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【絵本紹介】続・平和への祈りをこめて~ヒロシマに関する絵本その2~


以前の投稿で、広島の原爆に関する絵本を紹介しました。


これらはどちらかというと、低学年でも読める、原爆をテーマにしているものの入口になるような絵本でした。

今回は、高学年以上の、ちょっと強く刺さるところのある絵本を多めにご紹介します。


「忘れてはいけない4つの日」のうちの1日にまつわる、こんな絵本を手に取る時間があるといいなと思います。


※「忘れてはいけない4つの日」とは
6月23日 沖縄慰霊の日
8月6日 広島原爆の日
8月9日 長崎原爆の日
8月15日 終戦記念日
で、宮内庁のHPにも載っています。



■8月6日のこと(中川ひろたか 作  長谷川義史 絵  河出書房新社)


わたしのおかあさんは せとないかいのしまのうまれ
わたしのおじさんは へいたいさんでした

8月6日
せとないかいは そのひもおだやかなうみでした
おかあさんは しまからとおくのそらが ぴかっとひかったのをみました


作者、なかがわひろたかさんが、広島の原爆で亡くなった伯父と、被爆者になった母の体験をもとにつくった絵本です。

言葉は多くなく、どちらかというと淡々と話が進んでいくのですが、それがかえって余白を生んでいる気がします。

受けとった側に、それぞれ響くものがあるお話です。




■ヒロシマ 消えたかぞく(指田和 著  鈴木六郎 写真  ポプラ社)


広島に原爆が投下される前は、戦時中でありながらも、町の人々は日々の暮らしを営んでいました。
散髪屋さんをしていた鈴木六郎さん一家も、家族6人、笑顔のある暮らしをしていたのです。
お父さんの六郎さんはカメラが趣味で、たくさんの家族写真を撮っていました。

1945年8月6日。
一発の原子爆弾がヒロシマの上空で炸裂し、六郎さん一家は全滅しました。


ヒロシマの絵本というと『さだ子と千羽鶴』『伸ちゃんの三輪車』などがよく知られていて、子どもたちも同世代の話だけに伝わるものも大きいようです。

『ヒロシマ 消えたかぞく』も実話で、写真絵本です。
お父さんの六郎さんが撮っていた写真で構成されています。
私たちと同じような「お父さん」が家族を思って撮ったあたたかさが伝わる写真と、対照的に家族それぞれが被爆後辿った悲惨な最期が、私たちに迫ってきます。

これは、言葉ではうまく伝えられないので、ぜひ本を手に取って見てほしいです。

私は勤務校の学校図書館で、6年生の平和学習のために並べられていた本の中で見つけました。
みなさんの学校図書館にもあるかもしれません。




■さがしています(アーサー・ビナード 作  岡倉禎志 写真  童心社)


わたしにとって「いま」はいつでもあさの8時15分。
「おはよう」のあとの「こんにちは」をわたしはさがしています。

レイコちゃんはぼくのふたをあけて、ごはんと豆をたべてくれるはずだった。
レイコちゃんがいえなかった「いただきます」を、ぼくはさがしているんだ。


原子爆弾を受けて甚大な被害にあったのは、モノたちも同じ。

この絵本では、その「モノ」たちが主人公になり、語り部となってあの日のこと、自分の背景のこと、持ち主のことを語ります。

淡々と語られる「モノ」たちの話に耳を傾けるほどに、私たちに迫ってくるものが大きくなる気がします。

絵本に登場する「モノ」たちは、すべて広島平和記念資料館に収蔵されているものだそうです。

これから広島に修学旅行に行く6年生は、実物と向き合える時間を持つことができますね。




■この計画はひみつです(ジョナ・ウィンター 文  ジャネット・ウィンター 絵  さくまゆみこ 訳  鈴木出版)


砂地の山ののどかな風景の中に、車が何台もやってきました。
地名もなく、ひみつにされたこの場所に、世界のあちこちから集められた優秀な科学者たちがやってきました。

そこで働く人たちは、ここで何が行われているかも知らず、ここで働いていることをだれにも言ってはいけないと、口止めされていました。

「ウラン」や「プルトニウム」を使って巨大な力を生み出す装置は、2年かかってとうとう完成したのです。


マンハッタン計画と言われるプロジェクトによって原子爆弾が作られ、実験ののち、広島にウランの、長崎にプルトニウムの原子爆弾が落とされました。

それ以降、原爆が戦争で人を殺すために使われたことはありません。
しかし、まだまだ存在している核兵器がゼロになることを願って、著者2人はこの絵本をつくったのだそうです。




■絵で読む 広島の原爆(那須正幹 作  西村繁男 絵  福音館書店)


またあの日がやってきました。
広島の空は晴れ上がり、暑い一日が始まろうとしています。
あの日の朝もたくさんのセミが鳴いていました……。


生存者の証言を元に、広島の町や、そこに暮らす人々の様子を再現した本です。

見開き全体に描かれた穏やかな広島の町が、一発の原子爆弾で地獄のような町に変貌してしまったことが伝わってきます。

また、話の随所に、原子爆弾の仕組みや開発の過程、被害の実態などが克明に書かれていて、資料としても活用できるものになっています。

読み聞かせというより、各自でじっくりみてほしい本です。

「毎年、毎年、くり返し、くり返し、わたしたちは、あの日のことを思い出そうではありませんか。
たとえ被爆の体験がなくても、あの日、広島でおこったことを記憶して、絶対に忘れないことが、残された者のつとめだと考えるからです。」

著者のこの言葉が、年々重みを増しているのではないかと感じています。




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子どもたちの心に種をまくように、ちょっと心に響いたり、何か行動してみようと思えたり、そんなきっかけになる絵本を集めました。


主に小学校の教科の学習の中で、関連づけて読み聞かせができる絵本を紹介しています。


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なぜ小学校で読み聞かせをするのがいいのか、学級づくりにどう役立つのか、そんなことも書いています。


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子育て中であり仕事にも忙しかった小学校の先生の私が、少しずつ意識を変え、生活を変え、夢を叶えていったお話を書いています。





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