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<ラグビー>2022~23シーズン、リーグワン第14節の結果及びインターナショナルラグビー関連等

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 近所の公園には、私が「公園の主」と呼んでいる桜の木がある。なぜ主なのかというと、枝を切った後がちょうど目と鼻と口のようになっており、そのまま木の顔に見えるからだ。この桜の木も、靖国神社や千鳥ヶ淵のように桜の花が咲いている。そして面白いことに、顔の目と鼻のところから、青い新芽が伸びているのに気がついた。自然の生命力には常に感心させられるが、この「目から芽が出る」吉兆を、私の人生にそのまま投影したいものです。

公園の主の桜の木

1.リーグワン第14節結果

東京サンゴリアス25-17コベルコ神戸スティーラーズ

 かつては頂上決戦となる対戦だったが、今は・・・。

 毎回書くが、せっかくのフライデーナイトゲームの対戦が毎週雨、しかも今回は豪雨にたたられ、さらに強風のおまけつき。「ラグビーは雨が降ろうが雪が降ろうがやるスポーツ」と主張する人たちは、この悲惨なスタンドと試合内容をどう説明するのだろう。やはり、ラグビーは好天の下でやるスポーツであり、これが屋根付きの人工芝のスタジアムであれば、もっと素晴らしいラグビーが見られたことだろう。

 試合は豪雨よりも強風の影響が酷すぎて、スティーラーズのラインアウトミスが続く。一方のサンゴリアスはミスが少なかった。またスクラムをサンゴリアスが圧倒したように、FW戦でもサンゴリアスが優勢だった。

 それでもスティーラーズには、ようやく本職のSOとして李承信が戻り、FWが劣勢ながらブレイクダウンで奮闘して、風上の前半を12-14と2点リードして終える。しかし風下になった後半は、サンゴリアスがFWの優勢を起点に得点を重ねていく。SOアーロン・クルーデン、その後交代した田村熙は、FWが勝っているので、アタックは比較的楽だったろう。

 クルーデンについては、2009年のU20優勝ばかりTVで言及していたが、オールブラックスの50キャップというのは数字以上の重みがあるとともに、クルーデンの最大の功績は、ダニエル・カーター不在時の2013年に年間無敗記録を作った立役者だったこと。これに言及しなければ片手落ちだろう。そして、随所のクルーデンらしいオフロードパスやPKのキックダミーからの速攻など、さすがというプレーを見せていた。

 一方の李は、TVで盛んに「日本代表」というが、ただボールを左右に回すだけではトライは取れない。クルーデンの細かくスキルの高いプレーを見習って欲しいものだ。そして、45分のPG失敗は致し方ないとしても、既に勝負が決まっていたとはいえ、80分のPKからのタッチキックをノータッチにしたのは、まったくいただけない。「どうせ負けているのだから」は言い訳にならないし、このミスキック一つで次の試合へのチームの士気が落ちてしまう。たかがキックだが、されどキックだ。そして、こうしたプレーを日本代表でやられたら、RWCでは悲惨なことになるだろう。

 サンゴリアスでは、攻守に良かった2番HO堀越康介、ディフェンスが光った14番WTB尾崎晟也を評価したい。特に尾崎の自陣インゴールからのタッチキックは値千金だったと思う。

クボタスピアーズ船橋東京ベイ55-17花園近鉄ライナーズ

 ライナーズがスピアーズ相手に初勝利を挙げられるか?と期待したが、スピアーズが荒っぽいプレーながら、まるでアタック練習のようにトライを重ねて圧勝した。ライナーズとしては、弱い方が17分にシンビンになるという、まったくお話にならないプレー振りが目についたが、アタックではそこそこ通用して3トライを挙げた。これでディフェンスが整備されてくれば、もっと強くなれそうだ。孤軍奮闘のSHウィル・ゲニアの背中に哀愁が漂う。一方、クボタスピアーズ11番WTB木田晴斗が、4トライの荒稼ぎだった。

トヨタヴェルブリッツ53-5三菱重工相模原ダイナボアーズ

 ヴェルブリッツはハンセン効果でかなり強化されているので、当初の勢いが消えているダイナボアーズがどこまでやれるか?

