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中堅社員の経験学習を促進するマネジャーの関わりとは?
中堅社員に対して、マネジャーはどんな関わりが求められているのでしょうか。若手社員や新入社員ではなく、中堅社員を扱った論文をご紹介します。
論文名:組織業績と部下育成を両立するマネジャーが行う 中堅社員に対する経験学習の促進と内省支援の質的研究/廣松ちあきさん、尾澤重知さん
組織業績と部下育成を両立するマネジャーを対象に、中堅社員の経験学習の促進と内省支援の把握を目的とした質的研究の論文です。
中堅社員の特徴と育成の課題
ちなみに今回の研究対象となっている中堅社員について、論文では下記と説明しています。
「新人・若手社員期間(入 社5年目以内程度)を過ぎた20代後半から中間管理職の手前までの社員(入社5~15年程度)」
中堅社員は仕事も慣れてきてできることも増えている段階なので、さまざまな役割を期待されているものの、業績を挙げ仕事に意欲をもつ「ハイパフォーマー層」と、仕事に意欲をもてない「ローパフォーマー層」の間に位置し該当者数の多い「中間層」の中堅社員について、その育成の必要性も指摘されています。(人材育成学会 2019, 守島 2015)
マネジャーの役割と課題
マネジャーについては下記と定義しています。
組織において特定の部署を統括し、その業績について責任をもち(DRUCKER 2001)、部下を通じて組織成果を挙げるために部下育成の責任も負う(佐藤 2016)中間管理職とする。
また、マネジャーが担う役割については、DRUCKER(2001)が指摘する下記の役割が紹介されていました。
「目標を設定する」「組織する」「動機づけとコミュニケーションを図る」「評価測定する」「人材を開発する」 5つの役割
この指摘を見るだけでもわかるように、マネジャーには業績達成行動と、部下育成行動の両立が求められています。
一方で、ワークス研究所(2020)の調査によれば、回答したマネジャーの 90%以上はマネジメント業務とあわせて自分自身の担当業務をもっているという結果からもわかるように、充分に部下育成に注力する余裕を持てない状況にもあります。
マネージャーの部下育成における内省支援
職場における仕事を通じた内省支援は多様な他者から行われ、(中原2012,松尾2017)中でもインフォーマルなOJTにより、仕事を通じて育成される中堅 にとってマネジャーが担う内省支援の役割は大きいとこの論文では述べています。
中堅社員は現場の仕事経験から学ぶことが重要であるにもかかわらず、新入社員や若手社員と比較してマネジャーからの経験学習の促進を目的とした内省支援行動の研究は少ないのが現状です。
リサーチクエスチョン
この論文のリサーチクエスチョンは下記です。
内省支援を必要とする中堅社員の特性をふまえて、組織業績と部下育成を両立するマネジャーの仕事のPDCAサイクルを実践する行動が、どのように中堅社員の経験学習を促進し内省支援と関連しているのかを明らかにする。
調査方法
半構造化面接法によるインタビュー調査を実施。オンライン通話システムを利用。インタビューに要した時間は一人あたり約1時間程度。
質問項目
(1)中長期的な組織ミッション/あるべき姿、中長期/今期の目標、組織ミッション/あるべき姿を実現するための組織課題、現在の業務状況、 組織構成員について
(2)マネジメント上の課題
(3) 内省支援が必要な中堅社員に対する具体的な関わり方 と内省支援のあり方
分析方法
M-GTA(修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)(木下 2003, 2007)
結果
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・マネジャーは、仕事に関する展望と部下育成に関する展望を統合した2~3年程度の中期的な計画にもとづき、PDCAサイクルに沿った業務マネジメントを進めていた。
・そして、そのマネジメントプロセスを通じて、中堅社員を組織が求める役割期待や当初の計画と、実際の行動や結果とのギャップに向き合わせていた。
・中堅社員の気づきが最も深まるタイミングを見逃さずに経験の意味づけを促す働きかけを行っていた。
・この働きかけは、マネジャー自身が能動的に内省し、自分のマネジメント行動の改善や育成の意味づけを深めることによって促進されていることがわかった。
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