ずるい人を好きになってしまった話
ずるい人。
人懐っこくて、誰にでも、何にでも分け隔てなく優しい。
ずるい人。
その笑顔や心配りや気遣いを、まるで私にだけ特別にくれるように錯覚させる。
ずるい人。
人の心に簡単に入ってきて、いとも簡単に奪っていく。
君はすごくずるい。
私ばかりこんなに惹かれて仕方がない。
あの子も、その子もみんな君に夢中なんだ。
君に想われるたった1人のことを想像して、自分の嫉妬深さに愕然とする。
ずるい人。
なんて言ってごめん。
君はちっともずるくなんかないのに。
ずるいと感じる私が卑しいだけ。
本当は君の大きな優しさと、甘さと、賢さやユーモアのセンス、くしゃっとした笑顔と耳障りのいい声、全部に憧れている。
君のたった1人になることは諦めるけれど、君をどうかずっと想うことは赦してほしい。
ずるい人。
こんなに好きにさせたのに今日も涼しい顔で私をかわすの。それでも好き。
サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。