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<ラグビー>2023ラグビーワールドカップ(開幕第5週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 13~14世紀の旅人マルコ・ポーロは、中国東北の契丹を訪ねた後、そこをカタイ(Catai)と称してヨーロッパ世界に伝えた。16世紀のマテオ・リッチもカタイヨまたはカタイオの地名を報告している。そして、このカタイと中国(シナ)は別のものと思われてきたが、16世紀中にカタイとシナの同一が確認された。それが、現在の英語による中国の別名であるCathay(キャセイ航空のキャセイ)の語源だそうだ。

  しかし、そのうちに「キャセイ」という名前は、「資本主義、帝国主義の残滓」として無くなってしまうのだろう。時の権力者の都合によって、貴重な歴史や遺産は破壊され、消されてしまうものだから。そこに偏向した「正義」はあっても、人類共通の財産を大切にするという「寛容」はないことが哀しい。


1.RWCプールマッチ最終週結果

10月5日

オールブラックス73-0ウルグアイ(HT26-0)

 オールブラックスのBチーム、つまりイタリア戦に出なかったメンバーから、NO.8ルーク・ジェイコブソン、11番WTBレスター・ファインガアヌク、16番HOサミソニ・タウケイアホ、18番PRフレッチャー・ニューウェル、20番FLイーサン・ブラカッダー、21番SHフィンレイ・クリススティー、23番WTBケイリブ・クラークが先発あるいはリザーブとしてメンバー入りした。

 開幕戦直前に怪我で欠場してしまったキャプテンのサム・ケーンが、7番FLとしてRWCで初先発する。3試合連続で出場していたNO.8アーディ・サヴェアは休養となった。次のオールブラックスのコアメンバーの期待に溢れるSHキャメロン・ロイガードが、9番で初先発した。ベテランLOのブロディー・レタリックは休養し、ツポウ・ヴァアイが5番LOに入り、ボーデン・バレットは22番のリザーブに下がって、ダミアン・マッケンジーがFBで先発した。4番LOサムエル・ホワイトロックは150キャップを達成した。

 前半18分まで、オールブラックスは二つのトライをTMOで取り消されるなど、なかなか調子が乗らない。一方のウルグアイは、フィジカルで良く対抗したが、イージーミスによる自滅が徐々に出てくる。その後オールブラックスは、MOMになったFBダミアン・マッケンジーや11番WTBウィル・ジョーダンの個人技の凄さでトライを重ね、前半を支配した。一方、初先発がプレッシャーとなったのか、SHキャメロン・ロイガードにミスが散見されたことが気になった。さらに、右PRタイレル・ローマックスの怪我が再発して、7分で交代したのが、準々決勝以降に影響しそうだ。

 後半は、オールブラックスが予定したとおりのメンバー交代をする一方、11番WTBレスター・ファインガアヌクのハットトリックなどで点差を拡げていった。一方ウルグアイは、前半にオールブラックス13番CTBアントン・リエナートブラウンのトライセービングタックルでトライを逃した後は、後半も数少ないゴール前に攻め込むチャンスがあったが、いずれもミスでプレーを継続できずに終わった。

 オールブラックスは、久々の復帰で期待された20番FLイーサン・ブラカッダーが、最初のボールタッチでノッコンするなど、まだ慣らし運転の状態だった。先発でプレーした5番LOツポウ・ヴァアイは、ミスタックルが数回あったものの、ブレイクダウンやSH不在時の仕事などで、よくやっていたように思う。サヴェアの後継者が期待されるNO.8ルーク・ジェイコブソンは、攻守で良いプレーがあった一方、HB団とのコンビネーションに不安を残してしまった。

10月6日

フランス60-7イタリア(HT31-0)

