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デザインシンキングの進化

デザインシンキングはどう進化しているか? ここでは以下の4つに焦点をあて、それぞれの考え方、何が違うのかを紹介したいと思います。

① 問題解決を目的にする、”クリエイティブ・プロブレム・ソルビング”

② グーグルが提唱する5日間でアイデアを具現化する、”スプリント・エグゼキューション(デザインスプリント)”

③ IDEO の共同創業者のひとりであるトム・ケリー氏が提唱する ”クリエイティブ・コンフィデンス(創造性に対する自信)”。

④ ロベルト・ベルガンディ教授が提唱する”イノベーション・オブ・ミーニング(意味のイノベーション)”

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デザインシンキング1.0 :クリエイティブ・プロブレム・ソルビング

目的は問題を解決すること。

考え方としては、相手の意見を決して否定せずにブレンストーイングを行い、可視化、共有を繰り返してディスカッションを行っていきます。主な関与者は、その分野の専門家ではなく初心者。なぜかというと、その方が既存のものに捉われずに、新しい発想が生まれやすくなるからです。アプローチの方向としては、アウトサイドイン(外から中へ)。ユーザーを起点としながらリサーチを進めていきます。初めは、具体的なことやコンテキストに焦点をあて、観察、分析を行った上で、アイデア構築前に、一旦抽象度をあげます。イタリア式では、哲学レベルまで抽象度をあげるので、例えば「やかん」だとすると「やかん」の存在意義は何か?までを考えます。過去そして現在のコンテキストを読み取り、それから未来のコンテキストを考える。その上で、アイデアを統合し、問題解決のためのプロトタイプをつくり、ユーザーに手にとってもらうことで反応を確かめていきます。


デザインシンキング2.1 : スプリント・エグゼキューション(デザインスプリント)

目的は、商品やサービス、アイデアをできるだけ早く形にし届けること。

スプリントとは、短い距離を全力で走り切ることを言います。通常は5日間で検証(テスト)まで進めていきます。ユーザーの理解、ニーズの発見、アイデア出し、スケッチを行い、アイデアの選択をし、MVP(ミニマム・バリュー・プロダクト)をつくり、検証をするため、スピードを持って積み上げていく感覚に近いです。ユーザーは最後の検証段階で登場し、インサイドアウト(中から外へ)アプローチをしていきます。

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デザインシンキング2.2 : クリエイティブ・コンフィデンス

目的はクリエイティブマインドを育てること。

イノベーションは、デザインシンキングで対象になっているユーザーをはじめとするその分野の初心者やクリエイティブセクターの人たちだけでは決して生まれません。イノベーションを起こすためには、一緒にデザインや開発を行う社内関与者に自信を持ってもらうことが重要になります。

IDEOメンバーと2年間お仕事を一緒にさせてもらって、トム・ケリー氏とも何度かお会いする中で、彼らはいつも私に沢山のインスピレーションと自信をくれていました。私は、クリエイティブ・コンフィデンスを育てられていたのか・・・と今気づく。笑


デザインシンキング2.3 : イノベーション・オブ・ミーニング(意味のイノベーション)

目的は意味のある方向性を生み出すこと。

この世の中はアイデアで溢れ、あらゆるものは埋もれていきます。オプションが多くありすぎると、人は選ぶことができません。だからこそ、イノベーションには、前向きで明確な強いメッセージ性のある”意味”を生み出すことが重要になります。問題に焦点をあて、その問題を解決をするクリエイティブ・プロブレム・ソルビングとは異なり、まずビジョンからスタートします。まだない世界をどう創るかにフォーカスします。そしてアプローチの方向としては、インサイドアウト(中から外へ)。信頼できるスパーリングパートナーを見つけ、建設的な批判をもらい、ブラッシュアップさせていく。その過程で、エキスパートを巻き込み、専門的な意見や別の角度からの意見を取り込み、そしてユーザーからのフィードバックをもらい、さらにブラッシュアップさせていくという方法をとります。メッセージというのは、人は皆、個人的なフィルターを通して解釈がなされるものなので、それが本当に伝わるかどうか、文化的・社会的検証が重要になります。また、まだ世の中にない価値やメッセージを明確に伝えるため、ユーザーや関与者を増やしていく過程では、メタファーを使うこともポイントです。

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