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<ラグビー>2024年シーズン(7月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 『アケロンの渡し守』という短編小説を書いた。アケロンの河というのは、ヨーロッパ文化における三途の川に似たものだが、三途の川と異なるのはそこが地獄への入口であることだ。そしてその河を渡る舟を操るのが、カロンという渡し守である。このカロンが、地獄へ向かう舟に無理矢理乗せる人々の有り様を、オムニバスにしてみようと思ったのだ。そして、そのオムニバスに出てくる数人の地獄行きとなる人物を造形するとき、そのモデルとしたのが、自分が仕事をしているときに出会った上司や同僚たちであった。
 
 これは、比較すること自体がおこがましいと言われてしまうが、かのダンテ・アレギレリが『神曲』の地獄篇を書いた時、自分がフィレンツェ政府で仕事していたときに敵となっていた人々等を、その地獄で苦しむ亡者たちにしている。つまり、現実の世界では恨みをはらせなかったので、架空の世界(物語の世界)でそうした人々に対してリベンジしているのだ。これと同じことを、今回の短編小説の中で私もしている。そういう点では、創作(物語を作る)というのは、私のような弱者にとっての最高の慰めなのだろう。


1.パリオリンピックセヴンズ男子結果

 豪雨でさんざんだった開会式同様に、NZにとっては酷い結果となってしまった。どうもオリンピックとは相性が良くない。一方日本は、出場しただけというもっとひどい内容だった。

プールマッチ
 オーストラリア21-14サモア アルゼンチン31-12ケニヤ
 フランス12-12アメリカ フィジー40-12ウルグアイ
 アイルランド10-5南アフリカ NZ40-12日本
 オーストラリア21-7ケニヤ アルゼンチン28-12サモア
 フランス19-12ウルグアイ フィジー38-12アメリカ
 アイルランド40-5日本 NZ17-5南アフリカ サモア対ケニヤ
 アルゼンチン14-22オーストラリア アメリカ33-17ウルグアイ 
 フィジー19-12フランス 南アフリカ49-5日本
 NZ14-12アイルランド

9位準決勝
 サモア42-7日本 ウルグアイ14-19ケニヤ
準々決勝
 NZ7-14南アフリカ アルゼンチン14-26フランス
 フィジー19-15アイルランド オーストラリア18-0アメリカ
5位準決勝
 NZ17-12アルゼンチン アイルランド17-14アメリカ
準決勝
 南アフリカ5-19フランス フィジー31-7オーストラリア
11位決定戦 
 日本10-21ウルグアイ
9位決定戦
 サモア5-10ケニヤ
7位決定戦
 アルゼンチン19-0アメリカ
5位決定戦
 NZ17-7アイルランド
3位決定戦
 南アフリカ26-19オーストラリア
決勝
 フランス28-7フィジー

2.その他のニュースなど


(1)フランス代表メルヴィン・ジャミネの処分が決まる。

 フランス代表FBメルヴィン・ジャミネは、先般アルゼンチン遠征時に、アラブ人を攻撃することを連呼したビデオをインスタグラムに投稿したため、フランスラグビー協会から処分を検討されていたが、この度その内容が決まった。

 ジャミネに対する処分は、34週間の出場停止処分となり、このうち8週間はフランス協会が指定したラグビーを通じた社会奉仕活動に充てられる。また、ジャミネに対して3万ユーロ(約500万円)の罰金を科すこととなった。ジャミネの所属するツーロンでの処分も同様のものになると見られる。なお、ジャミネの弁護士によれば、このビデオは内輪向けのものであり、一般に公開することを目的としていなかったと弁解している。

<個人的見解>
 ラグビー選手としてのフランス協会からの処分は(オーストラリア協会のイズラエル・フォラウに対する処分より軽微なものではあるも)妥当だと思うが、フランス政府としてのアラブ人に対する人種差別発言に対する処分はないのだろうか?ラグビー選手の与える社会的影響は、サッカー等のメジャースポーツと比べれば軽微なものだろうが、それでも高い知名度を持つという社会的責任に差はないはずだ。オリンピックという国際親善を題目とする一大イベントを開催している(また、セヴンズの男子でフランスが優勝していることも考慮しつつ)フランス政府が、人種差別問題をどう考えているのか、その答えがジャミネに対する処分に表れるのではないかと見ている。

(2)ザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)


 世界最高峰の総当たり戦、つまり今年の真の世界チャンピオンを決める戦いとなるTRCの日程は、以下の通りである。南アフリカに対するRWCのリベンジを、この大会でオールブラックスができるか否か、また監督交代によって蘇りつつあるオーストラリアの復活、そしてさらに実力を増しているアルゼンチンの戦いぶりがそれぞれ注目される。

注:左側のチーム名がホーム、つまり試合開催地。
8月10日
 オーストラリア対南アフリカ
 オールブラックス対アルゼンチン
8月17日
 オールブラックス対アルゼンチン
 オーストラリア対南アフリカ
9月 1日
 南アフリカ対オールブラックス
 アルゼンチン対オーストラリア
9月 8日
 南アフリカ対オールブラックス
 アルゼンチン対オーストラリア
9月21日
 オーストラリア対オールブラックス
9月22日
 アルゼンチン対南アフリカ
9月28日
 オールブラックス対オーストラリア
9月29日
 南アフリカ対アルゼンチン