 フランスは、頬骨骨折でプレー復帰が未定となっているアントワーヌ・デュポンが引き続き欠場した。しかし、スタンで観戦していたので、準々決勝からはプレーできそうだ。デュポンに代わるSHはマキシム・リュクが先発し、リザーブ21番にはバプティスト・クイローが入った。また前戦からはFW3列のみの少ない選手交代に抑えた。キャプテン代行は7番FLシャルル・オリヴォン。

 イタリアは、FBにアンジュ・カプオッツォ、12番CTBにパブロ・ガルビシ、SOにトンマゾ・アランという攻撃的なBKにしている。1番PRシモーネ・フェラーリ、22番CTBルッカ・モリシの二人は50キャップを達成するゲームとなった。

 オールブラックス戦大敗のショックが抜けきれないイタリアが、前半早々にアタックの切り札となるFBカプオッツォが脳震盪で退場したことも加えて、チーム全体が機能せずに、再びアタック練習の相手となるようなゲームで惨敗してしまった。

 ところでTV中継の解説者は、日頃から辛辣な口調で著名だが、劣勢なイタリアの状態について、その原因は全て指導者(NZ人のキアラン・クロウリー。この後日本のホンダ監督に就任する)の日々のコーチングの結果であり、またNZ式ラグビーをしているためだと、一方的に激しく批判する発言を繰り返していて、聞くに堪えなかった。解説者であるならば、そうした批判ではなく、プレーの細かい内容を分析・説明するのが「解説」なのではないか。これでは、まるでエディー・ジョーンズの独演会と同じではないかと思った次第。

 なお、イタリア代表監督を退任するキアラン・クロウリーの後任監督は、元アルゼンチン代表SOで、引退後は代表やハウガレス(ジャガーズ)のコーチを務めたゴンサダ・ケサダの就任が決まっている。クロウリーとは方向が違ったコーチングとなるが、イタリアをさらに強化することを期待したい。

10月7日

ウェールズ43-19ジョージア(HT17-7)

 ウェールズは、SOダン・ビガーが肋軟骨の怪我により、引き続きガレス・アンスコムが先発するなど、前戦から先発6人を代えた。しかし、試合直前にアンスコムが股関節を痛めてしまい、22番のサム・コステロが10番に上がり、22番には怪我で欠場していたダン・ビガーが入る非常事態となった(そしてビガーは、最後までプレーしなかった)。

 そうしたチーム事情も影響したのか、ジョージアが15人全員で展開するラグビーらしいラグビーを志向したのに対して、ウェールズは才能あるBKにはキックとディフェンスだけさせ、後はまるで南アフリカやイングランドのようなFWでゴリゴリやるだけのラグビーを徹底していた。いわゆる英語国でいうUgly(醜い)ラグビーをやっていた(以前、別のブログでこのUglyの訳である「醜い」を使ったら、ある人から「そういう表現は控えるべき」と言われた。原文がそうなのだから仕方ないし、英語国ではラグビーに対する一般的な表現なのだ)。また後半にリザーブと交代するまでは、ディフェンスの強さが目立ち、いわばディフェンスのみで勝利した試合となった。これでは、見ていて面白くもなんともないラグビーだろう。

 なお、この勝利の代償は大きくついてしまい、NO.8タウルペ・ファレタウが腕を骨折して大会を離脱することとなった。またアンスコムについては、今後72時間の経過を見た後に判断することとなっている。また、FBリアム・ウィリアムスも軽度の怪我をしており、ダン・ビガーも万全の状態ではないという、チームとして危険信号が灯る状態になっている。

イングランド18-17サモア(HT8-14)

 イングランドは、前任のエディー・ジョーンズが好んだ、SOジョージ・フォード、12番CTBオウウェン・ファレルという布陣で臨む。なお、イングランドで常に話題となっている、国内クラブと代表チームとの選手起用に関する問題、及び国内クラブの経済問題について、大きな進展があったとのニュースが流れている。

