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英語、それはイギリスの一大産業

さてさて。ヒースロー空港からホームステイ先の最寄り駅まで移動し、歩き始めたはいいがさっそくの迷子に。徒歩10分ちょっとのところを、結果的には40分くらいで到着したと思う。まぁ、ほら、荷物も重かったし、ね。

最初はマダムに道を尋ね、その後おじいさんにも聞いたような。さらにちょっと若いお兄さんに尋ねた。お兄さんは、マダムやおじいさんとは違う反応だった。もちろん親切だったけど、あのご年配のイギリス人らしいジェントルな感じではなく、もうちょいカジュアルさのある感じで、スマホのマップで調べてくれた。年配者と若者が全然違うのはどこの国でもそうだけど、敬虔な信仰を持つ人々がいるイメージの国でも今どきの若者になると全然そうでもなかったりするのと少し似ている。イギリス人らしい文化も世代を追うごとに変わっているのだ。しかし、どこまでいってもイギリス人の価値観は健在であることを滞在中に思い知るのであった。

なんだかんだ迷った後、無事ホームステイ先にたどりつくことができたわたしはインターホンを鳴らした。ヨーロッパ人ではなさそうな細身の女性が中から出てきた。いちおうの笑顔で歓迎は表してくれたものの、なんというか、14時間かけて飛んできた人へのそれではなく、徒歩5分圏内くらいの近所の友達が来たかのような歓迎をされた気がした。「遅かったのね~。たどり着けてよかったわ」そんな感じ。

我々日本人が「ホームステイ」と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。中学生の教科書に出ていたような、どこかのドラマで見たような、欧米人特有の大げさな歓迎をされ、家族同然の扱いをされ、帰る時には身を切られるような寂しさから抱き合って涙を流し、再会を約束してお別れをする…。そんな、熱いのが、手厚いのが、ホームステイ。はて。あのイメージはどこに。

わたしはイギリスに来たのであった。かのイメージ、あれはアメリカのものではなかったか。実際アメリカのホームステイがどうなのかはよく知らないが、イギリスに来て最初の大きな気づきがこれだった。

イギリスにとって留学生を受け入れることは「一大産業」なのである。みな収入のためにやっている。国を挙げての売り物、それは母国語であり今や世界中の人が求める共通言語「英語」なのだ。もちろん、アメリカの母国語も英語ではあるが、イギリス人はこう思っている。「英語は我々のものだ」。まぁそりゃそうなんですけどね。英国の英語なんですから。

そんなわけで、留学というものの捉え方がとっても合理的。もちろん、人としての親切さや、留学生に対する歓迎とか、そういうのはあります。だけど、受け入れるホストファミリーにとってはなんというか、あまり特別な事ではないんですね。だって仕事の一つだから。子供たちも、「あ、今度の人は日本から来たんだねー」ってな感じで日常茶飯事。ホームステイというのは一家庭に一人、みたいなイメージもあるけれど、わたしの場合はわたしを含めて3人いた。言うなれば下宿屋という方が当たっているかもしれない。

ホストファザー、ホストマザー、子供たち3人(女、女、男)、そしてイタリア人の男の子、ヨルダン人の男の子。彼らは3階に、わたしの部屋は2階になった。ホストファミリーの末っ子の男の子の部屋を空けてくれたらしい。そこまでして…とは思うけれど、その分収入になるのだからね。そうしてわたしのホームステイ生活が始まった。到着したのは金曜日、土日を挟んで月曜日から学校に通う。さて、まずは何をしよう。続く。

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