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<ラグビー>2022~23シーズン、インターナショナルラグビー関連等

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 選挙で落選した後のダルマは、一年経った後購入したお寺に戻して、供養してもらうそうだ。さすがに、当選しなかったはらいせで叩き壊すような罰当たりはしないらしい。なお、達磨大師が面壁9年で両手両足がなくなったという説話は、中国において禅宗を広めるために創案された架空のストーリーで、その実態はまったく確認されていない。でっち上げでも大衆に迎合される話を拡散することによって、「衆は力」の理屈で政治的に支配することが正義となる中国では、このようなことをしないと、例え真摯な宗教でも生き残ることはできなかったという証拠だろう。なお、これがそのまま実話として日本に入ってきて、その後縁起物のダルマになったのは、ある意味日本人の純粋さを表しているのかもしれない。

<今週はリーグワンがお休みなので、インターナショナルラグビー関連のみとなります。>

1.スーパーラグビーパシフィック第6週

モアナパシフィカ17-45ハイランダーズ

 ハイランダーズの調子が上がっているので、完勝するでしょう。

 前半は、17-19と競ったが、後半は0-26とハイランダーズが圧倒した。ハイランダーズでは、SHの先発アーロン・スミス、リザーブのフォラウ・ファカタヴァの二人がアタックで効果的なパスをみせており、二人ともオールブラックスのスコッド入りを確信させるプレーだった。また、怪我の長期欠場から復帰後も不調だったLOパリパリ・パーキンソンが、ここにきて復調してきたのは、オールブラックスにとっても朗報だろう。

 モアナは、スーパーラグビーパシフィックのお荷物扱いされているが、トンガとサモアの連合軍は、素材としては良い選手がそろっているので、良いコーチングさえあれば将来的には強豪に化ける可能性があると思う。

レッズ12-25クルセイダーズ

 クルセイダーズが圧勝して欲しい。

 クルセイダーズは主要ポジションに怪我人が多い上に、相性が悪いサンコープスタジアムということもあり、プレーにいつもの冴えがなかった。しかし、レッズはそれ以上にプロチームとは思えないほどイージーミスが多く、労多くして実り少ないラグビーで完敗した。

 クルセイダーズでは、WTBセヴ・リースが欠場する中、レスター・ファインガアヌクが攻守に出色の活躍をしており、オールブラックスのスコッド入りへ大いにアピールしている。現在の好調ぶりが続くならば、RWCのスコッドに入るのが当然だろう。また、19歳のSHノア・ホッサムは、初先発して43分までプレーしたが、日本でプレーしているブリン・ホールより数段良いプレーをしており、さすがラグビー大国NZの人材育成の素晴らしさを実感させる選手だ。彼は今シーズンのオールブラックスXVに入る可能性が高いと思うが、もし「XV」で良いプレーができれば、来年にはオールブラックス入りできる期待の新鋭だ。

 レッズは、チームとしては機能していなかったが、その原因はSOジェイムズ・オコナーの不調だと思う。この調子ではワラビーズ入りは難しそうだ(その後エディー・ジョーンズが発表した最初のスコッドからは落選した)。しかし、CTBジョーダン・ペタイア(当選)、SHテイト・マクダーモット(落選)、NO.8ハリー・ウィルソン(落選)、FLフレイザー・マクライト(当選)らは、ワラビーズに相応しいプレーをしており、エディー・ジョーンズが確実に選ぶ対象になると思う。

 4月2日発表のワラビーズ・スコッド(スコッドに関する論評については、次週以降に掲載予定)
Allan Alaalatoa, Ben Donaldson, Pone Fa’amausili, Josh Flook, Lalakai Foketi, Nick Frost, Langi Gleeson, Carter Gordon, Ned Hanigan, Reece Hodge, Michael Hooper, Jed Holloway, Len Ikitau, Max Jorgensen, Andrew Kellaway, Lachlan Lonergan, Ryan Lonergan, Fraser McReight, Mark Nawaqanitawase, Cadeyrn Neville, Jordan Petaia, David Porecki, Tom Robertson, Pete Samu, Blake Schoupp, James Slipper, Darcy Swain, Jordan Uelese, Rob Valetini, Suliasi Vunivalu, Nic White, Brad Wilkin, Tom Wright.

