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第百三十八話:亡くなってから感じる不思議なつながり

 ずっと力が入らず、無気力な日々が続いた。
それでも少しずつだが、一緒にいれたのは短い間で、今はすごく辛いけれどもルトフィーとの出会いに意味があったんだと少しずつ思えるようになってきていた。

 ジェームズ(や元夫)に振り回され、毎日落ち込み泣いていた何年間から、自分自身の気づきもあったが、ルトフィーとの出会いもあり、その負のスパイラルから抜け出すことができ、本当は人生って楽しいし自分は愛されている存在だと気付くことができた。
 ルトフィーが亡くなったからって、元の状態に戻ってしまったら、彼との出会いを否定してしまっているような気がした。このまま前向きに生きていきたいし、彼との出会いを無駄にしたくない!そう強く思った。


 そして、一週間ぶりにジムへ顔を出した。
ジムは彼と出会った場所だし、色々思い出もある。だから行くのが恐かった。
 久しぶりにいくと、いつもジムで挨拶をするトレーナーの女性に会った。
一週間もジムに行かないことなんて今までなかったのもあり、「どうしてたの?具合でも悪かった?」と声をかけられた。
 ルトフィーが亡くなったことで、ショックを受けて来れなかった旨を伝えた。時々私たちが話をしているのを見ていた彼女は、抱きしめてくれた。
 少し話をしていると、彼女はルトフィーの義理のお姉さん達のトレーニングを毎朝しているので、明日一緒にルトフィーの家に行こう!と誘ってくれた。
 一人で悲しんでいるより、彼に近い人達に会うことが絶対に心の支えになるから、と遠慮がちな私を押してくれた。

 翌日、ジムで待ち合わせをして、一緒にルトフィーの家に向かった。
車が停まった場所は、びっくりするほどの豪邸だった。そして、とてつもなく広い客間に通された。
 お母さんや、義理のお姉さん、そして親戚などが入ってきて、緊張する中、一緒にいったトレーナーの人が私をみんなに紹介してくれた。
 ジムで一緒だったことや、誘われてタッチラグビーを一緒にやっていたことを話した。お母さんが「プライベートのことは何にも話してくれなかったから、タッチラグビーをやってたことも知らなかったの。話をきけて嬉しい。」と言ってくれた。
 どうやって亡くなったことを知ったのか聞かれたので、友人のストーリーで見たこと、そしてその日信じられず墓地の前まで行ったことを話した。
 するとみんなが一斉に、「じゃあ、あの日お墓にいたのはあなただったのね!埋葬にいったみんなが、アジア人の女の子がいたって言ってたけど、誰もそれがだれだか分からなくて、誰なんだろうってずっと話をしてたの!」と叫んだ。

 その時、こうやって不思議なかたちで導かれるようにここに来たことにも意味があったんだなぁと思った。

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