 スティーヴ・ハンセン効果が良く表れているヴェルブリッツは、細かいミスがあった他、21分にシンビンになるなど、チームとして未だ整備不足の部分も見られたが、それでも80分を通じてトライを取り続けて、最後には圧勝した。シーズン開始の頃はダイナボアーズの方に勢いがあったが、今や完全に逆転している。ヴェルブリッツは、これからハンセン効果がさらに浸透してくるだろうから、プレーオフでひと暴れしそうな予感がする。

埼玉ワイルドナイツ25-12ブラックラムズ東京

 意外とブラックラムズが健闘するかも知れないが、そこは横綱と平幕の対戦なので・・・。

 HO堀江翔太が150キャップで、マンオブザマッチの活躍。チームも、前半に軽いプレーから失点するミスもあったが、全般に手堅く戦って、まさに横綱相撲の勝利だった。ブラックラムズは、王者相手に健闘したものの力の差は如何ともしがたかった。

静岡ブルーレヴズ29-37東芝ブレイブルーパス東京

 実力通りならブレイブルーパスが圧勝しておかしくないが、アウェイでもあり苦戦するのでは?ブルーレヴズの勝利の条件は、豪雨などの悪天候次第か?

 前半17-18,後半12-19と競った試合展開になったが、多すぎる反則で自滅しつつも、常時攻め続けたブレイブルーパスが実力通りに押し切った。後半55分に、ブルーレヴズにレッドカードが出たが、これはチーム及びコーチングの責任。こんなプレーを試合でさせるようでは、リーグワンのチームとして恥ずかしい。

グリーンロケッツ東葛17-45横浜キャノンイーグルス

 イーグルスが順調に勝利するでしょう。グリーンロケッツは来シーズンにつながるプレーをしたい。

 前半はイーグルスのペースで、21-5とリード。後半もイーグルスがリードを守るが、グリーンロケッツも2トライを返して、59分までに17-33と試合を面白くした。しかし、最後はイーグルスの実力が勝り、あっさりと連続2トライを取り、しっかりとボーナスポイントを獲得した。

 イーグルスの5番LOコブス・ファンダイク、NO.8シオネ・ハラシリの調子が良い。一方のグリーンロケッツは、SOに前田土芽が入ってきて、アタックにリズムが出てきた。入れ替え戦に向けて、チームが上昇する契機になりそうだ。

2.インターナショナルラグビー関連

(1)スーパーラグビーパシフィック第7週結果

 今週は、チーフス、フィジードルア、ウェスタンフォース、ワラターズが試合のない週となった。なお、ワラターズWTBの、フィジー代表及び日本でのプレー歴もあるネマニ・ナドロは、今年いっぱいでラグビーから引退することを表明している。

クルセイダーズ38-21モアナパシフィカ

 クルセイダーズが圧勝するでしょう。

 SOリッチー・モウンガは、クルセイダーズの100キャップを達成する。次期オールブラックス監督になるスコット・ロバートソンは、モウンガをクルセイダーズ及びオールブラックスの偉大な先達であるアンドリュウ・マーテンズやダニエル・カーターに並ぶSOと称賛している。そのため、来年以降のオールブラックスのSOはモウンガが先発候補になるだろう。しかし、サブバティカルの短期とはいえ、残念なことにリーグワンへ移籍してしまう。このモウンガ不在時のオールブラックスSOは、スティーヴン・ペロフェタが候補筆頭であり、ルーベン・ラヴ、アイデン・モルガンらの若手を、(国外移籍しない場合は)ダミアン・マッケンジーがサポートすることになりそうだ。

 なおクルセイダーズは、LOクインティン・ストレンジ、CTBジャック・グッドヒュー、ユーティリティーBKデイヴィット・ハヴィリらが、怪我から復帰し、戦力が整いつつある。

 若手中心のクルセイダーズは、前半モアナのパワーに押され、24分にシンビンを受けた(7番FLコリー・ケロウのこのプレーは、自陣ゴール前へ勤勉にバッキングアップに戻ってタックルをした後に相手ボールを捕りに行ったので、悪質な反則には見えなかったが)ことも影響して、17-21とリードされる。しかし、後半早々にモアナがシンビンになったことも有利に働き、一方的に3トライを重ねて最後は完勝した。

 100キャップのモウンガは、アタック及びゴールキックともに好調ぶりを示しており、オールブラックス先発SOへ向けて順調に仕上げている。また、HOコーディ・テイラーも好調ぶりを示しており、若いチームをベテラン2人がよく引っ張っていた。

レッズ24-52ブランビーズ

 ブランビーズが完勝するでしょう。

 不調のレッズSOジェイムズ・オコナーは、先発からリザーブに下がり、トム・ライナーが脳震盪でプレーできないため、三番目のSOローソン・クレイトンが先発する。

 レッズは、前半9分にレッドカード(キックのレートチャージ+頭部へのハイタックルで、これは酷い反則プレー)をもらったのが、後半に影響してしまった。それでも前半は、お互いにトライを取り合うシーソーゲームとなり、17-21でブランビーズがリードする。後半は、ブランビーズが一方的に得点し、レッズは1トライに抑えられて完敗した。

