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夜にあやまってくれ 鈴木晴香  

『夜にあやまってくれ』
        鈴木晴香

短歌のリズムが好きです。
そして、

五・七・五・七・七の世界に、
過去も現在も未来もが含まれており、しばし、ぼーっとその情景に身を置いてしまいます。

映像として浮かびます。

私だったり、私ではない見知らぬ人や景色だったり。

『夜にあやまってくれ』
タイトルに惹きつけられ、
場面が知りたくなりました。 

「悲しいと言ってしまえばそれまでの夜なら夜にあやまってくれ」

一首だけ抜いてしまうのは
心許ないのですが、
衝撃でした。

その時の、自分の気持ちでも
すっと入り込む短歌は
変わるのも、自分の心がわかるようです。

「調律をなくした朝はその夜が
確かにあったことを教える」

「もう少し早く出会っているような世界はどこにもない世界より」

「どの駅に降りても君に会えないと  
発車間際の和音は告げる」


鈴木晴香
『夜にあやまってくれ』
株式会社書肆侃侃房
2016年  

読む人によって、それぞれの
思いが甦ってくるのではないだろうかと。
喪失の後には、何かしらの光が見えるように(今はわからなくても)

夜に音もなく
時間を過ごしたい時に
手に取る歌集です。

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