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「初めての人生の歩き方」(有原ときみとぼくの日記) 第45房:風の感覚を思い出して。

 彼はこの二日間、ずっと引きこもっていた。
 その間、クラウドワークスを始めてみたり、健康食品について調べたり、詩を書いたり、小説を書いたり、映画を見たり、寝坊したり、ポテチを食べたり、コーラにハマっていたり。
 彼の中には葛藤があった。

 このまま在宅でライターをしていくのか、それとも外に出ていくのか。

 家は落ち着く。
 しかし、ずっと家にいると、居心地の良さに疲れてくる。
 なんとも言えない疲労感。
 たまったエネルギーが外に出ようともがいているような苦しさだ。
 では、出るのか。

 彼は他にプールのコーチもしている。
 がっつり肉体を使う仕事だ。
 だからバランスはいい。
 とてもいい。
 では大切なことは何か。

 小説を書くことだ。

 丸山健二の「まだ見ぬ書き手へ」の二巡目。

 決意は固まった。

 例えば今夜、カレーが食べたいと思う。

 そのためにはカレーを知っていないと作れない。

 材料を買いに行く。

 買った材料を調理する。

 それを食べる。

 それでようやくカレーが食べたい、という夢は叶う。

 では材料はどうやって買うのか。

 まず材料費。

 お金を稼ぐしかない。

 だから働く。

 または節約する。

 投資でもありだ。

 カレーが食べたいのなら、カレー屋さんに行くのもありだ。

 決してカレーが食べたい、と思っているだけでは、夢は叶わない。

 らしい。

 小説になるには、書くこと。

 応募すること。

 書くこと。

 応募すること。

 そのための材料は経験だ。

 経験は行動だ。

 行動したときに伴う濃淡は性格で決まる。

 よし、まずは身近な人から。

 久しぶりに会った彼女は、いい匂いがして、ふんわりとしていた。

 後悔のないように。

 なにが起きるのかはわからないのだから。

 彼は今夜、一人でステーキを食べる。メガドンキで買ってきた激安の肉だ。それをさらに三等分して。財布の中身は数十円しかない。
 彼はそれで幸せだった。
 ポルシェもセフレも莫大な貯金も権力も、もちろんほしい。
 けれど、それはきっと幸せに気づくための道具だと彼は思っている。
 それがないと幸せになれないほど、彼は不幸でも不自由でもなかった。

 幸せは本当の幸せと自由な世界を、少しずつ思い出しているのだ。

 初めての人生、欲に溺れてみたくなるときもある。

 そういうときはまよわず溺れよう。

 その経験がきっと大切だから。

 大切なのは、そのまま溺れ続けないこと。

 きちんともとに戻ること。

 その経験を活かすこと。

 だってそうじゃないか。

 ぼくたちはみんな、

 母親の胎内からこの世に出てくるという苦しみを

 経験して

 それをみんな活かしているから生きているんだ。

 世界はこの瞬間に、

 幸せにも自由にもなる。

 思い出して。

 優しい音、匂い、味、色、触り心地を。

 そして言葉にはできない、

 風の感覚を。

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