フィジードルア38-7レベルズ

 意外と接戦になりそう?と思っていたが、好調のレベルズに対して、ドルアがホームの強みを生かして勝利した。

 フィジーのスヴァで開催したこともあり、ホームではなぜか非常に強いドルアが、前半を33-7と大量リードして、そのまま逃げ切った。レベルズは、後半5-21と反撃したが、時間切れだった。ドルアはフィジーらしく、まるでセヴンズのようなプレーで前半の大量得点につなげたのが勝因だった。

チーフス20-13ブルーズ

 ブルーズのCTBロジャー・ツイヴァサシェックは、オールブラックス入りしたもののメンバー入りが厳しい状態のため、NRLウォリアーズに復帰する可能性が噂されているが、本人はこれを否定している。

 ブルーズ6番FLアントン・セグナー(ドイツ語だと、たぶんセグネル)は、フランクフルト生まれで、両親は大のサッカーファン。そして、子供のころからサッカーがNO.1スポーツで次がアイスホッケーという環境に育ったが、「タックルしたくて」ラグビーを始めた異色の選手だ。今回初先発の座を得て、将来のオールブラックス入りを目指している楽しみな選手だ。

 そのブルーズの6番FLをプレーしているトム・ロビンソンは、スティーヴ・ハンセン率いるトヨタヴェルブリッツに来シーズン移籍するという報道が出ている。トヨタでプレーしている、スプリングボクス代表のピータースティフ・デュトイが退団する関係で、その後釜としてロビンソンと契約するということだ。近々に正式発表されると思われる。

 NZの現時点での頂上決戦。好調のチーフスが有利か?

 前半からチーフスがリードし、ブルーズが追いすがる展開。しかし、SOボーデン・バレットのゴールキックが安定せず、トライ数は2対2ながら、コンバージョンを2回失敗したのが影響し、一方好調のチーフスSOダミアン・マッケンジーにPGを決められたのが得点差になった。

 後半は、お互いにPGを決め合う展開となり、20-13のままスコアが動かない。そして、78分頃からブルーズがチーフス陣ゴール前に攻め込むが、チーフスの強固なディフェンスにはばまれて得点できなかった。

 これでチーフスはチーム史上初の開幕6連勝を達成。優勝に向けて一歩一歩前進している。ブルーズは、重要なゲームを落としてしまった。レオン・マクドナルド監督が、スコット・ロバートソン監督のオールブラックスのアシスタントコーチになり、後任にはデイヴ・レニーが就任するという報道があり、選手のモチベーションに影響したのかも知れない。

ブランビーズ40-36ワラターズ

 ワラターズには、エディー・ジョーンズがNRLから高額の契約金で引っ張ってきた、19歳のサモア系オーストラリア人のBKジョセフ・スアアリが25日に加入している。スアアリは、2019年のNZ高校代表との対戦で、アウェイで初めて勝利するオーストラリア高校代表メンバーの一人として頭角を現し、17歳からNRLのシドニー・ルースターでプレーしていた。また、2022年のリーグWCではサモア代表としてプレーしている。

 ブランビーズが完勝するでしょう。

 しかし、ワラターズがシンビン3枚を出しながらも良く健闘し、後半73分にPGを入れて、35-36とリードした。しかし、さすがに14人でプレーしたためのフィットネス不足が影響し、残り時間を最後まで守りきれなかった。77分にブランビーズがトライして、40-35で辛勝した。ここでワラターズが勝利すれば、がぜん順位争いが面白くなったが、ブランビーズが引き続きオーストラリア勢のトップとして奮闘している。

ハリケーンズ45-42ウェスタンフォース

 ハリケーンズNO.8アーディ・サヴェアは、来シーズンは日本でプレーする予定だが、サヴェア不在の穴を埋めるべく、元ハリケーンズのブラッド・シールズ(イングランド代表9キャップ)がイングランドから戻ってくることになった。

 ハリケーンズは圧勝したい。

 しかし、前半こそ26-7とリードしたものの、後半はスイッチを切ってしまったのか、19-35とフォースに反撃された。特に70分から87分まで3連続トライされたのは、勝利が確定した後とはいえ、ディフェンスが問題視されるような内容だった。

 このようなゲームをしているようでは、ハリケーンズは優勝を狙うようなチームとは言えないが、それでも順位を2位に上げた。負けたフォースは引き続きプレーオフ圏外に留まっている。

 第6週を終えた時点での順位は以下のとおり。NZ5チーム(モアナパシフィカを除く)が、いずれも上位に入っている。予想外に健闘しているのが、7位に入っているフィジードルア。逆に予想外に不振なのが、11位のワラターズ。今シーズンも引き続きNZ勢が他を圧倒している。

チーフス
ハリケーンズ
ブランビーズ
クルセイダーズ
ブルーズ
ハイランダーズ
フィジードルア
レッズ
(以上8チームがプレーオフ出場圏内)
レベルズ(レッズとは1ポイント差)
ウェスタンフォース
ワラターズ
モアナパシフィカ

2.香港セヴンズ

 

男子
プールマッチ
オーストラリア26-5日本、アメリカ31-0日本、スペイン31-7日本
NZ29-5ケニア、NZ12-7南アフリカ、NZ26-7アイルランド

9位決定戦準々決勝 ウルグアイ40-0日本、 13位準決勝 カナダ19-12日本(日本はケニアとともに最下位) 

