見出し画像

エンターテイナー

母とユーミンこと松任谷由実のコンサートに行ってきた。ユーミンのコンサートに行くのは実は初めてではない。5歳の夏に連れられたコンサート以来だ。父も母もユーミンが好きなので、車中では大抵流れていたし、その影響を受けて私もユーミンの曲を聴くようになった。
みるみると情景が鮮明に浮かび上がる歌詞、おてんばだったり小悪魔だったり純粋だったりところころと変わる主人公の描き方、曲によって雰囲気の違う楽曲、そしてその音楽たちにまつわる母の思い出話。どれもが私の心を捉え、すっかり母娘でユーミンファンになった。

物心ついてからは初めてのコンサート。まるで夢の国にいるかのように、一瞬で時間は過ぎていった。ひとつひとつの曲がまるでひとつひとつのショーのようで、すっと世界に入り込んでいける。めまぐるしく変わっていくステージは驚きの連続。ちょっとでも目を離したくない。
そして、一番感銘を受けたのはユーミンの姿。一切の妥協、言い訳、過程、媚びを見せない。どうぞご覧ください、と言わんばかりに、今ここで見えている全てだけで勝負している。その全ては完成されていて、我々はユーミンのつくりあげた世界観にただただ身を委ねるだけでいい。何の忖度も遠慮もいらない。すごく幸せな空間だった。

ユーミンが一時代を築いた歌手であることは知っていた。多くの人の思い出を彩るヒット曲を生み出し、たくさんの地位や栄光だって手に入れてきただろう。けど、彼女に見えているのはそういうことじゃない。地位や経歴、栄光を無視して、ずっと自分の表現したいものに真摯に向かい合っている。ただその一点。表現への熱烈なほどの貪欲さがユーミンをつくりあげている。そう思わせるコンサートだった。

ステージの真ん中で堂々と歌うユーミンの姿は眩しくてかっこよくて。立つステージは違えど、あれくらい貪欲に輝いていたいなと、単純な私は思うのでした。

#毎日更新 #毎日note #松任谷由実 #ユーミン


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?