【前編】コペンハーゲンのプランがすごかった!:気候プランとスマートシティ戦略
デンマークの首都コペンハーゲン。
デンマークと言えば、ニューハウン(この記事のTOP画像)や幸せの国…というイメージが強いのではないでしょうか?
それだけではなく、「世界初のカーボンニュートラルな都市になる」という目標を掲げ、それをデジタル戦略によって実現しようとしているすごい街だったのです。
実際訪れて観察したことや、様々な資料からわかったことを書かせていただきたいと思います。
1. コペンハーゲン2025気候プラン
コペンハーゲンは、次のような野心的な目標を掲げています。
2025年までに、120万トン相当の二酸化炭素を減らし、世界初のカーボンニュートラルな都市になる
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を一致させること、すなわち二酸化炭素の排出量が実質ゼロになることを意味します。
具体的な方法は以下の通りです。
大部分がエネルギーの生産方法の転換です。それだけ、改善の余地が大きいということですね。(エネルギーについてはまだ知識が足りないのでこれから勉強していきたいと思います)
興味深いのは、この目標の実現が、市民生活や国としての発展と紐づけられているところです。
気候プランの中で次のように明言されています。
~気候変動に対応できる都市をつくることは機会である~
・市の物理的環境を改善することで市民生活の質も高まる
・気候変動に対する先進的な手法を開発、輸出することで市の経済基盤を維持することができる
次の章では、具体例を使って説明したいと思います。
2. 気候プランの具体例
気候変動への対応策は、どのように市民生活、環境、成長につながるのでしょうか。
自転車交通を例に説明していきたいと思います。
「自転車交通の推進」というのは、環境先進都市と言われる地域においてメジャーな施策です。そして、前回の記事に書きましたが、コペンハーゲンは特に自動車の利用が少ない都市です。
まず、車道と歩道の間にある自転車専用レーンですが、デンマーク全体で12,000kmにも及ぶそう。そして、時速20kmで走ると信号に引っかからないシステムもあるそうです。
確かに、デンマーク人の自転車のスピードはめちゃめちゃ速かったです。実際にコペンハーゲンの街を電動スクーターで少しゆっくり走っていると「遅い!端に寄って!」と怒られました。マナーの問題はあるかもしれませんが、専用レーンがあることで、車や歩行者に気を使わなくて良いし、スピードも出すことができるので、その分速く楽に遠くまで移動することができそうだと感じました。その分ヘルメットの利用率も高く、着用率は35%程度だそうです。
ちょっと余談ですが、荷物や人を載せられる箱も結構見かけました。
(画像はこちらのWebサイトより)
以上のような施策によって、デンマークでは実際に自転車で移動する人が増えました。
こちらはコペンハーゲンではなく近郊都市のデータですが、オーデンセでは自転車利用が20%増えたそうです。コペンハーゲンでも平均一人1日あたり3kmを自転車で移動するそうです。
その結果、自動車利用による二酸化炭素の排出量が減るという環境面での効果に加え、様々な効果が表れました。
以下は自転車利用が20%増加したオーデンセのデータです。
・事故の数が20%減少
・2.5億ユーロの医療費の削減(年数はわかりませんでした)
・自転車通学の子供の方が集中力が高いということが明らかに
このように、自転車交通の推進によって、市民にとって移動の快適性のメリットが上がるだけでなく、病気になりにくくなったり、集中力が上がったりと様々な効果が表れました。
その結果、国の医療費も削減でき、それをまた新たなプロジェクトに回すとのことです。デンマークは高福祉国家なのでその分インパクトも大きいのでしょう。
3. まとめ
今回の記事では、デンマークの気候プランの概要説明と、具体例を紹介しました。後半の記事では、その施策が生まれる背景やスマートシティについて書きたいと思います。
参考文献
「the CPH 2025 Climate Plan short version」(https://kk.sites.itera.dk/apps/kk_pub2/pdf/931_e0pg1K8O8G.pdf)
「Facts about Cycling in Denmark」
(http://www.cycling-embassy.dk/facts-about-cycling-in-denmark/statistics/)
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