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<閑話休題>SHOWERとシャワー

 英語でShower(シャワー)というの英和辞典で引くと「にわか雨、夕立」とあり、日本語のシャワーに相当するものは「Shower Bath(浴室のシャワー)」と書いてある。
 
 このシャワーというのは、英語圏の天気予報に良く出てくる表現で、私は単純に日本の浴室で「シャワーを浴びる」ような雨だと思っていた。しかし、実際にそうした天気の下で暮らしてみると、日本では「しとしと雨」とか「霧雨」、「瞬間的な通り雨」という表現が近いことを実感した。
 
 考えて見れば、日本人は「湯水のごとく使う」という表現がある如く、シャワーは雨で言えば土砂降りのようにして大量かつ長くお湯を使い続ける。しかし、英国人などのシャワーは、少量を短時間しか使わない。あるホームステイしていた人(女性)の話では、「シャワーは15分以内にしてくれ」と言われたそうだ。その理由は、まず湯水が貴重であることと、シャワーが、日本のようなガス湯沸かし器などにつながっているのではなく、キザと呼ばれる電気温水器につながっているため、お湯を沸かすのに長い時間がかかりまた少量しか沸かせないためだ。
 
 だから、昔NZのラグビークラブでシャワーを使ったところ、既に多くの人が使っていたので水だけしかでなかった。NZの冬は霜が降りるくらい気温が下がるが、酷寒まではいかない。そのため、隣でシャワーを浴びていたパシフィックアイランダーは、全く気にせずに身体を洗っていた。ただし、温水ではないから短時間で済ませていたので、やはり水は冷たかったのだと思う。
 
 つまり、天気のShowerと浴室で使うシャワーとは、まったく同じものであり、「シャワーを浴びるような少量かつ短時間の雨」というのが、天気のShowerなのだった。もし日本人のように大量かつ長時間にシャワーを浴びていれば、Showerという天気の表現とは一致しなくなるから、シャワーを浴びることはSquall(スコール、英和辞典では「(しばしば雨・雷を伴う)はやて、突風」)ということになるのかも知れない。なお、Squallと同じつづりで「大声で叫ぶ、悲鳴をあげる」と単語もあるので、日本人がシャワーを浴びている姿は、もしかすると騒音のように聞こえているのではと余計な心配をしてしまった。
 
注1:引用した英和辞典は、「旺文社 英和中辞典 1978年版」
注2:参考までに、「Oxford Colour Dictionary 1998(年版)」によれば、Showerについて「brief fall of rain, snow(短時間降る、雨や雪)」「shower-bath: bath which water is sprayed from above(シャワー・バス:上部から水が散る浴室)」とあるので、シャワーは基本的に少量の(湯ではなく)水であり、天気も同様の少量の雨(や雪)ということが想像できる。

<アマゾンのキンドル及び紙バージョンで販売している、私の海外生活などの経験をまとめたエッセイ集です。宜しくお願いします。>


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