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モーセの物語

今日も引き続き、シエナ大聖堂のモーセを表した作品から。

昨日ご紹介したホルブ山での水の奇跡の次の場面には、シナイ山で神様から律法を記された石板を授かるお話が表されています。


ドメニコ・ベッカフーミ 「モーセの物語」 1530年代後半 シエナ大聖堂

湧き水を始めとした様々な奇跡を目にしたにも関わらず、モーセについて来たイスラエルの民は長旅による不便から不満を強く訴えるようになります。モーセを介して神様の力で助けられた時は感謝しても、すぐに忘れて文句ばかりでした。

エジプトから出て3カ月目、彼らはシナイ山の麓に着きテントを張ります。モーセは神様の言葉を聞くために山へと登り、10の主の教えを授かります。それを民へ伝え皆が必ず守ると近った後、また山頂へと戻ったのでした。

モーセ、山へ



しかし40日間モーセが山から戻って来なかったために民は不安に駆られます。見える神様でなければ安心できなかった彼らは、偶像崇拝を主から禁じられていたにも関わらず黄金の子牛の像を作り、崇め始めてしまいます。


手持ちの金のアクセサリーを集めて溶かし、金の仔牛を作ってしまう



一方、神様の教えを刻んだ2枚の石板を受け取ったモーセは、神様から民が堕落したことを聞かされ、野営地に戻ったのでした。そこで民が偶像に取り憑かれるように歌い踊っている様を見て激高し、勢いで石板をたたき割ってしまいます。


神様から授かった石板を怒りのままに叩き割ってしまうモーセ

シエナ大聖堂の床の装飾では、同じ枠の中に複数の場面が、まるで開くと飛び出す絵本のように語りかけてくれます。

シエナの大聖堂の床は全てで54場面。入口から祭壇へ向かって、キリスト教の教義で最も大切なキリストによる救済を伝えるようにプログラムされています。今回取り上げたモーセの物語の後は、ダヴィデ王の話と「イサクの犠牲」が続きクライマックスを迎えます。

シエナにいらっしゃる時の参考になさってみて下さい。

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