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<閑話休題>あの世=天国の話

少し前、日本の民放TV局のニュースで、難しい政局の説明をするとき、銀座の有名な天ぷら屋「天国」から中継したことがあった。そこで、政治家たちが密談をしているからだったのだが、若い世間知らずの中継した記者は、「こちら、銀座、てんごく前からの中継です」とやって失笑を買った。余計な説明をすれば、この老舗天ぷら屋の名前は「てんくに」である。

ところで、天ぷら屋の話ではなく、あの世を天国と限定してぼんやりと考えていることがある。それは、天国に行っても、二度と会いたくない人たちが沢山いることだ。現生で、相性が悪かった男女の他、職場の上司には、仕事以外のところまで、上下関係を意識させられ、気を使い、敬語を使って、ぺこぺこと下げたくもない頭を下げて、楽しくない上に苦痛でしかない会話をするなんて、どうにもこうにも我慢ならないことでしかない。

神は、人類を平等に創ったのなら、天国では文字通りの完全な平等にして欲しい。もっとも、天国というのは、その人一人ずつに、自分にとって一番好ましい環境の場になるかららしいから、嫌いな人にあることもなく(そういう人たちは、僕の「天国」内に入り込めない)、不快な環境になることもないようなので、少し安心した。

昨晩、いつもの如くリアルな夢を見た。マイアミで暮らしていた時に親しくしていた年上の男の友人と2人で、列車の旅をしていた。後ろからは、なぜか妻ともう一人の共通の女友達(しかし、友人の妻ではない)が、我々の後姿を見て、実際は普段着なのだが、なぜか「2人とも正装しているね」とささやいているのが聞こえている。

当の列車は、自然災害が発生して大きく遅延しており、通学する女子高生の集団がホームに充満して、次に来る列車に乗ろうとしている。そこで、座れるか否か不安になった僕が駅員に尋ねてみたら、指定席は設定されていないけど、グリーン車はあるということだった。それで、不要な金をここで使うことについて、連れの友人を意見が分かれ、僕だけがグリーン車のチケットを買って、満員列車で先に出発することにしようとしたところ、目が醒めた。

ところで、またまた話が変わるが、僕は女性にもてるタイプではないし、実際そうなったことなど一度もない。だからといって、ホモセクシュアルでもないのだけれど、その手の人たちからは、非常に好かれる傾向にあることを自覚している。マイアミのサウスビーチには、(同性愛で有名かつ多くの愛人がいたファッションデザイナーの)ベルサーチの豪邸があったし、近くの昔文豪ヘミングウェイが住んでいたキーウェストは、俗称ゲイウェストというくらいに、この関係の人たちが多くいる。

この辺りと良く妻と食事に行ったり、旅行したりしたのだが、街中を歩いていると、盛んに僕に対してウィンクしてくる連中が多いことを妻が経験している。もっとも、ウィンクされた対象である僕自身は、そもそもそんな経験もないから、ウィンクされていることに全く気付かなかった。

そういうわけではないという前触れをしておいて書くが、これまで2人の男から、「もし自分が女だったら、絶対に結婚していた」と面と向かって大勢の前で褒められたことがある。なんと返して良いか大変に困る褒められ方だったが、褒められているのだから単純に喜ぶしかない。

そうした困惑もあって、その理由までは詳しく聞かなかったし、話した本人も説明しなかったのだが、その理由が何かはよく分からないというのが本音だ。その人に対して、特別なことをしたこともないし、その人たちはホモセクシュアルではないし、普通の仕事上や友人としてのつきあいをしただけなので、余計に不思議に感じてしまう。

しかし、妻が大変に男っぽい性格であることから考えて見れば、やはり私はそういうことなのかと納得してしまう面もある。でも、同性愛にはならないし、ならない自信がある。

一方、僕が好きなラグビーの面から好意的にこう考えるようにしたいと思う。ラグビーをやってきた、また長年見てきた経験から、仲間へのサポートやタックルの責任を果たすのに似た現実の出来事には、役割を果たせるように注意している。それに、侍でもなんでもないが、日本人としての、仁、義、信を失うことがないよう、裏切ることがないように、心掛けている。

もっと考えれば、人が狩猟生活をしていた時代、狩りに行く際のペアとしての行動に行きつくように思える。信頼関係のない人とは、共に危険な狩りをすることはできないだろう。また、こうしたDNAがあったからこそ、僕のようなカッコ悪くて、不細工で、要領悪くて、口下手で、漫才師のような面白いことも言えず、お世辞やおべっかも使えず、引っ込み思案で、競争するよりも譲ることを選択し、「負け組」にこそ相応しい、みっともない、生理的に受付けられないような奴が、現代まで遺伝子を伝えられ、生き延びられてきたのだと思う。

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