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<ラグビー>2022~23シーズン、リーグワン プレーオフ3位決定戦及び決勝の結果及びインターナショナルラグビー関連等

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 イタリアでは、歴史上の真に偉大な人は苗字ではなく名前だけで呼ばれるが、それはあまり多くいない。ジョットー・ディ・ボンドーネ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティ、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ、ダンテ・アレギエーリらだ。日本では、(織田)信長、(豊臣)秀吉、(徳川)家康、(平)清盛、(源)義経と頼朝、(松尾)芭蕉など意外と多い。ところで、『デカメロン』は人類史上、『源氏物語』や『アラビアンナイト』と並ぶ物語文学の最高傑作だが、その著者ジョヴァンニ・ボッカッチョは、ジョヴァンニと呼ばれる栄誉に即していない。これは、美術に比べて文芸作品は、ダンテ(叙事詩)以外は評価されづらい証拠なのかも知れない。

1.リーグワン プレーオフ3位決定戦及び決勝結果

3位決定戦
横浜キャノンイーグルス26-20東京サンゴリアス

 準決勝の試合ぶりからみると、サンゴリアスがやや有利か。サンゴリアスは、松島幸太朗がメンバー外となり、FBに雲山弘貴が入った。

 雨の秩父宮。しかし、両チームとも雨を感じさせないプレーを見せる。そしてサンゴリアスが先制するが、すぐにイーグルスが取り返す。しかしサンゴリアスが29分に二つ目のトライを挙げて、前半を7-15とリードする。

 後半に入ると、イーグルスが連続トライを返して、55分に19-15と逆転。サンゴリアスもすぐにトライを返して、60分には19-20と再逆転する。ところがイーグルスは、SO田村優、12番CTB梶村祐介、FB小倉順平の3人SO体制が功を奏して、65分に再々逆転して26-20とし、そのまま逃げ切った。

 3位決定戦という、モチベーションが難しく、しかも雨中の試合ながら、レベルの高い良いプレーを見せ、どちらが勝ってもおかしくない内容だった。個々の選手では、サンゴリアス3番PR細木康太郎、イーグルス12番CTB梶村祐介の二人は、是非日本代表入りしてもらいたい良いプレー振りだった。

決勝戦
埼玉ワイルドナイツ15-17クボタスピアーズ船橋・東京ベイ


 スピアーズがワイルドナイツに付け入るスキがあるとすれば、ブルーレヴズやイングランドあるいはスプリングボクスがやるような、キックとモールに徹するエンターテイメント性をひたすら否定するラグビーだと思う。それでも、エンターテイナーのワイルドナイツは、必ず勝つと期待している。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というが、この試合はどうやっても「不思議の負け」としかいいようがないものとなった。その中でワイルドナイツの敗因を強いて言えば、自滅としか出てこない。独り相撲を勝手にやって、勝手にミスして、気づいたら負けていた、そんなゲームだった。

 一方のイーグルスは、ミスがあったものの、それはいつもどおりのレベルで特別に悪いゲームはしていない。南アフリカ勢の強力助っ人FWを中心にしたパワープレーを、いつもどおりにたんたんとやっていた。南アフリカ人監督のフラン・ルディケが、特別なアイディアを出すタイプではなく、常に同じようなゲームを繰り返すタイプだから当然だろう。

 ところがワイルドナイツは、いつもは絶対にしないミスをなぜかこの試合に限って連発し、その結果、自分たちのミスで取りそこなったトライは、最低3つはあったと思う。さらに、SO松田力也のゴールキックは、何か怪我でもしているのではないかと思うくらいに、信じられないほど精度が低く、今シーズン最悪の試合をわざわざ決勝でやってしまったという結果になった。

 そうした中でも、ワイルドナイツの6番FL福井翔太、FB野口竜司の二人は良いプレーをしており、是非日本代表に入れて欲しい選手だ。

2.インターナショナルラグビー関連

(1)スーパーラグビーパシフィック第13週結果

モアナパシフィカ7-41クルセイダーズ

 クルセイダーズが勝利して、それで終わりでしょう。リッチー・モウンガが休養し、SOはファーガス・バークが先発する。

 控えメンバー中心のクルセイダーズが、予定どおりに圧勝した。特にSHノア・ホッサムのプレー振りは、来シーズン(先発SH確定だと思う)が非常に楽しみになる良いものだった。