 サモアは、SOの先発に元オールブラックスのリマ・ソポアガが戻ってきたため、元ワラビーズのクリスチャン・リアリーファノが22番のリザーブに下がった。キャプテンは、3番PRマイケル・アラアラトア。

 サモアが千載一遇のチャンスを、後半66分のイングランド選手のキックキャッチに対する軽率なプレーでシンビンになり、棒に振ってしまった。それまでサモアは、11-17とイングランドをリードしており、そのまま逃げ切って歴史的な勝利を得るかと思われたが、イングランドがシンビンの数的優位を使って73分にトライを取り、16-17の1点差にし、コンバージョンを決めてどうにか勝ち越した。なお、イングランドのゴールキッカーである12番CTBオウウェン・ファレルは、64分のPGの際に、60秒のショットクロックを超過してキックが無効となった最初の選手になっている。

 またファレルは、この試合の得点で、ジョニー・ウィルキンソンの持つ代表得点記録を更新した。一方、サモアのSOリマ・ソポアガ(元オールブラックス)は、負けた側ながらマンオブザマッチに表象される活躍振りだった。このことからも、サモアがいかに素晴らしいゲームをしたかが、証明されている。サモアに勝って欲しかった。

アイルランド36-14スコットランド(HT26-0)

 アイルランドは、キャプテンのSOジョナサン・セクストンなどフルメンバーを揃えた。また、6番FLピーター・オマーニーが100キャップを達成した。スコットランドも、前戦のルーマニア戦から大幅にメンバーを代え、SOにフィン・ラッセルが戻ってくるなどフルメンバーになっている。なお、スコットランドのリザーブは、FW6人+BK2人体の制にしている。FBブレア―・キングホーンが50キャップを達成した。

 アップセットを目指すスコットランドは、16分にキャプテンの6番FLジェイミー・リッチーが怪我で退場するなど怪我人が続出したことも影響し、ブレイクダウンなどでのアイルランド優勢の流れを最後まで取り返せなかった。後半48分以降は、勝負を決めたアイルランドが主力を休ませリザーブと交代したため、どうにか2トライを返すのが精一杯だった。

 ゲーム全体としては、北半球チーム同士の対戦には非常に珍しいPGを狙わずにトライを狙う展開となり、まるで南半球チーム同士のようなゲームとなった。おそらく両チームでプレーする南半球(特にNZ出身)選手の影響が強く出たのではないかと思われる。この勝利でアイルランドの連勝記録は17に伸びた。

 なお、後半41分にスコットランド23番オリー・スミスとアイルランド10番ジョナサン・セクストンの小競り合いが発端となる、両チーム入り乱れた騒乱が起きた。しかし、なぜかスミスだけがシンビンになり、セクストンは処罰から逃れたが、これは発端となった両名をともに処罰すべきではないか。

10月8日

日本27-39アルゼンチン(HT14-15)

 日本は、11番WTBにシオサイア・フィフィタを先発させ、ジョネ・ナイカブラを23番のリザーブに下げた。またSH流大は引き続き欠場となり、21番のリザーブにはサモア戦に続いて福田健太が入った。スコッドに急遽招集された山中亮平が22番のリザーブに入っており、キッキングゲームでの活躍が期待された。

 アルゼンチンは、前のチリ戦から大幅にメンバーを代えた。2番HOにキャプテンのフリアン・モントーヤが戻り、アガスティン・クレヴィは16番に下がった。クレヴィは、RWC18試合目となり、マリオ・レデスマの持つアルゼンチン記録に並んだ。SOは、サンチャゴ・カレーラスが先発に戻り、チリ戦で活躍したベテランのニコラス・サンチェスは22番に下がった。

 日本が格上のアルゼンチンに対して、細かいミスがあったものの後半65分までよく対抗した。アルゼンチンは、不安定なプレー振りながら個々の選手のフィジカルとスキルの差を見せつけて、最後は強さを見せて勝ち切った。日本の5番LOアマト・ファカタヴァのトライは、今回のRWCで最も印象深いトライの一つになったのではないか。

