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「初めての人生の歩き方。――毎晩彼女と君にラブレターを」第395話:最低な父親。

「人は、生まれ、ほんの一瞬生き、そして死ぬんだ。ずっとそうだ」スティーブ・ジョブズ

 

 バレンタイン。私はイライラしていた。それは小説がなかなか書けなのもさることながら、同居している彼女や娘にも実態のない幻のようなイライラを募らせていた。

 きっと、私は、今夜徹夜をする。

 そうまでしても書き上げたい小説があるのにも関わらず、私はその目的を見失いつつある。

 Facebookで「お金がなさ過ぎてラーメンも食べれない」と半ば冗談で投稿したら級友から「応援してる」とコメントが届いた。
 その一言が、今の私を動かしている。

 小説を書いても書いても面白く見えず、消しては書いてを繰り返し、ふと、絶望する。

 昼間だった。

 娘が嬉しそうにチョコレートを渡してくれた。
 私はどんな顔をして受け取ればいいのか悩んだ。
 きっと私は、最低な父であり、そしてパートナーだと思う。

 夕方前に一人で散歩に出かけた。近所の丘の上にある木々に公園だった。そこには家族が遊んでいた。そういえば、最近、娘とほとんど遊ばなくなった。

 時間がないということは、一体どういうことだろうか。

 私は最近、考えていることがある。果たして私は、私自身の子をいつか望むのだろうか、と。
 その答えをかき消すように、目の前を走り回る子供たちの笑顔が美しく、私は鉄塔の向こう側に広がる青空が暗くなっていくのを見つめて、家に帰った。

 私は時間が嫌いだ。
 早くそこから抜け出したいと思うがゆえに、私はいつまで経っても時間の奴隷なのだろう。

 夜、このまま消えてしまいたい。

ごめんなさい。

チョコレートありがとう。

心より愛を込めて。

初めての人生、時間は誰にでも平等だ。

それなのに、

才能も環境も不平等だ。

だから人生にマニュアルがない。

それは可能性だから。

君もいつか誰かに恋をする。

それが誰にも予測できないように、

僕たちは今を生きるしかない。

今年も、残り320日。

またね。

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