失恋相手をふと思い出し、忘れていく時のはなし

私はそれなりに失恋を引き摺る方だと思う。もうこんな人キライ!となって別れることも無かったし、付き合いの期間も1年以上だった。(ここだけの話、相手から告白され付き合って1ヶ月で相手に振られたのはカウントしていない)(ひき逃げ事故と命名している)

告白して振られる時は、大好きの気持ちが溢れて告白したのだから、振られた次の瞬間に相手に対する恋心が突然ゼロになる訳ではない。

相手とのメッセージのやり取りを消去し、写真を消し、SNSのフォローもやめ、連絡先を非表示にする。(連絡先を消せない弱さはどうか見逃してほしい)

物理的な距離を取ると、私の場合は、好きだった気持ちも少しずつゼロへと収束していく。

そうやって自分の周りから相手の事を思い出すキッカケを排除しようとするのだけど、突然、恋した人の断片が飛び込んでくることがある。ふとした瞬間、失恋相手を思い出してしまうのだ。

例えば、彼が住んでいたという以外に私の人生に接点がなかった街を、何かの拍子で通る時。普段使わない路線の、もうきっと二度と降り立つことのない駅で電車のドアが開く。そんな時、綺麗に収束していったはずの気持ちが上下に微かに振動する。

もし私が恋をし、恋に破れた相手が日常生活と身近な会社で働いてたら、彼を思い出さなくなるまでの道のりはタフなものになると思う。

私の家にテレビはないからCMを目にする機会は多くはないけれど、街中には広告が溢れている。お店だってたくさんある。外に出て彼が働いている企業の宣伝や商品に遭遇するたび、きっと私の頭にはその人がよぎる。そして彼のことを思い出すのだろう。

だからといって失恋を綺麗に忘れるまで家の中に引きこもっている訳にもいくまい。

こんなことを書くと、相手を肩書きでしか見ていなかったからじゃない?と言われてしまうかもしれない。もしかするとそうなのかも。彼を彼たらしめるのは所属や肩書きじゃない。だけど彼を構成する要素の一つではある、と思う。だからその要素が無防備な私に彼を思い出すキッカケを与える。

失恋したばかりの時、コンビニでインスタントラーメンが目に入り、思い出してしまう彼に関する事柄はいくつもあるだろう。だけど時間が経ち、彼を構成する要素と何度も出くわすことに慣れてしまえば、彼について思い出せる事も減っていくのだと思う。そして失恋の傷が癒えた時、スーパーで陳列された何種類ものインスタントラーメンの中から特定の物が目に付くことは恐らくない。たとえ、その商品を手に取ったとしても、それは只のラーメンで彼を思い出すキッカケではなくなっている。
(だって今では赤い銀行を見ても、山崎賢人さんはカッコいいなぁくらいしか思わないもの)
(インスタントラーメンの話は完全に例え話で、実体験としては銀行の話でしたチャンチャン)

失恋相手をふと思い出し、忘れていく時のはなし




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