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人生初MRI記録〜vol.1 ファンキー老人〜

生まれて初めてMRIの検査を受けてきたので、その時の様子を記しておこうと思う。長くなるし別に楽しい話ではないので、興味のない方はこの間書いた前世イカの話でも読んでいただくのが良かろう。

なおトップ画像は借り物であり、自作ではない。にもかかわらずドンピシャな画像である。オーナーの方は私よりも早く通過儀礼を終えたMRI先輩とお見受けする。
先輩、僕もそちら側に行きましたよ。


本題。
病院に着き受付を済ませると、まずは検査着に着替える。下着の上にパジャマみたいな薄い生地の服を着て、撮影室前のベンチに座って待つ。

やがて検査技師の方がその手に紙コップとレトルトカレーみたいなパックを持ってニコニコしながらやってくるのが見えた。

嫌な予感がした。

僕はバリウムが嫌いだ。別にすごく不味いわけではないけど、あのドロドロした重い液体を短時間で飲み干すのに、どうも体が拒絶してしまう。そうかー、MRIもバリウム飲むのかー…。

少し落ち込みながら渡された紙コップを持つ。技師さんが注いでくれるパック内の液体はバリウムではなく、思いのほか透明なサラサラした液体だった。聞くと造影剤だという。
できれば飲み干してください、と言い残し技師さんは去っていく。『できれば』ってことはさぞ不味いんだろうなあと思いながら恐る恐る一口含むと、意外と悪くなかった。
常温なのでお世辞にも美味しくはないが、3時間前から水分を絶っていた体にはありがたく感じるレベルである。ほのかーーに甘い、後味ゼロ(ここ大事)のぬるい水。
なんなく飲み干し、いよいよ撮影室に案内される。

前室のようなところで身に付けている金属類を全て外す。それは前もって知っていたので時計は付けてこなかったし、スマホと結婚指輪は着替えた時のロッカーに残してきた。なのでその場で外したのは眼鏡だけである。
あとはこの時期特有の対応で、どうやら使い捨て不織布マスクのワイヤーが反応してしまうらしく、ただ感染対策上マスクを外すわけにもいかないので、ワイヤー部分と肌が接触しないようにガーゼを渡される。これもしっかりマスクと肌の間に挟み込んだ。

そして入室。いよいよである。
専門家からしたら全然違うと言われそうだけど、CTスキャンと外見はほとんど同じに見える。長細いベッドがトンネル状の撮影機に突入していく感じだ。
ベッドに仰向けに寝転がるように指示され、腹部に固い毛布みたいなセンサーを乗せられる。これが結構重い。つきたてのまだ柔らかさが残る、厚み1cmかつ60cm四方の『のし餅』を乗せられたくらいのイメージである。やや苦しい。

そしてヘッドホンを着けられる。目的は2つあるようで、ひとつは機械の中の轟音から鼓膜を保護すること、ひとつは技師さんの指示がヘッドホンから聞こえて来るようだ。

あとおまけ程度にうっすら黒人女性が歌うソウル?ファンク?的な陽気な曲がかかっているのが面白かった。あまりにこの状況とミスマッチだ。
技師さんは30代くらいで若く、僕も40歳なので平日の病院に居る中では若いグループなのでファンクによる違和感はほんの少し薄らいだが、これが老人の患者であった場合を考えると、不謹慎ながらなんだか可笑しくなってしまう。ファンクのリズムでMRIに吸い込まれていくご老人。それとも年齢に合わせて布施明とか榊原郁恵とか美空ひばりとか選曲を変えているのかしら。それでも可笑しいけど。
でも、仮にも閉所で轟音の中に20分も閉じ込められるというなかなかアブノーマルな状況では、こういう陽気さで患者のメンタルを保つ工夫が必要なのだろうと推察する。

長すぎるので2部構成にします。
ほなまたね。

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