カップ準々決勝
NZ24-10アルゼンチン、フランス19-14スペイン、フィジー10-7南アフリカ、アメリカ10-21英国
準決勝
フランス7-12NZ、フィジー19-14英国
3位決定戦
フランス19-17英国
決勝
NZ24-17フィジー
 前半NZがディフェンスから2トライを挙げた他、絶妙のキックパスなどで24-7とリード。後半は0-17とフィジーに追い上げられたが、2014年以来となる香港セヴンズの優勝を達成した。若手のリロイ・カーターなどが、生真面目なカバーディフェンスなどで貢献したのが勝利につながった。

男子の勝利のハカ

女子
プールマッチ
フランス38-7日本、アメリカ26-17日本、日本14-10スペイン
NZ50-0香港、NZ43-0英国、NZ46-0カナダ

9位準決勝 日本29-0ブラジル、同決勝 スペイン26-17日本(日本は10位)

カップ準々決勝
オーストラリア24-5アイルランド、フランス0-5英国、フィジー19-14アメリカ、NZ45-14カナダ
準決勝
オーストラリア21-5英国、NZ31-5フィジー
3位決定戦
英国22-19フィジー
決勝
オーストラリア17-26NZ
 66連勝中のNZが唯一負けているのがオーストラリア。キックオフ早々にトライを先行されるなど、最後まで接戦となったが、プレヤーオブザマッチになったステイシー・ワアカ(いつの間にかフルーラーからワアカに氏が戻っている)や、ベテランのポーシャ・ウッドマンウィクリフの力強いスクラムやタックルで、見事な優勝を決めた。

女子の勝利のハカ

 この久々の春に開催された、世界的なセヴンズの原点である香港セヴンズで、NZが男女アベック優勝したことは、文字通りに「こいつは春から縁起が良いわいなあ~」という結果になった。

NZがアベック優勝

 ところで、最近のセヴンズを見ていると、少し前まではNZ勢が苦戦する要因だったブレイクダウンでの戦いを、ある程度容認されるようになっている。そのため、タックル後のジャッカルやノットリリースボールによるターンオーバーが見られるようになってきた。これが、もしかすると最近のNZ勢好調の遠因かも知れない。

3.その他参考情報

(1)スコットランド代表FBスチュアート・ホッグ、30歳が、RWCにプロラグビーから引退することを表明した。

 2012年にスコットランド代表としてデビューして100キャップを達成した他、2013、2017、2021年の3連続でブリティッシュアンドアイリッシュライオンズのメンバーとして、オーストラリア、NZ、南アフリカへそれぞれ遠征している。

(2)アイルランド代表SOジョニー・セクストンが怪我で、残りのクラブゲームを欠場

 RWC後の引退を表明している37歳のセクストンは、アイルランドのグランドスラム達成の大黒柱だが、以前から怪我が絶えない状態となっている。今回も股関節の怪我でレインスターの今シーズンの残りゲームを全て欠場することとなった。RWCまでには間に合うと思われるが、世界ランクNO.1にあるアイルランドにとっては、念願のRWC制覇に黄信号が灯ることとなった。またレインスターでは、CTBギャリー・リングローズ、FBヒューゴ・キーナン、NO.8ケイラン・ドリスらのアイルランド代表選手も、怪我から復帰途中となっているので、トップレベルの選手層が薄いアイルランドとしては、RWCに向けて心配が絶えない状況だ。

(3)オールブラックスWTBセヴ・リースが、膝の怪我でRWC欠場

 オールブラックス及びクルセイダーズのトライゲッターとして活躍している、フィジー生まれのセヴ・リース、26歳は、先週のブルーズとのゲームで、ブルーズ13番CTBリエコ・イオアネから、ひねる動作でラックから排除された際に膝を負傷した。試合後の検査の結果、手術を要することとなり、今シーズンのクルセイダーズの残り試合だけでなく、RWCでのオールブラックスのゲームも欠場することとなった。

 なお、クルセイダーズ監督で次期オールブラックス監督となるスコット・ロバートソンは、イオアネのプレーは良くないものであったが、TMOをはじめレフェリーが正しく判断したことだと認めている。

 この結果、人材豊富なオールブラックスのバックスリーへの影響は少ないものとなった一方、例えばマーク・テレアやレスター・ファインガアヌクなどの新たにオールブラックス入りした選手たちが、RWCに出場するオールブラックスのスコッドに入れる可能性が高くなった。

 現時点におけるオールブラックスのバックスリー候補は、12番CTBでのプレーが優先されるジョルディ・バレット、13番CTBでのプレーが同じく優先されるリエコ・イオアネ、近々に耳の病気から復帰予定のウィル・ジョーダン、ケイレブ・クラーク、マーク・テレア、レスター・ファインガアヌク、ユーティリティーBKのダミアン・マッケンジー、ユーティリティーBKのデイヴィット・ハヴィリ、今シーズン大活躍のショーン・スティーヴンソンらがいる。また、ルーベン・ラヴもSO兼FBとして近い将来のオールブラックス入りが期待されている。

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