レッズ26-43ブルーズ

 レッズが続けて健闘することは難しいので、ブルーズが楽勝するのでは。しかし、キャプテンのFLダルトン・パパパリイは、先週のクルセイダーズ戦のレッドカードにより、3週間の出場停止処分になってしまった。そのため、レッズ戦を含むレギュラーシーズンの残り3試合(次週はハリケーンズ、その次はハイランダーズが相手)を欠場する。

 ブルーズのロジャー・ツイヴァサシェックは、22番のリザーブとなり、オールブラックス入りはかなり遠くなっている。またSHフィンレイ・クリスティー、CTBリエコ・イオアネ、WTBケイリブ・クラークは休養となり、控えメンバー中心としている。FLアキラ・イオアネは、スーパーラグビー100キャップを達成した。

 アウェイゲームかつ控えメンバー中心ながら、ブルーズはCTBブライス・ヒーム、FBザーン・サリヴァン、WTBマーク・テレアらが良いプレーを見せて予想通りに完勝した。SOボーデン・バレットは、オールブラックス先発SOへアピールしたいゲームだったが、45分に右足首を痛めて退場してしまい、その後の怪我の状態が心配されている。またロジャー・ツイヴァサシェックは、交代出場したが見せ場は全くなかった。

ハイランダーズ20-17レベルズ

 ハイランダーズには勝ってほしい。アーロン・スミスもSHに戻ってきた。

 ハイランダーズは、前半を14-7でリードしたが、後半はレベルズに追い上げられ、61分に14-17と逆転される。しかし、71分にレベルズにシンビンが出て、17-17と同点にし、85分に12番CTBサム・ギルバートがPGを決めて、貴重な勝利を獲得した。弱小ハイランダーズでプレーしているため目立っていないが、ギルバートのゴールキック成功率は高く評価して良い。

チーフス23-12ハリケーンズ

 チーフスが勝つというのが自然な見方。ハリケーンズが勝つには、プラスアルファが必要。 ハリケーンズは、HOダン・コールズ、PRタイレル・ローマックス、NO.8アーディ・サヴェア、CTBジョルディ・バレットのオールブラックスたちがお休み。14番WTBジュリアン・サヴェアがキャプテン代行をする。一方のチーフスは、ほぼベストメンバーを揃えた。
 なお、チーフスSHブラッド・ウェバーは、来年1月からフランスのスタッド・フランセーズに移籍すると報道されている。

 どうみてもチーフスが圧勝しそうなハリケーンズのメンバーだが、前半を想定どおりチーフスが10-0とリードする。後半に入ってからも、チーフスがトライを加えて17-0と離すが、その後ハリケーンズの若手が奮闘して2トライを加える一方、チーフスを1PGに押さえて、67分に20-12と8点差まで迫った。しかし、最後は72分にPGを入れられ、7点差以内のボーナスポイントを獲得できずに終えた。チーフスは、先週のレッズ戦のまさかの敗戦をリカバリーする結果となった。

ワラターズ32-18フィジードルア

 ドルアがやりそうな予感。

 期待通りにドルアが健闘し、前半は23分まで8-6と競った後、40分にワラターズにトライされて13-6で終えた。後半には2トライを返す一方、ワラターズを1トライに抑えて、70分に20-18と2点差まで迫った。しかし、終盤にワラターズに連続トライを許してしまい、ボーナスポイントも取れずに負けた。

ウェスタンフォース34-19ブランビーズ

 フォースは手も足もでないで、ボーナスポイント付きの勝利を献上してしまうでしょう。

 良い期待外れとなり、フォースがブランビーズ相手にホームで完勝してみせた。シーズン当初はぎこちなかったチームが、シーズン終わりに近づくに従ってコンビネーションが良くなった成果だと思う。

 ブランビーズに16分にシンビンが出たこともあり、フォースは前半を快調に得点し、21-12で終える。後半は一進一退となり、54分には24-19と5点差までブランビーズに迫られたが、70分のトライと74分のPGで引き離し、最後は完勝した。フォースの見事な勝利だった。

