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【無料】漫才か漫才じゃないか論争はマシだったと言わざるをえない

陣内智則さんがエンタの神様で披露したコントにクレームが寄せられたというニュース。

郵便局で収集した手紙を勝手に読むネタに対し、「勝手に手紙を読むな!」とSNS等々で正論を振りかざしたお叱りを受けたとのことですが…

まあ、、、それはいいんです。

"イチャモン言い"なんていつの時代でも存在したと思いますし、おそらくSNS等々でクレームをつけている人たちも本当には怒っていないと推測されます。
もしも本気で怒っているならば、何に対して怒っているのか逆に興味が湧きます。

これは何でもかんでも個人が発信できる時代になったがゆえの弊害であり、ネット社会が巻き起こしている負の一部分。
本来なら全く気に留める必要もないのですが、何より問題なのは

イチャモンを無視できない時代であること。

テレビにはスポンサーもいるので、あらゆるクレームに対して敏感になっておかなければいけない。
昔のように制作費が潤沢なわけでもなく、コンプライアンスの観点からもシビアに向き合うべき案件は増えている。

「いやいや、お笑いやん!」「ただのネタですやん!」で通じたものが通じなくなってきているのだ。
おそらくは観る側のレベルが低下したのではなく、イチャモンをぶつけられるツールができあがった文明の進化が手繰り寄せてしまった新たな局面である。

ネット社会以前も、テレビ局への抗議電話というものは度々あったとの話を聞きます。
「子供に悪影響だ!」「食事時に何て下品な!」
様々なクレームが電話で寄せられたとのことですが、その大半は同じ人からの抗議だとも聞いたことがあります。

たしかに、テレビ局の電話番号をわざわざ調べて家の電話から電話をかける作業は想像するだけでかなりの労力を要します。
「抗議電話したい!」と思いついたとしても、面倒くさいしやめとこかな…と冷静になる人のほうが大半を占めると予測されます。
しかも、電話となれば通話相手が存在し、会話によるコミュニケーションも必要。
そのハードルを越えてまで抗議をしてくる絶対数は少ないので、自然と抗議してくる人たちは同じ人になっていくという仕組み。実に分かりやすい。

だが、今は指先一つで手軽にポンポン発信することが可能。
しかも、それに対するリアクションの跳ね返りもあるので、ヤミツキになりかねない。
エンターテイメントとまでは言わないが、クレームや批判をすることが一つの楽しみになっている可能性だってある。

国民のほぼ全員がスマホを持った段階で、この流れは止められない。
やる人はやるし、やらない人はやらない。
それ以上でもそれ以下でもない。

だからこそ、今求められているのはイチャモンに対するできる限りのスルーではないだろうか?

何かしらのイチャモンをつけられることは大前提にしておいて、その上で何事もないようにスルーを積み重ねていく。
リアクションがクレーマーを喜ばせてしまうならば、リアクションを取らないことが1番なのだ。

陣内さんもこの件について自身のYouTubeチャンネル内で謝罪と経緯を話されましたが、これは一つの説明責任として行われたことだと思います。
きちんと向き合うことは、とても誠実だと思いますが、イチャモンをつけた人たちがイチャモンのつけがいを感じることにもなりかねない。

ともすれば、「謝罪させて世の中を変えられた!」と思わせてしまった場合には癖になる可能性さえ感じます。
無視できない時代だからこそ、常態化されることは非常に危険でもあり
「今度は誰にイチャモンつけて世の中を変えようかな…」これを虎視眈々と狙い始めたら、いよいよやばい。

昨年、マヂカルラブリーさんがM-1グランプリを制したつり革の漫才にだって、「あんなに電車は揺れないよ!」「電車が危険な乗り物だと勘違いされるじゃないか!」
そういったクレームがつきかねない。

あの漫才に関しては、"漫才か漫才じゃないか論争"に終始しましたが、もしも"漫才か漫才じゃないか論争"が加熱していなかったら…

"電車はあんなに揺れるのか論争"が起きていたのかもしれない。。。
想像しただけでゾッとする。
"漫才か漫才じゃないか論争"が隠れ蓑になって良かったのかもしれない。

こんなことまで考えなければいけない時代ならば、もはや無視するしか道はない。
ネットの意見やSNSの流れを無視できない時代に、できる限りのスルーを決め込むのだ。

もちろん、建設的な意見や批判は時と場合によって必要であり、基本的に言論は自由である。
しかし、言いがかりにも近い批判意見をイチャモンだと捉えることだって受けて側の自由。
そして、自由には責任も伴うので批判は何でもありではない。
コントの中で手紙を勝手に見ることがダメなら、ドラマの中の悪役も全部ダメになります。
それは自らの娯楽も大衆の娯楽も奪っていませんか?

建設的な意見や論評や批判は時にプラスを生むが、ただのイチャモンが生むのはマイナスだけ。
とは言っても、絶対になくならないのが現実なので
できる限りのリアクションをやめてスルーに徹する。
そうすれば、少しずつ変なイチャモンは減っていくような…
まあ、こればかりは分かりませんが、試してみる価値はあるのでは?


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