 今回の日本代表は、大会前まではゴールキックが決まらないなど不安材料が多々あったが、大会で試合を進めるにつれてチームが良くなってきたのは、2003年大会と同様だった。また、チリとサモアに勝利してプール3位に入り、次回オーストラリア大会の出場権を確保したのが今回の成果となった。次の代表監督は未定ながら、さらに日本代表を強化して、安定してベスト8入りできるチームに育成することを願う。

トンガ45-24ルーマニア(HT21-17)

 トンガは、不公平な出場停止処分でプレーできなかった元オールブラックスのジョージ・モアラが13番CTBでプレーし、期待通りに躍動した。一方、大会最後のゲームとなるルーマニアもフィジカルの強さで良く対抗し、後半55分までは28-24と接戦だった。しかし、62分以降にトンガに連続してトライを取られ、69分にシンビンを出したことで勝負は決まってしまった。

フィジー23-24ポルトガル(HT3-3)

 フィジーがまさかの取りこぼしをしたが、1点差の負けによるボーナスポイント獲得で、どうにか準々決勝進出を決めた。試合は、後半76分のPGでフィジーが23-17として、これで勝負が決まったと思われたが、格下相手に油断したフィジーが、78分にポルトガルにトライを取られ、さらにコンバージョンキックも決められて恥ずかしい逆転負けとなった。勝ったポルトガルは、RWC初勝利となった。

〇 各プール最終順位

(3位までのチームは、次回2027年オーストラリア大会の出場権を獲得。残りは予選ラウンドからの参加となる。)

プールA:フランス、オールブラックス、イタリア、ウルグアイ、ナミビア

プールB:アイルランド、南アフリカ、スコットランド、トンガ、ルーマニア

プールC:ウェールズ、フィジー、オーストラリア、ポルトガル、ジョージア

プールD:イングランド、アルゼンチン、日本、サモア、チリ

〇 プールマッチ敗退チームで、最も印象深かったチーム

<残念でした賞>オーストラリア

 エディー・ジョーンズが、オーストラリアのメディアから徹底的に批判されたために、より一層むきになって急造した経験値皆無のただ若いだけのスコッドが、その経験値の無さを原因として、オーストラリアの史上初めてのプールマッチ敗退となってしまった。もっと経験値のある選手をスコッドに入れさえすれば、違った結果になったと誰もが思うワンマンかつパワハラ監督による独裁の失敗例と言える。

<初出場なのに意外と大敗しなかった賞>チリ

 初出場ということで、RWCの全てが未経験の上、ラッキーな勝利を重ねてきた予選の試合ぶりから、ティア1チームに大敗すると思っていたが、意外とそうでなかった。特にFWのフィジカルは強く、単純なアタックには良いディフェンスをしていた。これは、今後初出場を目指すチームに対する良い刺激になっただろう。

<意外と弱かった賞>ルーマニア

 伝統的に強いFWとセットプレー、そして粘り強いディフェンスによって、かつてはシックスネーションズに次ぐ実力を誇ったルーマニアも、プロ化以降は良いコーチに恵まれずに弱体化が進んでいる。今回のRWCでは、最弱チームとも言える大敗を繰り返してしまい、実に寂しい結果となってしまった。

<期待外れ賞>トンガとサモア

 元オールブラックスや元ワラビーズが加入し、相当にチーム力が上がると期待されたが、ラグビーはチームスポーツでもあるため、良い選手が加入してもチームとして熟成するためには時間と経験を必要とすることから、あまり大きな効果は出なかった。このまま多くの試合を重ねていけば、もっと強くなるだろう。なお、サモアは最後のイングランド戦でとても良いゲームを見せてくれたが、次回大会では、こうしたゲームが毎試合できることを期待したい。