(2)ロンドンセヴンズ

 今シーズン最後の大会だが、既にシリーズ優勝が、先週のツールーズセヴンズでオールブラックスセヴンズに決まってしまったので、オールブラックスセヴンズとしては、あまりモチベーションが上がらない大会になりそうな気がする。また、オールブラックスセヴンズとしては、レギュラーメンバーよりも来シーズンを考えた若手中心のメンバーで戦うだろう。こういうときは、フィジーあたりが頑張ったりするのだが。

 なお、日本は既にコアチーム(大会出場資格)降格が確定している。真剣にセヴンズを強化するつもりなら、まず高校生のセヴンズ全国大会を15人制同様に定期的に開催し、そこから将来性ある高校生を日本協会がセヴンズ選手として契約する(同時に大学進学して、15人制をプレーすることも可)。そして、正式な日本代表スコッドに参加して練習させるとともに、様々な練習試合を開催して、試合経験を積ませ、可能な限りセヴンズ日本代表としてプレーさせるべきだ。

 同時並行的に、リーグワン・大学を巻き込んだセヴンズの日本選手権を年に複数回開催する。私は、もう20年も前から、当時形骸化した大学王者と社会人王者が対戦する日本選手権を廃止し、代わりにセヴンズの日本選手権を開催すべきだと提言してきたが、賛同する人は皆無だった。一方、先週のツールーズセヴンズで女子日本代表は5位に入ったが、これは国内でセヴンズの大会を継続的に開催してきたことの成果だろう。男子も、女子同様にセヴンズの定期的国内大会(日本選手権)を開催して、継続した強化をすべきだ。

(男子のみの開催)
プールマッチ結果
アルゼンチン43-12日本、アイルランド40-7日本、フィジー54-7日本
NZ35-17アメリカ、NZ20-5英国、NZ32-21南アフリカ

9位決定戦準決勝 南アフリカ29-7日本、アメリカ24-0スペイン
11位決定戦 日本12-28スペイン(日本は12位、ただし年間のフェアプレー賞を受賞)

カップ準々決勝
アルゼンチン28-14アイルランド、サモア12-5英国、フィジー19-5オーストラリア、NZ19-17フランス
準決勝
アルゼンチン10-7サモア、フィジー19-17NZ
3位決定戦
サモア24-19NZ
決勝
アルゼンチン35-14フィジー

 NZは前回のツールーズ大会で既にシリーズ優勝を決めている。個人では、ドリームチームに、レロイ・カーターとアクイラ・ロコリソアが選ばれた。ロコリソアは、ホットステッパー(ステップの優れた選手)賞を、同僚のロデリック・ソロとともに受賞している他、シリーズ最多得点を記録した。

 今回3位に入ったサモアのヴァア・アペルマリコは、最多となる50トライを記録した他、ドリームチーム、インパクト(強い印象を残した)プレヤー賞に選ばれており、来シーズンのセヴンズシリーズ及び15人制での活躍が期待される。

(3)ブルーズ、クルセイダーズ、ハリケーンズの監督人事


 ラグビープラネットが、NZヘラルドの記事を引用して、スーパーラグビーパシフィックのNZ3チームの次期監督人事について紹介している。

ブルーズの候補:
 ジョノ・ギッベスは、2021年にフランスのラロッシェルでチャンピオンズカップに優勝し、その後クレルモンに移籍したが、既に離れることが決まっているため、ブルーズに来る可能性がある。
 ジョー・シュミットは、デイヴィット・ヌシフォラの後任として、アイルランドラグビー協会パフォーマンスディレクターに勧誘されているが、オークランドに残ることとなったため、ブルーズはシュミットを熱望している。
 ヴァーン・コッターは、フィジー代表監督を辞任した後NZにいるので、ブルーズ監督候補の一人になる。
 なお、デイヴ・レニーは、既にリーグワンの神戸スティーラーズ監督就任が決まったため、ブルーズ監督の有力候補から脱落した。

クルセイダーズの候補:
 NZヘラルドによれば、現状は全く不明とのこと。その中で可能性がある候補二人を挙げている。
 マット・トッドは、選手を引退した後カンタベリーでディフェンスコーチをしており、クルセイダーズのコーチに昇格する可能性を持つ。
 アンドリュウ・グーズマンは、アイルランドのレンスターを去っており、次はクルセイダーズに来るかも知れない。