 4チームともそれぞれ昨年のRWCとはコーチやメンバーが変わっており、WRのランキング順では、南アフリカ、オールブラックス、アルゼンチン、オーストラリアとなるが、実力はこの順番通りにはなっていない。そして、南アフリカとオールブラックスの優勝争いになると見られるため、9月1日及び8日の南アフリカでの両チームの連戦が、優勝を決める天王山になりそうだ。しかし、アルゼンチンとオーストラリアもコーチが交代してから実力を大きく上昇させているため、優勝争いに食い込む可能性を残している。

(3)パシフィックネーションズカップ


6チームがA及びBのプールに分かれて対戦し、その後準決勝及び順位決定戦に進む形式となっている。プールAは、フィジー、サモア、トンガ、プールBは、カナダ、日本、アメリカがそれぞれ入っている。

8月23日
 フィジー対サモア
8月26日
 カナダ対日本
8月30日
 サモア対トンガ
9月 1日
 アメリカ対カナダ
9月 6日
 トンガ対フィジー
9月 7日
 日本対アメリカ
9月14―15日
 5位決定戦
 準決勝2試合
9月21日
 3位決定戦
 決勝

 実力を評価すれば、プールAは、フィジー>サモア>トンガの順に、プールBは、日本>アメリカ>カナダの順になると思われる。その結果、決勝はフィジー対日本の想定となり、実力が接近していることから接戦が期待される。しかし悲観的に考えれば、日本は、カナダとアメリカには勝つだろうが、フィジーに必ず勝てるとは全く言えない。ここで完敗するような場合は、エディー・ジョーンズ監督更迭論が広く浮上してきてもおかしくないと思うが、日本のメディアが「ジョーンズ万歳」一色なので、例え惨敗しても監督の地位は安泰か。なお、秋のオールブラックス戦及びヨーロッパ遠征(フランス及びイングランド)は、相手がいずれも強豪ばかりなので、日本が勝てる可能性は限りなく低い。この想定から今シーズンの成績を計算すると、ノンテストのマオリオールブラックス戦を含めて、3勝7敗1分(フィジー戦は引き分け予想)の勝率27%となり、エディー・ジョーンズのワラビーズ監督時代の22%(ワラビーズ史上最低の数字)とあまり変わらないものになりそうだ。それでも、「今は試行期間だから」ということで、負けを許容されるような気がしている。

(4)南アフリカのTRC用スコッド発表

 南アフリカのラッシー・エラスムス監督は、TRC用スコッド33人を発表した。このうち、ヤンヘンドリクス・ウェッゼルズ(ユーティリティーFW)、ヨハン・グロベラー(HO)、サッシャ・フェインベルグムンゴメズル(ユーティリティーBK)、ベンジェイソン・ディクソン(ユーティリティーFW)、モルネ・ファンデンベルグ(SH)の5人が、今年初キャップを得た選手たちとなっている。また、LOルーアン・ノルチは、2022年のウェールズ戦のみの1キャップである上に、昨年は南アフリカAでプレーしていた経験値の低い実質初キャップに近い選手である。キャプテンは、FLのシヤ・コリシが続投する。

 怪我などで選考外となったのは、LOのジャン・クライン、ルード・デヤーガー、フランコ・モスタート、PRのスティーヴン・キッショフ、SHのファフ・デクラーク、ジェイデン・ヘンドリクス、ハースケル・ヤンチース、ユーティリティーBKのカナン・ムーディとダミアン・ウィルムゼ、WTBエドウィル・ファンデルメルヴァの各選手。なお、NO.8ジャスパー・ウィーゼとCTBアンドレ・エスターハイゼンは、出場停止処分となっている。