〇 準々決勝の組み合わせと予想は以下の通り

10月14日

ウェールズ対アルゼンチン

 安定したプレー振りからはウェールズ有利だが、怪我人が多いのが不安材料。アルゼンチンは、ここでベテランのサンチェスを起用すれば、勝機が見えてくると思うのだが。

アイルランド対オールブラックス

 オールブラックスは、ここでリベンジするしかない。そのための準備は揃っている。アイルランドは、スコットランド戦が良すぎた反動が来るだろう。

10月15日

イングランド対フィジー

 ウォームアップマッチで負けたイングランドだが、さすがに本大会では勝つのでは?ただ、フィジーのプレーは良くも悪くも予測がつかないので、はまればアップセットがある。

フランス対南アフリカ

 ホームの強みを持つフランスだが、デュポンを筆頭にした怪我人に悩まされている。南アフリカはポラードが戻ってきて万全の体制。まさになりふり構わぬUgly(醜い)ラグビーで、南アフリカがヘビー級の肉弾戦を制すると見た。

2.その他のニュース等

(1)もし、RWC参加国数が現在の20から24になった場合の、4ヶ国予想

 WRは、現在のRWC参加20チームを4プールに分ける方式から、4ヶ国増やして24チームを6プールに分けることに変更する意向とのニュースが流れた。

 この場合は、6プールの上位2チームの計18チームで、決勝トーナメント1回戦と戦う方式になるようだが、もしさらに4ヶ国追加となった場合に、参加する可能性が高いチームを予想すれば、アメリカ、カナダ、ロシア、スペインだと思う。アジアからは香港が出場の可能性を持つが、現状では政治的側面(中国と台湾の関係等)もあり、欧米からの駐在員を中心にした寄せ集めチームでは限界があると思う。

 他にアジアから参加できるとすれば韓国やマレーシアだが、現状のチーム状態からは難しいだろう。南米からの参加は、現在のアルゼンチン、ウルグアイ、チリが精一杯で、他には良い候補がない。アラブ諸国では、アラブ首長国連邦が挙げられるが、ここも香港同様に欧米の駐在員による寄せ集めチームなので、参加は難しい。アフリカでは、ケニア、コートジボアール、モロッコ等が候補に上がるが、先に上げた4ヶ国に勝てる力は持っていないと思う。

 いずれにしても、新たに参加する4ヶ国は、ティア1国とのプールマッチでは大敗することが容易に予想される。勝手な妄想ながら、どこかのチームが日本の持つ悪しき記録である145点を更新してくれないかと願っている。

(2)2024年のオールブラックスのスコッド予想

 今回のRWCに出ているオールブラックスは、ワラビーズとは正反対の経験値の非常に高いスコッドになっているが、その反面、年齢による世代交代がある。そして、来年以降オールブラックスの監督に就任するスコット・ロバートソンにとっては、多くの主力、特にSOのリッチー・モウンガ、ボーデン・バレット、ダミアン・マッケンジーの3人が日本へ行ってしまうという課題を抱えている。次のSOとして期待されていたオテレ・ブラックは、既に日本でプレーしているので対象外だ。さらに、ケーンの次のキャプテン候補であるアーディ・サヴェアやSHアーロン・スミスまでも日本に行ってしまう。

 この「2024年問題」等を中心に、今シーズンのオールブラックス及びオールブラックスXVのスコッドを参考にして、2024年のオールブラックスの23人を予想してみた。できれば、ここに入っていない新鋭がこれから台頭してくれることを願いたい。

1~23番及びポジションの並び順に記載した。

イーサン・デグルート、サミソニ・タウケイアホ、タマイティ・ウィリアムス、

スコッド・バレット、ツポウ・ヴァアイ、

シャノン・フリッゼル、ダルトン・パパリイ(キャプテン)、ルーク・ジェイコブソン

キャメロン・ロイガード、スティーヴン・ペロフェタ、

マーク・テレア、ジョルディ・バレット、リエコ・イオアネ、エモニ・ナラワ、

ウィル・ジョーダン

(リザーブ)

