マガジンのカバー画像

色恋沙汰のはなし

13
恋や愛のことをあーでもないこーでもない言っています
運営しているクリエイター

#恋

君が好きな人を見つめる時の横顔をいつまでも眺めさせてほしい

8月の目標を振り返る間もなく8月が過ぎ、もう9月も2週目になってしまった。 夏が過ぎる体感スピードが年々加速していっている。間違いなく。 ちゃんと書き留めて、ちゃんと忘れたくない感情がたくさんあったはずなのに、筆不精な私はついそれを忘れてしまう。あの時感じたことや泣きたかったことや不安なことや幸福だったことの気持ちがアルコールが揮発するように見えないままどこかへいってしまった。 覚えておきたい感情じゃなくて、忘れたくない感情。 鮮明にいつでも思い出せる必要はなくて、片鱗に触

¥100

真夏の蜃気楼から逃げ出すように

「夏のプレイリスト作っておいてよ」 来週のドライブデートに備え、彼に夏のプレイリストをリクエストする。 私の夏のドライブプレイリストはちょっぴり湿っていて帰り道の夕暮れ時みたいだから。 毎日じりじりと焼かれるような暑さだと、外へデートに行くのも億劫になる。けれど、君はそんなのお構いなしでどこかへ出掛けたいと言う。 私は日焼けするのも、暑い中マスクをしなければいけないのも嫌だから 「ドライブしよう」 と提案した。 「いいね」 君はどこかへ行きたいくせに、行きたいところが

「キスされたら好きになっちゃう」

どうも、いつまでもかつて好きだった男の話を書いて、あまつさえそれで飯を食っていきたいと思っている私です。 まぁ今のところは食べられていませんが。 明け方、クリープハイプを聴いていたら突然成仏させたくなった恋を思い出したのでスマホからちびちび書いています。 「キスされたら好きになっちゃう」 誰かと真剣な恋愛をする気になれなかったし、目の前にいる男のこともそんなに信用していなかった。ヘラヘラしながら私はそう言った。 恋愛経験は豊富な方じゃなくて単に耳年増なだけだったから、初

ずるい人を好きになってしまった話

ずるい人。 人懐っこくて、誰にでも、何にでも分け隔てなく優しい。 ずるい人。 その笑顔や心配りや気遣いを、まるで私にだけ特別にくれるように錯覚させる。 ずるい人。 人の心に簡単に入ってきて、いとも簡単に奪っていく。 君はすごくずるい。 私ばかりこんなに惹かれて仕方がない。 あの子も、その子もみんな君に夢中なんだ。 君に想われるたった1人のことを想像して、自分の嫉妬深さに愕然とする。 ずるい人。 なんて言ってごめん。 君はちっともずるくなんかないのに。 ずるいと感

恋と諦めと嫉妬のはなし

諦めきれないから、とてつもなく嫉妬してしまう。 私が好きになった人は、私よりずっと物知りで、私よりずっと面白くお話ができて、私よりずっと料理上手で、私よりずっと人懐っこくて、私よりずっと人を惹きつける文章を書くのが上手い。 そういうところ、全部尊敬しているし、全部大好きなのに、だからこそ、ものすごく嫉妬する。 私にないものを何もかも持っているから。 私にあるものですら、私よりずっと面白く賢く興味深く魅力的だから。 「今あなたにとても嫉妬している」 笑いながらそう伝え

失恋相手をふと思い出し、忘れていく時のはなし

私はそれなりに失恋を引き摺る方だと思う。もうこんな人キライ!となって別れることも無かったし、付き合いの期間も1年以上だった。(ここだけの話、相手から告白され付き合って1ヶ月で相手に振られたのはカウントしていない)(ひき逃げ事故と命名している) 告白して振られる時は、大好きの気持ちが溢れて告白したのだから、振られた次の瞬間に相手に対する恋心が突然ゼロになる訳ではない。 相手とのメッセージのやり取りを消去し、写真を消し、SNSのフォローもやめ、連絡先を非表示にする。(連絡先を

曖昧な関係を清算しよう、夏。

どーでもいいオトコとくだらないことをしているほど27歳は暇じゃないから。 この夏は曖昧な関係に終わりを告げよう。 暑さで冷静な判断がつかなくなる前に。 寂しさに溺れてしまわぬように。 私が私を幸福にしてあげるために。 たとえば浮気をされた時に何が一番辛いかって、女たらしの嘘つき男にほんの一瞬でもほれ込んだ自分の惨めさをまざまざと突きつけられること。そのことがとても悲しい。 あなたは何も悪くないの。 私が大馬鹿者だっただけのこと。 相手にとってその程度の女だったことも悲

私の恋は名前を付けて保存

過去の恋愛を女は上書き保存、男は名前を付けて保存、なんてよく耳にするけれど、私の場合はバッチリ名前を付けて保存だ。 名前を付けて保存した上に、へったくそな小説にしたり、自分の気持ちを整理したりするためにnoteに書く。 どうしてこんなことを言い出すかというと、最近Amazonプライムビデオで胸がズキズキ痛む系の邦画(以下参照)を見漁っているから。センチメンタルの過剰摂取で窒息死しそうなのである。だから、呼吸が出来なくなる前に感傷を言葉にして酸素にする。スゥー、ハァ。 南瓜

運命の人のはなし

最近実は友達の紹介でバイトを始めました。労働はとてつもなくしんどいんだねぇ。今すぐにでも純粋な無職に戻りたい毎日を過ごしています。 梅雨前線が停滞しているせいか、今日はとてつもなく失恋モードなので、運命の人の話をします。(順接になっていないことは突っ込まないでください) 運命の人はなにも色恋の文脈に限った話ではないのだけれど、ここではやっぱり色恋における運命の人の話をしたい。 もし、運命の人がいるとして、その人に出会ったときにその幸運に気が付けるかはいつも自分にかかっている

夜のしじまに

恋や愛について最近よく考えている。恋に落ちること、愛することや愛されることを。愛がなんだという映画が世間的にかは知らないけれど、少なくとも私が観測しうるSNS界隈では大流行りしている。愛がなんだというタイトルが、そんな手垢のついた、他人のモノサシで決められた愛なんてクソくらえ、という意味であるのか私は角田光代の原作も読んでいないし、もちろん今泉監督の映画も観ていないので分からない。分からないことだらけ。 でも、『愛がなんだ』という少し乱暴なその語気にどうしてだか惹かれる。愛

恋と場所と密度

みなとみらいは初めてお付き合いした人と何度かデートで行った場所で、それ以外であまり訪れた事がないからもう5、6年は経つというのになぜだか今でも胸がきゅっとなるのに驚いた。恋と場所と密度80。ヨコハマ。 最近、森見登美彦の『ペンギンハイウェイ』を読んだ。森見登美彦を一番最初に勧めてくれたのはたしか、高校のクラスメイトだったと思う。そして初めての恋人も森見登美彦が好きだった。出会って間もない頃に【鴨川等間隔の法則】という単語で盛り上がったような記憶がある。でもどちらの記憶が先な