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恋と諦めと嫉妬のはなし
諦めきれないから、とてつもなく嫉妬してしまう。
私が好きになった人は、私よりずっと物知りで、私よりずっと面白くお話ができて、私よりずっと料理上手で、私よりずっと人懐っこくて、私よりずっと人を惹きつける文章を書くのが上手い。
そういうところ、全部尊敬しているし、全部大好きなのに、だからこそ、ものすごく嫉妬する。
私にないものを何もかも持っているから。
私にあるものですら、私よりずっと面白く賢く興味深く魅力的だから。
「今あなたにとても嫉妬している」
笑いながらそう伝えたけれど、文字通り、とても嫉妬していた。
そもそも物知りだと思うのも、話や文章を面白いと感じるのも、それが大なり小なり私の好きなテイストだから、だと思っている。
だって村上春樹の書く小説をすごいとは思っているが、好き!と声を大にしてはいえない。
(すぐ村上春樹のこと書いちゃうこれもある意味で嫉妬なのかもしれない)
好きなのに、好きだから、決して敵わないことを突きつけられ息が苦しくなる。
それはたぶん私がまだその人のことを諦めきれないから。
他人から上手に愛されることも、色んな人から魅力的だと思われたい欲も、誰かにとって、出来るならば、なるべくたくさんの人に私の書く文章を好きだと思ってもらいたいことも。
全部、諦められないから。
大学に入り、初めて小説を書いた時、他人のそれと比べ大いにへこみ、私はすぐに小説を書くのを諦めた。
もちろん周囲の人たちに到底及ばない、と感じたのもあったけれど、どこかで小説を書くのは心の底から好きな行為じゃなかったからなのだと思う。
才能がなくても、センスがないと言われても、語学は好きだからやめられなかった。
同じように、たまに誰かに褒められたり、気取っている鼻に付くと揶揄されたりしながら、文章を書くこと自体はどうしてもやめられずここまできてしまった。
だって好きだから。
書くのも、あなたのことも嫉妬してしまうほど、どうしようもなく好きだから。
いつか両の手を開いて、上手に諦めることができるまでしぶとく好きでいよう。
サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。