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<ラグビー>ポワツがようやくオールブラックスに対する誤審を認める。

この記事は、NZヘラルドの以下の情報を引用しています。
https://www.nzherald.co.nz/sport/all-blacks-referee-romain-poite-admits-crucial-mistake-in-all-blacks-lions-draw/UI7R6TN2F2EVVWBXBU5ZTDVEVQ/

2017年のブリティッシュアイリッシュ・ライオンズのNZ遠征では、第1戦をオールブラックスが完勝、第2戦は、ソニービル・ウィリアムスが危険なタックルでレッドカード(退場)となったため、オールブラックスが敗戦。第3戦は、接戦となったものの、ノーサイド直前にライオンズのHOケン・オウウェンスが、自陣でアクシデンタルオフサイド(ラインアウトからこぼれたボールを、ボールよりも前にいたオウウェンスが触って落とした)反則をしたため、ボーデン・バレットが勝利を決めるPGを蹴ろうとした。

TMOをしていたオーストラリア人のジョージ・アユーブは、ライオンズの反則によるオールブラックスへのPK付与を主張したが、アシスタントレフェリー1を担当していたフランス人のジェローム・ガルセスが、メインのレフェリーである同じフランス人のロメイン・ポワツに対して、反則ではなく単なるノッコンだからスクラムで再開するように要請した。この結果、15-15からバレットのPGの3点を加えて、オールブラックスが勝利し、シリーズも2勝1敗と勝ち越すことが容易に予想された結果が、そのまま15-15の不思議な引き分けとなり、シリーズも1勝1敗1分という結果にされてしまった。

このことについては、NZだけでなく、世界中から批判と抗議が殺到したが、レフェリーが一旦決めたことが覆ることは絶対になく、オールブラックスとしては非常に不本意な記録となった一方、ライオンズとしてはオールブラックスと引き分けたという名誉が記録されることとなった。

この批判の的となったフランス人レフェリーのポワツは、従来からガルセスとともにアンチオールブラックスのレフェリングをするとしてNZ人から嫌われていることもあり、ずっと自分の明らかな誤審についてコメントをしなかった。今回Rugby Pass(英国系のラグビー専用ウェブサイト)のインタビューに答えて、初めて自らの誤審を認め、以下のようにコメントしている。

「試合後に多数の人が私に声をかけ、また話してきた。『あれは間違いだった。しかし正当でもある。正しい判断をしたのだから』」
「ワールドラグビーのマネージメントスタッフでさえ、私に(そうしたことを)言ってきた。私は、試合の最後に大きな判断をしたことの責任があると答えてきた。私が関係しているのは、それだけだ」
「ロッカールームに戻ったときに、私はわかっていたと思う。すべてを台無しにしてしまったと。そして、私は自分自身に怒りを感じていた」
「2017年(のライオンズの遠征)のレフェリング全体については、とても良かったと感じている。そしてこれからも思い出すものは何かと言えば、遠征最後の判断だけだ」
「私は、自分自身に怒っていた。レフェリングの結果、すべての人の気持ちを破壊してしまったからだ。(そこに関係した)グループ(集団)、チーム、家族(のすべて)だ。私自身としては、これらの人たちに対して悪いことをしたと思う。私は間違ってしまったことを認める。しかし、私も人間だから、間違いがあると言いたい」

当時のオールブラックス監督であったスティーヴ・ハンセンは、このポワツのレフェリングに対する批判をずっと封印している。
「もし私たちがチャンスを得られたら、オールブラックスは勝っていた」とハンセンは、引き分けた後にコメントしていた。「終わらせるための普通のやり方だったのだろうが、スポーツにはこうしたことがある。我々はこれを受け入れるしかない。そして自分たちが目指すものへ向上するために、ただやるしかないのだ」

「(試合のあった土曜の夜に言ったが)若い人たちにはこう言いたい。私たちはいつもレフェリーと彼が見たことに対する対応を尊重している。それに対して我々は何をできるかだ。我々は、自分たちで勝利を得られるチャンスが多くあったと思う」

【個人的見解】
大事なゲームでは、オールブラックスに対するレフェリングは、ひいき目ではなく不公平なイメージが強くあります。それは、オールブラックスが強すぎるからでしょうか、レフェリーが公平にしようとすればするほど、オールブラックスに負けている側が利益を得る傾向が強いと思います。これは、王者(横綱)としての当然の負担なのかもしれません。

古くは、2007年RWCフランス大会準々決勝で、イギリス人レフェリーのウェイン・バーンズが、フランスの素人でもわかるスローフォワードを見逃してトライを与え、オールブラックスが負けたゲーム。そして、この2017年のライオンズ最終戦です。いくらレフェリーが誤審を認めても、オールブラックスが負けた、引き分けた記録が訂正されることはありません。それは、サッカーでマラドーナがハンドの反則をしながらのゴールが是正されないのと同じです。もちろん、この反則プレーを「神の手」などと絶賛するような風潮は、幸いにラグビーにはありません。フランス人もイギリス人も、バーンズとポワツの誤審を認めていることが、唯一の救いでしょう。もっとも、フランスの勝利、ライオンズの引き分けを手放しで絶賛する無責任な人もいますが、こういう人は真のラグビーファンではなく、ただオールブラックスが負ける(引き分ける)ことのみを喜んでいるだけの、偽者のラグビーファンだと思っています。

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