。


フィレンツェやトスカーナ州にお越しの際の参考になさってみてください。


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