アサフォ・アウムア、フレッチャー・ニュウウェル、タイレル・ローマックス、ジョシュ・ロード、イーサン・ブラカッダー、ファラウ・ファカタヴァ、ルーベン・ラヴ、ショーン・スティーヴンソン

他のポジション毎のオールブラックス候補は以下の通り。下線は有力と思う選手。

HO:タイロン・トンプソン、リッキー・リッチテリ

PR:ジャーマイン・アインズレイ、オリー・ヤーガー、テヴィタ・マフィレオ、ザビエール・ヌミア、アイダン・ロス

LO:ナイトア・アークオイ、クインティン・ストレンジ、イサイア・ウォーカーリーウェア、パリパリ・パーキンソン、ザック・ギャラハー

FW3列:サミペニ・フィナウ、アキラ・イオアネ、ビリー・ハーモン、デュプレッシー・キリフィ、クリスチャン・リーウィリー、キャメロン・スアフォア、ピーター・ラカイ、ブライドン・イオセ

SH:フィンレイ・クリスティー、ノア・ホッサム

SO:アイデン・モーガン、タハ・カマラ、ジョシュ・イオアネ、ミッチェル・ハント

CTB:アントン・リエナートブラウン、ブライドン・エンノー、ダラス・マクロード、ビリー・プロクター、バイリン・サリヴァン、ジャック・グッドヒュー、アレックス・ナンキヴェル

バックスリー:ケイリブ・クラーク、エテネ・ナナイセツロ、ジョナ・ナレキ、AJ・ラム、サム・ギルバート、マッカ・スペンサー、ケイレブ・タンギタウ、ハリー・ゴッドフレイ、ジョシュ・ムービイ

(3)無理なスコッド選出の犠牲者にしか思えない

 ワラビーズ監督エディー・ジョーンズは、RWC用スコッドのSOに、ベテランのクエード・クーパー、バーナード・フォリーを外し、前任のデイヴ・レニーが抜擢していたノア・ロレシオも除外した。代わりに、自らが抜擢した経験値が無いに等しいベン・ドナルドソンとカーター・ゴードンを、誰もが時期尚早と考え反対意見が多数となる中で無理やりスコッド入りさせた。

 そして、当初はドナルドソンをFBに、ゴードンをSOにしていたが、ゴードンの経験値の無さから試合の負けが続いた後、思いつきのようにドナルドソンをSOにしたが、この急場しのぎの策も功を奏さずに、RWCで初めてのプールマッチ敗退となった。

 このジョーンズの無謀な采配による犠牲者はチームだけではなかった。誰もが無理だと見ている中で過剰なプレッシャーを受けてプレーしていたゴードンは、プールマッチ最終のポルトガル戦の後、千載一遇の準々決勝進出を期待した練習中に膝の怪我を負ってしまい、オーストラリアに帰国している。また、LOニック・フォレストも膝の怪我でオーストラリアに帰国することとなった。

 フォレストは経験値のあるLOなので、今大会の代表スコッド選出は適切だったが、SOのゴードンは、2021年にスーパーラグビーのレベルズでデビューの後、今シーズンからチームに先発として定着し、その活躍が認められたばかりの選手だった。このテストマッチレベルには未熟な選手を、ベテラン選手でさえ簡単ではないRWCの大舞台で、いきなり代表チームの先発SOとして起用した重みと責任は、計り知れないものがあったことが容易にわかる。

 そして、自らのプレーが上手くいかなかった上に、チームも歴史に残る悲惨な結果となったことは、メンタル面に大きく影響したことだろう。その結果、ゴードンの負った練習中の膝の負傷は、ひとえに未熟な選手に過剰な期待と責任を負わせた指導者による人災ではないか。そして、この人災が才能ある若い選手の将来に影響しないことを切に祈るばかりだ。

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