Forwards:FW19人 Ben-Jason Dixon ベンジェイソン・ディクソン(DHL Stormers), Pieter-Steph du Toit ピータースティフ・デュトイ(Toyota Verblitz), Thomas du Toitトーマス・デュトイ (Bath), Eben Etzebethエベン・エツベス (Hollywoodbets Sharks), Johan Grobbelaar ヨハン・グロべラー(Vodacom Bulls), Vincent Koch ヴィンセント・コッホ(Hollywoodbets Sharks), Siya Kolisi シヤ・コリシ(captainキャプテン – Racing 92), Elrigh Louw エルリッヒ・ロウ(Vodacom Bulls), Frans Malherbe フランス・マルアーブ(DHL Stormers), Malcolm Marx マルコム・マルクス(Kubota Spears), Bongi Mbonambi ボンギ・ムボナンビ(Hollywoodbets Sharks), Salmaan Moerat サルマン・モエラット(DHL Stormers), Ox Nche オックス・ノッチェ(Hollywoodbets Sharks), Ruan Nortje ルーアン・ノルチ(Vodacom Bulls), Kwagga Smith クワッガ・スミス(Shizuoka Blue Revs), RG Snyman RG・スナイマン(Leinster), Gerhard Steenekamp ジェラルド・スティーンカンプ(Vodacom Bulls), Marco van Staden マルコ・ファンスタッデン(Vodacom Bulls), Jan-Hendrik Wessels ヤンヘンドリクス・ウェッゼルズ(Vodacom Bulls)
Backs:BK14人 Lukhanyo Am ルッカンヨ・アーム(Hollywoodbets Sharks), Kurt-Lee Arendse カートリー・アレンゼ(Vodacom Bulls), Damian de Allende ダミアン・デアレンデ(Wild Knights), Aphelele Fassi アフェレレ・ファッシ(Hollywoodbets Sharks), Sacha Feinberg-Mngomezuluサッシャ・フェインベルグムンゴメズル (DHL Stormers), Cheslin Kolbe チェスリン・コルベ (Suntory Sungoliath), Jesse Kriel ジェッシー・クリエル(Canon Eagles), Willie le Roux ウィリー・ルルー(Vodacom Bulls), Makazole Mapimpi マカゾレ・マピンピ(Hollywoodbets Sharks), Manie Libbok マニー・リボック(DHL Stormers), Handre Pollard アンドレ・ポラード(Leicester Tigers), Cobus Reinach コブス・ライナッハ(Montpellier), Morne van den Berg モルネ・ファンデルベルグ(Emirates Lions), Grant Williamsグラント・ウィリアムス (Hollywoodbets Sharks)

(5)デューハン・ファンデルメルヴァがスコットランドのトライ記録を更新

 スコットランドはウルグアイとのテストマッチに31-19と快勝したが、この試合で、29歳のWTBデューハン・ファンデルメルヴァ(南アフリカ人)は、それまでFBスチュアート・ホッグが2012年から2023年までに記録した、スコットランド代表の最多トライ記録27トライを越える、28トライを達成した。スコットランドは、チームカラーとしてPGで得点を刻む試合が多いため、ファンデルメルヴァのようなトライゲッターは、代表チームにとって貴重な存在になっている。

(6)ダン・コールズは、ウェリントンのコーチへ

 元オールブラックスHOとして活躍したダン・コールズは、昨年のRWCで引退したが、その後クボタスピアーズの要請を受けて、リーグワンで予定外のプレーをしていた。その後コールズは、ウェリントン州代表及びハリケーンズの地元であるウェリントンに帰っていたが、当然の如くウェリントン州代表からプレーを要請された。しかし、コールズとしてはコーチングに関心があるため、ウェリントン代表のコーチとして参加することが発表された。臨時(スポット)コーチとしているが、早晩正規のコーチ(FW担当?)に昇格すると思われる。なお、コールズとしては、自分の貴重な経験を後輩に伝えたいと述べているが、もしHOに欠員が生じた場合にはコールズがウェリントン代表でプレーするかも知れない期待がある。

 コールズは、ウェリントンのパラパラウム(ウェリントンから西海岸を北上したところにある)に生まれ、その後ポネケクラブ(ウェリントンの空港近くにクラブハウスとグランドを持つ歴史あるクラブ)でプレーした。そして、2007年にウェリントン州代表になって71試合でプレーした後、2009年にはハリケーンズ入りして141試合をプレーした、ウェリントンのラグビーを代表するプレヤーの一人である。一方、2010年にマオリオールブラックス入りした後、2012年にオールブラックスの初キャップを得ると、機動力あるHOとして世界トップクラスの選手として活躍し、2015年RWCでは優勝メンバーとして多大な貢献をするなど、90キャップを重ねた名選手である。怪我でプレーできない期間が長くあったため、100キャップに到達しなかったのは残念だった。

(7)もし、オールブラックスからNFL(アメフト)に移籍するとしたら

 NFL(アメリカンフットボール)が盛んなサンディエゴでフィジーとのテストマッチを終えたオールブラックスは、監督のスコット・ロバートソンとキャプテンのスコット・バレットが、それぞれ現在のオールブラックスから、ウェールズのルイス・リーザミットのようにNFLに移籍するとすれば誰かと言う質問に答えている。

 ロバートソンは、多くのクォーターバック(ラグビーでSOの役割、QBと表記)候補やワイドレシーバー(ラグビーでバックスリーの役割、WRと表記)候補がいるが、PRのイーサン・デグルートとパシリ・トシは、さらに体重を増やせばラインズマン(センター、ガード、タックルなどのボールを持つことが少ないオフェンスのポジションの総称)として活躍できると見ている。一方、キャプテンのスコット・バレットは、WTBのケイリブ・クラークとPRのタマイティ・ウィリアムスを挙げている。

<個人的見解>
 ウィル・ジョーダン、ルーベン・ラヴ、スティーヴン・ペロフェタの三人は、ワイドレシーバーに、マーク・テレア、セヴ・リース、アーディ・サヴェアの三人は、ランニングバックでそれぞれ活躍できると思う。QB候補は、リッチー・モウンガ、ダミアン・マッケンジー、ボーデン・バレット、ジョルディ・バレット、TJ・ペレナラ辺りだろうか。ラインアウトのロングスローもできる上にランニングスキルのある、HOのダン・コールズやアサフォ・アウムアも可能性を持っていると思う。

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