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<閑話休題>「洗面所」は「浴室」か

 先日、マンションの風呂場に付随しているミストサウナの操作盤に、突然「dry」という文字が現れ、音声で「浴室乾燥をします!」というアナウンスが流れた。慌てて「停止」を押しても止まらない。それで、他の「ミスト」とか「マイクロミスト」とかのスイッチを押したら、別の操作に切り替わり、その次に「停止」を押したら、やっと止まった。

 これで一安心していたら、その一時間後にまた同じ症状が出たので、同じように別の操作に切り替えてから「停止」を押して止めた。しかし、さらにその一時間後にまた同じ症状が出た。「これは困ったな」と思って、マンションの修理先を探したら、東京ガスに24時間対応の電話がある。その日は土曜の夜だったが、「24時間対応だから、大丈夫だろう」と思って電話してみた。すると録音音声で「ガス漏れなどの緊急の方は、XXXXにお掛け直しください。その他の方は、ただいまの時間は大変に電話がつながりにくくなっていますので、東京ガスのホームページをご覧ください。各種のご質問に対する回答があります。・・・」と流れてきた。

 それで「仕方ないなあ・・・」と思って電話を切り、書斎のパソコンを立ち上げ、東京ガスのホームページを探した。しかし、そこに出てくるのは、ガス契約に関するもの(引っ越しとか、契約方法の変更とか)ばかりで、肝心の障害対応が見つからない。仕方なく、ページの一番下にスクロールしていったら、小さい文字の集まりの中に「よくある質問・お問い合わせ」というのが見つかったので、「ここか・・・」と思いながら、クリックした。

 しかし、ここに表示されるのは他と同じに料金や契約に関するものばかりで、肝心の障害対応がまったく出てこない。それで仕方なく、検索のところに「浴室障害」と入れたところ、「浴室換気乾燥機(ミストサウナ)」と出てきたので、「これだ!」と思ってクリックした。だが、ここでもやっぱり肝心の障害対応は出てこず、使用方法とかそんな類しか表示されない。それで、「こりゃあ、だめだ・・・」と思って、ウェブサイトでの対応は諦めた。

 「さて、どうしたものかな。このままだと寝ている間、一時間ごとに対応しなければならないな・・・」と思案したところ、「そうだ!ブレーカーで切れば良い!」と気づき、早速玄関脇の配電盤を開けてみた。最近の配電盤は海外でもそうだったが、メインスイッチの他に配線毎のスイッチがあって、それぞれどこの場所かが書かれている。それで、必死に「浴室」または「バス」というのを探したが、どうにも見つからない。「給湯器」や「LDR(リビング・ダイニングルーム)」や「洋室1」とかは見つかるが、「浴室」や「バス」はどこにもみあたらない。

 「これは、もう、メインスイッチを切るしかないのかな・・・」と思っていたら、ちょうどそこへ妻がトイレに起きてきたので、手伝ってもらうことにした。つまり、「浴室用のスイッチがわからないので、該当しそうなものを切るから、24時間換気装置が切れるかどうかを確認してくれ」と頼んだのだ。そして、「予備」や「給湯器」を試しに切ってみたが、換気装置は反応しない。それで、「たぶん違うと思うけど」と言いながら、「洗面所・トイレ」を切ってみたら、浴室の換気装置が切れた。妻は、「洗面所・トイレといったら、浴室に決まっているじゃない!」と言っていたが、どうにも私には理解できない気分が残った。

 果たして、「洗面所・トイレ」と「浴室」は同じなのだろうか?たしかに、ホテルや海外の住宅なら、洗面所・トイレ・シャワー(バスタブ付きを含む)は、一つに部屋になっている。しかし日本家屋では、洗面所・トイレ・浴室は別になっているのが普通だ。もちろん、マンションはホテルに近い形態だから、たしかにバスタブとシャワーがある浴室の外に、洗濯機を置く場所があり、さらに洗面所がある。しかし、トイレは廊下を挟んだ反対側に個室として独立してある(ちなみに、ホテルなどで妻が洗面所を長時間使っているときに、急にトイレを使いたくなる場合は、トイレが使えなくて非常に困ることがある。なおそうした場合、私は部屋から出て、一階ロビーやレストランのある階のトレイに駆け込むようにしている)。

 ということで、私の脳裏には「洗面所」=「浴室」という概念が、どうにも理解できないものとしてずっと残っている。なお、ミストサウナ機器の障害は、ブレーカーを降ろすという電源断で最終的に対応できた。完全に修理したわけではないだろうが、一般的にこうしたコンピューターを使っている機器の障害は、電源を入れ直す(リセットする)ことで解消する。そういえば、ある海外ドラマの主人公が、ストーリーの関係で電気機器会社の顧客対応電話係をやっているシーンがあった。そこで主人公は、ひたすら「電源を切ってください」というフレーズを、照会電話を取る度に繰り返していた。もしかしたら、その時の映像が私の脳裏に浮かんできて、「そうだ!」と気づき、最終的な障害対応につながったのかも知れない。

 結論。「最高の障害対応サービスは、ドラマの中で見せるのが良い。」

(注:昔日本のTVドラマで、登場人物が知人の部屋に入った直後にガスの匂いに気づいて、あわててハンカチで口と鼻を覆い、さらにテーブルにあった重い花瓶を窓ガラスに投げつけて割り、急いで換気するシーンがあったが、これはドラマ性を盛り上げるための虚構中の虚構=嘘である。

 まず、ガスが部屋に充満しているのであれば、いくら密閉していても部屋の外でも匂うから、部屋に入る前に気づかないことはありえない。また、もし窓が公共の通路に面している場合は、慌てて窓ガラスを割ることで歩行者にガラスの破片と花瓶が当たってしまい、不当な傷害につながってしまう。さらに、そもそも部屋に入る前にガスに気づいているのだから、ドアを開放していれば換気になるため、わざわざ窓ガラスを割るのではなく単純に窓を開ければ良いだけである。また、もし発見者がかっこつけて部屋の外で煙草を一服するようなシーンがあれば、絶対に真似してはいけないだろう。発見者は部屋及び周辺の人々とともに、ガス爆発で粉々になっている。)

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