ハリケーンズの候補:
 スコット・マクロードは、オールブラックスのディフェンスコーチを退任した後の仕事として、ハリケーンズに来るかも知れない。
 ブラッド・ムーアは、オールブラックスが不振な時のアタックコーチで、そのため去年解任されてフリーとなっているため、ハリケーンズと契約する可能性を持つ。
 クレイグ・レイドローは、オールブラックセヴンズで長年にわたって実績を残している。本人はセヴンズから15人制のコーチに転身したい希望を持っている。
クリス・ギッベスは、現在ハリケーンズのアシスタントコーチをしているので、監督昇格の可能性があったが、コーチを止めて家族と暮らすことを表明した。

既に候補から外れたコーチたち:
 ジェイミー・ジョセフは、日本代表で実績を挙げているが、今回のRWCで代表監督を辞め、リーグワンの静岡ブルーレヴズ監督に就任する予定。
 ジョン・プラムトリーは、もともとハリケーンズとの関係が深かったが、南アフリカのシャークス監督になる予定。

その他参考:
 ロビー・ディーンズは、リーグワンのパナソニックワイルドナイツで素晴らしい実績を残しているが、ブラッド・ソーンが辞めるオーストラリアのレッズは、後任監督はソーン同様にNZ人を招聘したいと考えており、ディーンズが候補になっている。

3.U20南アフリカ大会で、「スマートボール」を試験的に導入

 NZヘラルドが、6月に南アフリカで開催されるU20世界選手権で、「スマートボール」という新たな判定手段を試験的に導入することを報道している。それによれば、今年開催されるRWCでの導入予定はないが、将来的には、プロラグビーレベルで導入される可能性があるとのこと。

 同記事による「スマートボール」の解説(グーグル翻訳を元に部分修正)は以下のとおり。
「スマートボールは、3Dかつリアルタイムで追跡されます。フィールドの周囲に配置されたビーコンによって1秒あたり最大20回ボールの正確な位置が特定され、キック、パス、スロー(イング)のたびに即座にレフェリーにフィードバックが提供されます。この技術はまた、ボールがタッチを切った地点から測定を開始し、ラインアウトが確実に行われることをチェックします。また、スロワーのボールリリースからラインアウトジャンパーがキャッチした瞬間までの角度を測定することで、ラインアウトスローのノットストレートについての情報が、即時にレフェリーに提供されます。一方、フィールドプレーでは、プレヤーからボールが手を離れるときの相対的な速度を測定して、フォワードパス判定の参考にする他、ボールが空中にある時にプレヤーが触れたかどうか(つまり、ノッコン)についても、(落ちた)ボールの位置を測定します。さらに、トライの際にゴールラインに到達したかどうかを判定します。」

4.春の明治対早稲田戦の感想


 
春先のゲームなので、公式戦とは言え練習試合の要素がかなり大きい。したがって、勝ち負けよりもチームとしての成長度や選手個々のプレーを確認する試合となっている。また、一年生から抜擢されるのが誰かを見る楽しみもある。

 そのため、ゲームとしては両チームともにミスが多く、「所詮大学ラグビーの練習試合か」という内容ながら、早稲田は持ち前の速いテンポによるアタックの冴えを見せた他、前半劣勢だったスクラムを後半立て直すなど、チームとしての成長を見せている。SO伊藤もチームの大黒柱として機能している。

 明治は、15人全員を近代ラグビーのイメージに沿った、攻守走に長けた良い選手を揃えている。特に、海老澤(一年!)、安田、池戸のバックスリーのアタック力は、2003年RWCのオールブラックスが誇った、ロコゾコ・ハウレット・ムリアイナのような強力なものを感じる。これにSO伊藤のスキルと、キャプテンである12番CTB廣瀬のフレアーを合わせれば、大学トップのBKラインになるだろう。

 またなによりも、伊藤・廣瀬・池戸の三人SO体制はかなり有効に機能している。FWも、両PR、両LO、両FLは皆スキルに長けた良い選手であり、HOとNO.8も力強いので、機能的なSHが上手くFWとBKをリンクさせれば、BKの決定力を生かす土台になるだろう。なお、この明治が帝京に勝てるかどうかは、大学選手権に入ってみるまではわからないので、春の交流戦の結果はあくまで参考にするつもり。

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