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石畳の道 (京都 北野天満宮)

わたしが京都に引っ越したのは、2022年の春のこと。
梅の花が咲き始める頃、北野天満宮のすぐ近くのシェアハウスを見学し、1ヶ月後には住み始めた。

京都はこじんまりとした街なので、自転車に乗って、市内どこでも行くことができる。
知らない道を走るのは楽しい。
20分もあれば、鴨川まで行けるのが嬉しくて、気になるカフェやパン屋さんを横目に見つつ、自転車を漕ぎまくる日々。

行きも帰りも決まって通るのが、上七軒の参道だった。
今出川通の上七軒交差点から北野天満宮へと続く、石畳の道。
花街ということもあって、歌舞練場からの練習帰りだろうか、舞妓さんを何度か見かけたこともある。
京都らしい風情のある街並みは、通るたびに好きになる。少し遠出をした夜道でも、石畳の道まで来ると、ああ帰って来れたと安心した。

京都に引っ越して、1年が経とうとしている。
知らなかった場所も初めての道も、今ではすっかり馴染みになった。

去年の12月に、上京区内でまたもや引っ越しをしたので、石畳の道は、毎日の帰り道でなくなってしまったので、少しさみしい。
けれど、ふと前を通りかかった時に「帰って来た」という気持ちになる。
たった1年で、わたしは何も変わっていないようにおもうけれど、1年前には顔も名前も知らなかった人と、仲良くなって、笑いながら一緒にごはんを食べたりしている。
通ったことのなかった道を、ふるさとのように感じたりしている。

部屋着につっかけ姿で、天神さんまでの道をぷらぷら散歩しているわたしは、1年前のわたしより、この街に馴染めているような気がする。

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