 レッズSHテイト・マクダーモットは、個人技で独走する見事なトライを挙げ、ワラビーズのスコッドから外したエディー・ジョーンズを見返すプレーを見せた。また、ジョーンズに選ばれているブランビーズSOノア・ノレシオ(NZ人)は、雨天の下でも安定したゴールキックを見せ、しばらく干されていたワラビーズSO復帰へ一歩ずつ近づいている。

ハイランダーズ14-29ハリケーンズ

 順当ならハリケーンズだが・・・。ハイランダーズはSHアーロン・スミスが家庭の事情で欠場し、長髪から坊主になったフォラウ・ファカタヴァが先発した。そして、SOもミッチェル・ハント欠場で、若いキャメロン・ミラーがプレーする。これは不安材料になった。対するハリケーンズは、SOにアイデン・モルガン、22番にハリー・ゴッドフレイと若手を入れているが、経験値は十分なので万全の態勢だった。

 前半は、ハイランダーズがスクラムを支配するものの、ハリケーンズのディフェンスにはばまれて、一進一退の攻防となり、7-8のハリケーンズの1点差リードで終える。しかし後半に入ると、ハリケーンズが15人一体となったアタックで有利にゲームを進め、48分、51分、64分と3連続トライを挙げる。これでゲームが決まったかに見えたが、75分にハイランダーズに意地のトライを返され、その後最後までハリケーンズはハイランダーズ陣ゴール前に攻め込むも、控え選手たちにミスが多く、トライを取り切れずにボーナスポイントを取れずに終わった。

 ハリケーンズ6番FLブライデン・イオセ、SHキャメロン・ロイガード(オールブラックスのファカタヴァに勝っていたので、オールブラックス入りしても不思議ではない)、13番CTBビリー・プロクターがそれぞれ良かった。チームとしても完全ではないものの、ハリケーンズはプレーオフに向けて整備されつつあるようだ。

レベルズ17-54ブルーズ

 ブルーズはここで圧勝しなければならない。

 結果はまあまあだったが、前半37分にシンビンを出したこともあり、17-13とレベルズに前半をリードされる。しかし、後半はブルーズが一方的に7トライを重ね、実力通りに大勝した。しかし、SOボーデン・バレットのトライを取るアタックは好調だったものの、ゴールキックは不調で、6コンバージョンを外してしまった。これが決まっていれば、さらに12点を追加していた。

(2)シンガポールセヴンズ(男子のみ)

プールマッチ
英国19-17日本、アルゼンチン42-7日本、アイルランド7-12日本
NZ47-0香港、NZ24-12オーストラリア、NZ12-7南アフリカ

9位準々決勝 日本21-5香港、 9位準決勝 ケニア40-7日本(11―12位)

カップ準々決勝
サモア27-7ウルグアイ、アルゼンチン29-12オーストラリア、フランス21-33フィジー、NZ22-10英国
準決勝
サモア19-24アルゼンチン、フィジー10-19NZ
3位決定戦
サモア19-24フィジー
決勝
アルゼンチン17-19NZ

勝利のハカ

 NZは香港に続いてシンガポールセヴンズに連勝し、2024年パリオリンピックの出場権を獲得した。また、今年の残りのセヴンズシリーズ大会は、ツーロンとロンドンの2大会のみとなったが、総合得点でリードしているNZがシリーズ優勝に一歩近づいている。

パリオリンピック出場権獲得

(3)その他のニュース

(a)ブラックファーンズ及びブラックファーンズセヴンズのスター、サラ・ヒリニが三重パールズでプレー
 

 ブラックファーンズで昨年のWC優勝に貢献し、現在はブラックファーンズセヴンズで圧倒的強さを発揮しているNZチームの精神的支柱となっている、15人制ではFLをプレーするサラ・ヒリニは、今年の太陽生命女子セヴンズシリーズに参加する三重パールズに、一年の期間限定(サブバティカルを利用)ながら移籍することを発表した。

 NZ女子ラグビーの現役バリバリのスター(NZの女子年間最優秀選手賞の受賞歴あり)が日本でプレーするのは、これが最初のケースになる(過去にカーラ・ホヘパがプレーしたケースもあったが、結婚・出産を経てほぼ引退状態だったと記憶)。

 NZでは、女子ラグビーのさらなる活性化がNZ協会の重要課題となっており、日本での女子ラグビー発展のためにも大きな影響を与えることが期待される。なおセヴンズでは、俊足のトライゲッターというよりは、スクラムやラインアウトなどのセットプレーで活躍している他、強固なディフェンス(香港大会では、プールマッチ3試合を無失点で終えている他、決勝戦でオーストラリアに3トライ取られたのが最多失トライだった)の司令塔ともなっている。

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